Wednesday, June 30, 2010

急な介護 家族で備えを

初めての介護をするにあたり、何から手をつければいいかわからず、戸惑う人は少なくない。まず、地域包括支援センターに相談し、地域にある介護サービスの情報収集をしたい。また、介護が必要な家族の現状を把握し、家族の役割分担を話し合うことが大切だ。
 都内在住の主婦(67)は、昨年末、一緒に住む母親(92)が急にベッドから立ち上がれなくなったため、母親を介護することになった。「母はひざの痛みがあったのですが、通院もしていたし、食事も排せつも身の回りのことは全部自分でできていたので、私はショックでパニックになってしまいました」と主婦は振り返る。
 いつか介護が必要になることはわかっていたが、特別な準備はしておらず、慌てて紙おむつを買いに走ったという。
 家族だけでは介護できないと考え、すぐに地域包括支援センターに相談に行き、介護保険サービスの利用申請をした。
 地域包括支援センターは、介護など高齢者の生活に関する相談を受け付けている。2006年から全国の市町村が設置している。介護サービスを利用するまでの手順や、地域で介護サービスを提供している事業者の一覧など、介護保険に関連する情報が得られる。また、紙おむつの助成金や配食サービスなど、地元の自治体や地域の民間団体が実施している高齢者向けサービスの情報も入手できる。
 民間の介護相談機関「三井不動産 ケアデザインプラザ」の介護コンサルタント、川上由里子さんは、「介護の内容や必要性を考えるためにも、普段から家族の様子を観察し、書き留めておくことが大切です」と助言する。
 「最近外出をしなくなった」「食事を自分で作らなくなった」など、「あれっと思ったら、改めて普段の様子をよく観察しましょう」。生活習慣のほか、体調がいいときの体重や血圧などを把握しておくと、生活や体調の変化が生じたときの目安になる。通院歴や服用している薬の種類なども確認しておく。ノートに記録しておくと、いざというとき便利だ。
 もう一つ重要なのが、家族間での態勢作りだ。「食事や排せつの介助など直接的なケアのほか、費用負担や情報収集など様々な役割があります。中心となる人を決め、家族の間で役割分担を決めておくと、速やかな対応ができます」と川上さん。
 骨折や脳血管疾患などで入院し、退院後の生活で介護が必要になる場合は、「どこで暮らすか」が重要な検討課題となる。都内のある地域包括支援センターでは「できれば、施設介護か在宅かという大きな方針について、家族の意見をまとめておいてほしい」と話す。それにより、利用するサービスや検討事項が異なってくるためだ。
 退院後、家で介護をする場合、入院中に要介護認定の申請を行い、認定の調査を済ませておくといい。必要な福祉用具を家庭に用意できるなど、退院後の生活がスムーズに運ぶからだ。
 川上さんは「介護が必要になる前に、介護サービスを利用する場合の全体の流れを知っておくと、対応しやすいでしょう」と話している。
(読売)

Saturday, June 26, 2010

中国で手足口病、死者500人超

25日付の中国各紙によると、中国衛生省は24日、手足口病の感染が全国で拡大し、今年に入り乳幼児ら537人が死亡したと発表した。既に昨年1年間の死者数353人を大幅に上回っており、同省は公衆衛生が立ち遅れている農村を中心に予防対策に力を入れるようあらためて呼び掛けた。
 今年の感染者数は累計で98万7千人余りに上り、年間で100万人を超えた昨年に迫っている。衛生省は「手足口病は流行期にあり、情勢は非常に厳しい」と指摘している。(山陽)
 主に乳幼児の口の粘膜や手、足に水疱性の発疹ができる「手足口病」の患者が急増し、この時期としては過去11年間で最多になっている。原因となる「エンテロウイルス」にはさまざまなタイプがあるが、報告されているのは、髄膜炎などの中枢神経系の合併症を引き起こす恐れがある「EV71」が半分以上を占める。
 ウイルスに感染して3~5日の潜伏期間の後に口や手、足などに2~3ミリの水疱性発疹ができる。ほとんどは軽症で数日で治癒するが、EV71に感染した場合は重症化する場合がある。
 過去には日本でも死者が出たほか、最近では中国などでEV71による死者が出ている。

