Saturday, January 29, 2011

ド派手な赤色「止まれ」事故防止に効果アリ?

交通事故が多発している松山市内の交差点5か所で、「止まれ」の文字と真っ赤なカラー舗装を組み合わせたペナント型道路表示が試験的に導入された。
 一時停止線に気づかなかったり、守らなかったりするドライバーの注意を目立つ表示で引きつける試みで、福島県に次いで全国で2例目。塗料にガラスビーズや砂利が混ぜられ、夜間はライトで反射するようになっており、愛媛県警交通規制課は「効果が実証されれば、県内各地に広げたい」と期待している。
 同課によると、県内の交通事故は6年連続で減少しているが、一時停止表示がある場所での事故は2010年で130件と前年に比べ40件増加している。
 中でも、同市針田町、富久町の市道交差点は見通しが悪い上に街灯も少なく、半径500メートル以内にある5か所で、過去5年間に車が関係する出合い頭の人身事故が計30件発生。付近の小学校の通学路で、子どもたちを守るための対策を求める声が住民から上がっていたことから、新しい道路表示を試行することになった。
 新表示は、停止線を底辺とした三角形型。表示を認識してからブレーキをかけても停止線内で止まれるよう、13メートル手前から舗装されている。塗料に含まれたガラスビーズや砂利は反射材としてだけでなく、雨天時のスリップ防止に役立ち、“派手すぎる”ことで、意図的に一時停止を無視する人にも「止まらなければ」と思わせる効果が期待できるという。
 今月20日に工事を完了。同課は約3か月間、近隣住民らに定期的な聞き取り調査を行うなどして効果を検証する予定だが、近くの主婦(38)が「ペナント表示が設置されてから、車が一時停止する頻度は目に見えて増えた」と話すなど、住民の評判は上々。(読売)

Wednesday, January 26, 2011

ブーツの中 雑菌の温床

女性が、ストッキングにブーツを履いて夕方まで過ごすと、足の雑菌量は朝の23倍に急増するという(ケア用品販売会社シービック調べ)。靴下に革靴で過ごす男性(朝の4倍)よりも、はるかに多くの雑菌を繁殖させてしまうのだ。
 ブーツを朝から履き続けると、夕方にはブーツ内の湿度が96%に達するという調査もある。このようなブーツ内の環境は雑菌の温床で、翌日も同じブーツを履くと、雑菌をますますはびこらせてしまう。
 そこで、忘れてはならないのが靴の手入れだ。靴のケア用品販売会社R&Dの広報担当、福島健太郎さんは「1日履いた靴は、翌日は休ませて湿気を抜くといい。靴を2、3足用意して順番を決めて履くと、臭い対策になり、靴も長持ちする」と勧める。
 とはいえ、お気に入りの靴は続けて履きたくなるものだ。翌日も気持ちよく履くには、夜間の湿気とりが欠かせない。
 木のチップなどを素材にした靴用の除湿乾燥剤が販売されているが、食品に付いている乾燥剤を捨てずに利用すると、お金がかからない。使用済みの使い捨てカイロにも除湿作用があり、靴の除湿に利用できる。
 靴の中に吹きかけて雑菌を減らすスプレーもあり、除湿と組み合わせて行うとよいだろう。(佐藤光展)(読売)

Tuesday, January 25, 2011

伊沿岸、遺棄化学兵器の被害深刻、多くが未回収

第2次大戦中から戦後にかけてイタリア半島沿岸に米英軍やイタリア軍が大量に投棄した化学兵器が、今も海中に多く残されたままとなっており、引き揚げた漁師らに深刻な健康被害が出るなど問題となっている。環境汚染も懸念されているが回収は一部のみで処理は進んでいない。(共同)

Friday, January 21, 2011

タミフルは耐性できやすい薬の性質か、研究報告

インフルエンザの治療薬として広く使われているタミフルは、別タイプの治療薬リレンザに比べ、子どもの患者では薬が効かない耐性ウイルスができやすいとの研究結果を、東京大医科学研究所の河岡義裕教授と、けいゆう病院(横浜市)の小児科医、菅谷憲夫参事らが米医学誌電子版に20日、発表した。
 タミフルに耐性があるインフルエンザウイルスの検出例は多い一方で、リレンザではまれ。タミフルの使用量の方が多いのが原因の可能性もあったが、今回の研究結果は、耐性ウイルスのできやすさは薬の性質の違いによる可能性が大きいことを示した。
 河岡教授らは、2005~09年にかけ4つの病院で、タミフルとリレンザを投与された72人を、一定の条件のもとで比較調査した。(山陽)