Wednesday, June 23, 2010

肉食少ないと骨折危険3倍

生活が野菜などに偏って肉類をあまり食べない高齢者が、寝たきりにつながる転倒骨折をする危険は、そうでない人に比べて3倍近く高くなるとの調査結果を、東北大の研究チームが21日までにまとめた。
 調査は2002~06年、仙台市に住む70歳以上の男女877人を対象に実施。それぞれ「野菜食」「肉食」などの食事パターンを把握した上で、骨折の有無などを継続調査した。
 調査に当たった岩崎鋼准教授(漢方内科)によると、4年間に交通事故などを除く転倒骨折をしたのは877人中28人。食生活と骨折の関連性を解析したところ、野菜を毎日のように頻繁に食べるが肉類はほとんど食べない「野菜食」の人の骨折リスクは、そうでない人に比べ2・7倍高かった。
 同様に、2日に1回程度は肉類を食べる「肉食」に当てはまる人の骨折リスクは、肉をあまり食べない人よりも2・8倍低かった。
 欧米では肉食中心の食生活は骨密度を下げるとする調査が多いといい、岩崎准教授は「意外な結論だが、欧米に比べて日本の高齢者は肉類の摂取量が少ないためかもしれない。野菜に偏りがちな人は、意識的に肉類を食べるようにしたほうが望ましい」としている。(山陽)

Tuesday, June 22, 2010

昆虫にも「おばあちゃん効果」

繁殖期を終えたアブラムシのメスが自分を犠牲にして、外敵から巣を守ることを東京大学博士課程の植松圭吾さんらが発見した。
 人間やクジラなどでは、メスが子育てを終えた後も長生きして血縁者に尽くす「おばあちゃん効果」が知られているが、昆虫で確認されたのは世界で初めて。
 植松さんらは、常緑樹のイスノキに巣を作る「ヨシノミヤアブラムシ」を観察。テントウムシの幼虫などに襲われた時、成虫が腹の穴から白い分泌液を出し、体ごと敵に張り付いて行動の自由を奪うことを突き止めた。捨て身の行動をした成虫は、ほぼすべてが繁殖を終えたメス。繁殖後は卵の代わりに防衛用の分泌液で腹部を満たすように変化することも分かった。
 人間の場合、「おばあちゃん」が長生きし、知識や経験を伝えることが進化上有利に働いたという説が提唱されている。(読売)

Monday, June 21, 2010

エチゼンクラゲ、人工繁殖成功

越前松島水族館(福井県坂井市三国町崎)が、エチゼンクラゲの人工授精による繁殖に成功した。
 人工授精による成長の研究例は少ないという。同水族館は誕生したエチゼンクラゲを展示、「成長のメカニズムを解明して、大量発生の抑制策を探りたい」としている。
 昨年12月に漁船の定置網に入り込んだエチゼンクラゲから精巣と卵巣を取り出して人工授精を行っていた。稚クラゲと、稚クラゲに成長する前のイソギンチャク型の「ポリプ」(体長0・5~1ミリ)を飼育しており、いずれも動物プランクトンを餌に順調に生育している。
 飼育員の小島貞昭さんは「エチゼンクラゲは厄介者と言われるが、触手の形態がきれいで観賞も楽しめる。今後は水温によって変化する成長過程などを研究し、生態を明らかにしていきたい」と話している。(読売)

Sunday, June 20, 2010

劣等感のはけ口

「かわいいので抱っこさせて」という乳児を持つ母親への誘い文句。栃木県足利市内の子ども用品店で起きた連続乳児骨折事件は、善意の仮面の裏に潜む心の闇を浮き彫りにした。
 傷害容疑で再逮捕された五月女裕子被告(28)の心理状態はどんなものだったのか。口のきけない乳児を狙う一連の犯行に、子を持つ母親の間で不安が広がっている。
 これまでの県警の調べに対し、「幸せそうな親子がねたましかった」「離婚して苦労している」「弟と比べて学歴で劣っている」など、五月女被告が口にした言葉は劣等感を象徴するものが多いという。県警はそうした劣等感のはけ口が乳児に向けられた可能性があるとみて、引き続き五月女被告を追及している。
 犯罪心理学が専門の森武夫・専修大名誉教授は今回の事件について「嫉妬心やコンプレックスが他人の子どもに向けられた事例と考えられる」と分析する。更に「コンプレックスが解消されない限り、同様の事件を発作的に起こしてしまう恐れがある」と指摘している。
 ◆広がるうわさ・地域に不安◆
 5月末までに、足利署には他人の乳児を抱っこしたがる不審な女に関する相談が相次ぎ、十数件に上っている。足利市内の子育てコミュニティーや主婦の間では春頃から「赤ちゃんをつねる女がいる」といったうわさが広まり、五月女被告の逮捕後も、不安感がぬぐえないでいる。
 事件のあった子ども用品店によく来店するという足利市の主婦(22)は「何件も同じ様な事件があって怖い。2歳の息子とは、一緒にいて目を離さないよう心がけている」と話す。1歳の長女を持つ宇都宮市の主婦(26)は「赤ちゃんをかわいがる善意と思える行為が、犯行の前触れだったなんて信じられない」と複雑な表情を浮かべていた。(吉田祐也、木引美穂、岡本朋樹)(読売)

Friday, June 18, 2010

39%で負担重く治療中断

全国保険医団体連合会(保団連)は17日、医療機関の39%が半年以内に、治療費負担が重いなどの患者側の理由で治療を中断したことがあるとの調査結果を公表した。保団連は「原則3割の窓口負担が高すぎるので、軽減するべきだ」としている。
 調査は5月中旬以降に全国で実施。茨城、福岡など7都府県の病院や医科診療所、歯科診療所の2829施設分中間集計した。患者の経済的理由で治療が中断した例があったと回答したのは1097施設(39%)。歯科診療所は、ほぼ半数「あった」とした。
患者が検査や治療、投薬を断った事例を経験した医療機関は43%。患者が窓口で支払う治療費の未収金があるとしたのは45%に上った。
保団連によると、治療を中断した疾病は高血圧、糖尿病、歯周疾患などの慢性疾患が中心で、患者が断ったのは血液検査や内視鏡、心電図、エックス線検査などが目立ったという。「年金や給料が出るまで受診を延ばす」「所持金の範囲内での治療を希望する」などの例も多く、患者の受診回数自体が減少したとの指摘も多くみられた。(山陽)

Wednesday, June 16, 2010

政府、未承認薬を使用可能に 約200の医療機関で

政府は15日、抗がん剤など欧米で承認されながら日本で未承認の医薬品や医療機器を国内で使えるようにする仕組みを導入する方針を固めた。特例的に使用できる「選定医療機関」を指定、2020年までに全国で200機関程度を想定している。費用は基本的に自己負担。併用した保険診療の保険適用は認める方向だ。
 医療先進国を目指す政府が、近くまとめる経済成長戦略に盛り込む。新しい治療法を待望する患者にとっては朗報となるが、日本医師会などからは安全性や有効性が確認できていないとの反発が予想され、調整が難航する可能性がある。
 他国で最初に発売された新薬や機器が自国で承認されるまで長い時間がかかる状況は「ドラッグ・ラグ」「デバイス・ラグ」と呼ばれる。日本は世界で飛び抜けて長いとされ、解消策が求められている。
 政府案では「必要な患者に世界標準の医薬品・機器を迅速に提供し、難治療疾患患者の選択肢を拡大する」と強調。使用できる未承認薬・機器の範囲は今後検討するが(1)選定医療機関の裁量に任せる(2)医療機関の判断で使用し、事後確認制度を設ける―などの案が浮上している。(山陽)