Thursday, January 20, 2011

インドで出血熱、3人死亡、診察した医師と看護師も

PTI通信によると、インド西部グジャラート州保健当局者は19日、エボラ出血熱に類似したクリミア・コンゴ出血熱により、同州で3人が同日までに死亡したことを明らかにした。
 当局者によると、今月上旬に女性患者が死亡。患者を診察した医師と看護師がその後死亡した。保健当局は、州内の住民に注意喚起した。

Wednesday, January 19, 2011

触媒活用しCO2を資源化、東工大が手法開発

地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を、金属の触媒を使って、医薬品やプラスチックの合成に利用可能な炭素資源に変換する手法を、東京工業大学の岩沢伸治教授(有機合成化学)らのグループが開発した。
 「厄介者」の二酸化炭素を資源として有効活用できれば、化石燃料の枯渇や環境問題などの解決にもつながると期待される。研究成果は米化学会誌に発表された。
 二酸化炭素は非常に安定しており、反応しにくいため、工業的な利用は、尿素やポリカーボネートの生産など一部に限られている。
 研究グループは、炭素化合物の反応性を高める金属触媒のロジウムに着目。ロジウムが結合しやすいように工夫した炭素化合物を使うと、ロジウムの働きで、炭素―水素の化学結合が切れやすくなり、二酸化炭素と結びつくことを発見した。(読売)

Monday, January 17, 2011

全盲男性ホーム転落、死亡 目白駅

十六日午後五時十五分ごろ、東京都豊島区のJR目白駅ホームで、山手線外回りの線路内に豊島区北大塚一、マッサージ師武井視良(みよし)さん(42)が転落、進入してきた電車にはねられ死亡した。武井さんは全盲で誤って転落したとみられ、即死状態だった。
 目白署によると、武井さんは、スポーツクラブの新年会にやはり全盲の妻(55)と一緒に参加し、帰宅する途中だった。
 上野駅から山手線内回り電車に乗り、大塚駅で降りる予定だったが、二人とも寝過ごして二駅先の目白駅で降車した。大塚駅に戻るため反対側の外回りのホームに向かった際、誤って転落したらしい。
 妻は、先に歩く武井さんが背負っていたリュックサックをつかみ、後ろをついて歩いていたが、周囲の「危ない」との声と同時に武井さんだけが転落し、直後に電車が進入したという。武井さんと妻はともにつえを持っていたという。
 目白駅には点字ブロックはあったが、ホーム柵などはなかった。
 JR東日本によると、山手線外回りは一時運転を見合わせ、十七本に最大約一時間の遅れが出て、乗客約三万二千人に影響した。(東京)

Sunday, January 16, 2011

臓器提供の検証、簡略化へ病院の訪問調査省略も

脳死者からの臓器提供に関する厚生労働省の検証会議(座長・藤原研司横浜労災病院名誉院長)は14日、昨年の改正臓器移植法施行前の提供例について、検証作業を簡略化し、迅速に検証を進めることを決めた。
 提供病院などから提出された書類に疑問がなければ、専門家による病院への訪問調査を省略するなどの見直しが検討されている。2月に開かれる厚労省臓器移植委員会に提案する。
 検証会議はこれまで、提供病院の医師らから聞き取りをするなどして救命治療や脳死判定の妥当性を検討してきたが、作業は遅れ、改正前の20例以上の検証が済んでいない。改正法で始まった家族の承諾による提供例は14日現在30例あるが、検証方法は未定で作業は始まっていない。(山陽)