Tuesday, June 15, 2010

なぜアフリカでW杯を行うのか

W杯の開催のみならず、現在、アフリカは世界中の耳目を集めている。事実、アフリカ諸国の政治経済状況は、2000年以降、改善されつつある。
多くのアフリカ諸国が域内の石油産出国や南アフリカを初めとした南部アフリカ諸国の活況を受け、2005年には5.2%、2006年には5.7%、2007年には5.8%という高い成長率を記録し、2008年にはそのレベルを維持し、輸出額も拡大していた。 
こうした状況下で行われる2010年南アフリカW杯は、歴史的に重要なものであり、南アフリカのみならずアフリカ大陸全体に希望をもたらすものでなければならない。2000年7月の2006年の開催権を巡る選挙においては、3回戦まで縺れ、南アフリカはドイツに敗れる。
アフリカ開催を断言していたとしても、南アフリカという選択は、ブラッター会長による政治的かつ経済的な選択でもあった。南アフリカはこのW杯に多くの期待を寄せている。W杯に出場している他のアフリカ諸国も様々な経済的且つ政治的W杯特需を期待している。
「アフリカの年」から50周年という節目の2010年に行われる南アフリカW杯は、アフリカ人一人一人に自信と勇気を与え、アフリカの連帯や団結心を更に高め、大陸に対する注目度を今以上に高めることに資することとなろう。(読売)

Monday, June 14, 2010

口蹄疫で人気の高千穂牧場が休止

口蹄疫問題を受け、宮崎県都城市の人気観光施設「高千穂牧場」が、防疫強化のため14日から観光客の受け入れを休止した。再開日は未定。
 同牧場の親会社によると、4月に県内で口蹄疫が発生した後も、飼育部門を立ち入り禁止にした上で観光客の受け入れを続けてきたが、今月9日に都城市内の農場に被害が飛び火したのを受け、休止を決めた。
 宮崎市や鹿児島市にあるアンテナショップは通常通り営業を続け、乳製品などの通信販売も注文を受け付ける。同牧場には牛約100頭、羊約30頭のほか馬やヤギなどがおり、2008年度には約52万人が訪れた。
 また、都城市内の高齢者向け施設「長寿館」も14日から休館となった。長寿館は、都城市で長く生活し、1992年に114歳で亡くなった白浜ワカさんを記念して建てられた。月に延べ1300人のお年寄りが訪れ、ミニバレーや食事会を楽しんでいるが、この日は訪れる人もなく、ひっそりと静まり返っていた。都城市では、スポーツ施設の休館や公園の閉鎖も目立っている。(山陽)

Saturday, June 12, 2010

エルニーニョ終息、秋にはラニーニャの可能性

気象庁は10日、昨年6月に発生していたエルニーニョ現象が、今年春に終息したとみられると発表した。
 エルニーニョ現象は、ペルー沖の太平洋赤道海域の海面水温が、平年より0・5度以上高い状態が続く現象。同庁によると、太平洋東部にある監視海域の海面水温は、昨年12月をピークに下がり始め、今年春にプラス0・5度未満になったとみられる。
 一方、同庁は今秋にかけて、同海域の海面水温が平年より0・5度以上低くなるラニーニャ現象が発生する可能性があると明らかにした。発生すると、冬場は北日本を除き、低温になる傾向にあるという。(読売)

Friday, June 11, 2010

人工呼吸器利用者の生活向上のため情報発信

「自分に合った人工呼吸器を選ぶことが、自立のための第一歩。でもその情報は少ない」
 病気やけがのため人工呼吸器を使っている仲間と、社会とかかわりながら暮らすノウハウを探る。利用者が集まる団体「呼ネット」を昨年設立。先月は、医療機器メーカーに呼びかけ、初の展示会を東京都内で開いた。約50人が参加し、機種の特徴などについて活発に質問した。
 小学3年の時、全身の筋力が衰えていく筋ジストロフィーと診断された。「人工呼吸器は気管の切開が必要な例が多く、正直、怖かった」。だが、病状に伴い29歳で使い始めると、家にいることが多かった生活が変わった。仕事や旅行などを、より楽しめることがわかったのだ。
 ただ仲間には、電池が重くて思うように動けず、悩む人も少なくない。性能も向上し様々な機種があるのに、医療現場に伝わっていないと痛感した。予備電池に保険が適用されないなど、課題も多い。
 介助を受けながらの一人暮らし。最近恋人もできた。「私たちの姿と生の声を広く知ってほしい」(生活情報部 斉藤保)小田 政利(おだ まさとし)さん 41(読売)

免許証で臓器提供の意思表示 7月改正

警察庁は3日、道交法施行規則を改正し、運転免許証の裏面に臓器提供意思表示カードの内容を新たに記載し、本籍地の記載をやめる新様式を導入することを決めた。7月17日に改正規則を施行する。
 臓器提供の普及拡大努力を行政機関に求めた改正臓器移植法が同日施行されることに伴う措置。
 またICチップに本籍地情報を記録し文字記載をしないICカード免許証の導入が全都道府県に行き渡ったため、本籍欄を削除した。(山陽)

免許証で臓器提供の意思表示 7月改正

警察庁は3日、道交法施行規則を改正し、運転免許証の裏面に臓器提供意思表示カードの内容を新たに記載し、本籍地の記載をやめる新様式を導入することを決めた。7月17日に改正規則を施行する。
 臓器提供の普及拡大努力を行政機関に求めた改正臓器移植法が同日施行されることに伴う措置。
 またICチップに本籍地情報を記録し文字記載をしないICカード免許証の導入が全都道府県に行き渡ったため、本籍欄を削除した。(山陽)

Wednesday, June 09, 2010

家族同意で臓器提供OK

臓器提供の条件を緩和する改正臓器移植法が7月から全面施行される。
 「提供したくない」と明確に意思表示していない限り、だれもが死後、臓器を取り出される可能性が出てくるが、こうした法改正の内容を約4%の人しか知らないことが、日本移植学会などの意識調査で分かった。
 調査は今年4月、インターネットを通じて実施。全国の20~60代の男女1000人分の回答を分析した。
 改正法では、15歳未満からの臓器提供や、本人が生前に提供意思を示していなくても家族の同意だけで提供することが可能になる。この内容を「知っている」と答えたのは38人だった。
 臓器移植に関心のある人は57・5%を占め、「内容はわからないが、法改正は知っている」人も27・1%に上った。
 同学会の寺岡慧理事長は「関心は高いが、情報が十分に伝わっていない。啓発に力を入れたい」と話している。(読売)

Sunday, June 06, 2010

そううつ病へ理解求め患者会設立

そううつ病(双極性障害)への幅広い理解や当事者同士の相互扶助、治療対策の推進などを目指す患者団体「日本双極性障害団体連合会」が設立され、東京都内で5日、記念の講演会が開かれた。
 作家北杜夫さんの長女斎藤由香さんはそううつ病の北さんを中心とした家族の生活風景をユーモラスに紹介。「家族は振り回されたが、父を嫌いになったことはない。父は『病気は必ず治るものだ』といつも言っています」と語った。
 作家の絲山秋子さんは自身の体験談を披露。症状を認識するために「自分で指標を作るといい。病気は人生の一つの経験」とアドバイスし「体調はコントロールするもの、時間は自分が管理するもの。これらができればもうちょっと病気が楽になると思う」と述べた。
 講演会には首都圏を中心に当事者や家族ら約180人が参加。当事者らの質問に応じる座談会や、当事者の体験発表もあった。(山陽)

Wednesday, June 02, 2010

トコロジスト

身近な森などの動植物だけでなく、歴史や文化にも精通した「その場所の専門家」のこと。自然に親しみ守り育てることに関心が広がるなか、地元デビューし、トコロジストを目指すシニア世代もいる。(飯田克志)
新緑がまぶしい神奈川県大和市の上和田野鳥の森。近くに住む福島錦一さん(68)、弘中健一さん(66)、佐藤正一さん(57)は今春、わき水もあるこの森(約四ヘクタール)のトコロジストを目指し活動を始めた。
 福島さんは「会社人間で地元を全然知らなかった。森を知れば知るほど楽しくなると思う」、エンジニアだった弘中さんは「森のことを知ってもらおうとホームページをつくった」と話す。
 トコロジストは、同県平塚市の市博物館元館長で神奈川大教授(地域自然史)だった故・浜口哲一さんが、二〇〇四年に提言した。
 かかわった行政の緑地保全計画や河川改修などで、それぞれの分野の専門家が意見を主張し、議論がかみ合わない場面に何度も遭遇したからだ。よりよい自然保護や環境保全を実現していくには、「その場所」を多面的に知り、愛着があるコーディネーター役の必要性を痛感した。
 トコロジストとは、「所(トコロ)」と、英語で専門家を意味する接尾語「イスト」を組み合わせた造語。浜口さんの知人で、同県大磯町でアオバトを仲間と研究していた田端裕さん(72)が考えた。
 「場所」に視点を置いたトコロジストは、近くに暮らしている市民だからこそできる活動だ。緑地保全などで市民の協力を期待する自治体も関心を持った。
 大和市は昨年度からトコロジスト養成講座を開始。前出の福島さんたちはその一期生だ。横浜市も本年度、同様の存在となる「はまレンジャー」の養成講座を始めた。受講生の多くがシニアという。
 トコロジストはどんなことをするのか。浜口さんらと養成講座を企画した日本野鳥の会職員箱田敦只さん(46)によると、森などの動植物や市民の利用状況など「場所」について、まず情報収集が役目。その情報を市民に伝え自然と市民のつなぎ役となる。さらに蓄積した情報を活用し、保全に取り組む。「植物や鳥の専門家を縦糸とすると、横糸として連携することでコーディネーターとしての活動も広がる」
 すでに各地でトコロジスト的に活動してきた人もいる。三浦半島自然保護の会の鈴木茂也会長(52)=同県横須賀市=は自宅から車で約十五分の二子山へ二十年間通っている。
 日本野鳥の会神奈川の代表でもあり、十二年前からは野鳥調査も続け、地元の小学校で話したり、行政の緑の保全計画の策定にも参加した。
 「二十年も通うとは思わなかったけれど、つぼみだった花が数日後に咲くとか、いつ来ても変化や発見があって面白い。顔見知りの人も増えると、居心地が良くなる」
 先達の活動を知るとトコロジストへの道のりは遠そうに感じるが、前出の福島さんらは森の生物地図づくりから始め、佐藤さんは「将来は小中学生に森で課外授業をしたい」と意気込む。
 箱田さんは「まず地図を持って、歩いてみて」と助言する。(東京)

Tuesday, June 01, 2010

坂道健康のススメ

坂道を歩いて健康に――。東京都目黒区は、区内にある坂道をコースに盛り込んだウオーキングのガイドブック「坂道ウオーキングのすすめ」=写真=を制作した。1部200円。
 同区では、「景色を楽しみながら坂道を歩いて、健康作りに役立ててほしい」としている。
 同区内には、坂道が多く、名前が付いている坂だけで33か所もある。同区では、この地形を区民の健康作りに生かせないかと考え、ガイドブックの制作を思いついたという。
 紹介されているのは、33か所の坂のうち最も傾斜が大きい「十七が坂」を含む「坂の醍醐(だいご)味健脚コース」や夜間でも照明が多く、安心して歩くことが出来る「ナイトウオーキングコース」など全7コース。坂の由来や歴史、傾斜のほか、カフェや公園などコース上で立ち寄れる場所なども示されている。
 コースに坂道が入っていることで、普通のウオーキングに比べて負荷が高く、運動効果も高まるという。また、高いところから町並みを眺めるなど景色の変化も楽しめる。
 ガイドブックは、区役所や、同区内の一部書店でも販売される。問い合わせは、区健康推進課(03・5722・9586)へ。(読売)