Saturday, January 15, 2011

鼻の酵素がにおい決める 物質の出す分子が変化

私たちが感じるにおいは“生”のまま届いているのではなく、少なくとも一部は鼻の粘液中にある酵素の働きで変化していることが分かった。東京大の東原和成教授らがマウスの実験で突き止めた。鼻で感じ取っていたのは“酵素のフィルター”を通した世界だったのだ。
 においは、物質から出た分子が、鼻の神経細胞にある「嗅覚受容体」にくっつくことで感じ取られる。分子の持つ「官能基」と呼ばれる部分が、においを特徴づける。
 東原教授らは、マウスの鼻の粘液を調べ、特定の官能基が酵素の働きによって別の官能基につくりかえられることを発見した。果実の香りなどで知られる官能基のエステルはアルコールになり、カメムシなどのにおいのもととなる官能基アルデヒドは、カルボン酸という官能基とアルコールになっていた。
 細胞レベルの反応も変化した。神経細胞からにおいの情報が集まる「嗅球」という脳の一部は、においの種類に応じて特定の反応パターンを示す。マウスの鼻を薬剤で処理して酵素の働きを止め、嗅球の反応を調べたところ、処理の前後でパターンが変化した。
 酵素の働きが、実際にマウスの知覚にも影響していることも実験で示した。餌のある場所に香辛料のクローブのにおいをつけてマウスに覚えさせる。その後、酵素の働きを妨げる薬剤を鼻に注入すると、餌をうまく探せなかった。酵素の働きでにおいが変化している証拠だ。
 酵素は人間の鼻にもあり、もともと有害なにおい分子を分解する役割を持つと考えられる。普段は気にならないにおいも体調によっては不快に感じるが、酵素分泌の変化が原因の可能性があるという。
 人間の鼻は約四百種の嗅覚受容体がさまざまな組み合わせで反応し、微妙なにおいを嗅ぎ分ける。今回の発見でその仕組みが一層複雑なことが分かったが、東原教授は「だからこそ、においの世界は面白い」と語る。(東京)

Thursday, January 13, 2011

辛抱強い人は、頭の中が違う!

人気レストランに入るため、行列で辛抱強く待つ人の脳ではセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が多く分泌されているのかもしれない――。
 こんな研究結果を、沖縄科学技術研究基盤整備機構の研究チームが動物実験で明らかにした。注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、衝動性を伴う精神疾患の原因解明や治療法の開発につながる可能性がある。12日、米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス電子版に掲載された。
 脳内のセロトニンの働きを抑えると、衝動的な行動を取るようになることがこれまで知られていた。だが、実際に辛抱強く待機しているとき、セロトニンがどう変化するかは分かっていなかった。
 研究チームは、ラットに数秒間の待ち時間後にエサや水を与える実験を行った。その結果、エサや水をじっと待っている間、ラットの脳ではセロトニンを分泌する神経細胞の活動が高まり、実際にセロトニン濃度が上昇した。一方、途中で待つのをあきらめてしまった場合は、この神経細胞の活動が数秒前から弱まることがわかった。(読売)

Tuesday, January 11, 2011

ラニーニャ現象が依然継続

気象庁は11日、南米ペルー沖の海面水温が下がり、異常気象の原因となる「ラニーニャ現象」が依然継続中との監視速報を発表した。終息時期は、春の後半から夏の前半ごろとみている。
 昨年末以降の西日本を中心とした厳しい寒さは、ラニーニャの影響で偏西風が蛇行、寒気が南下しやすかったことが一因の可能性がある。海外では、オーストラリア東部の多雨がラニーニャ発生時の天候の特徴と一致。同国北東部のクイーンズランド州などでは、昨年末からの豪雨で洪水などの被害が発生している。インド西部の低温にも影響した可能性がある。気象庁によると、ペルー沖の監視海域では、昨年12月の平均海面水温が基準値(過去30年の平均)より1・5度低かった。(共同)

Monday, January 10, 2011

鳥取、新型インフルの女性が死亡、予防ワクチン受けず

鳥取県は9日、新型インフルエンザに感染した同県境港市の30代の女性が死亡したと発表した。死因は肺炎とみられる。基礎疾患や予防ワクチンの接種はなかった。
 県によると、女性は8日午前に開業医を受診。簡易検査でA型陽性と診断され、タミフルなどを処方された。午後に自宅で倒れているのを家族が発見、搬送先の病院で死亡が確認された。
 県の詳細(PCR)検査で新型インフルの感染が確認された。(山陽)

Friday, January 07, 2011

異常気象が人口減らす?

厚生労働省によると、昨年の人口動態統計年間推計で、死亡数が出生数を上回る「自然減」が12万3000人となり、統計を取り始めた1899年以来、初めて10万人を突破した。
 死亡数が大幅に増加したためだが、その背景には異常気象があったのだという。日々の天気と人口の自然減との間に、どんな因果関係があるのだろうか。
 日本では2005年に初めて死亡数が出生数を上回る「人口減社会」に突入した。少子化が主な要因で、終戦直後、年270万人近かった出生数は、昨年は107万1000人まで減った。2020年代には70万人台となることが予測され、高齢化も進むことから、今後も人口の自然減は続いていく見込みだ。
 さらに、昨年の場合、出生数は前年比1000人増の107万1000人だったのに対し、死亡数が同5万2000人も増えて119万4000人と、戦後最多を更新し、自然減に拍車をかけた。厚労省によると、ここに昨夏の記録的猛暑が影響しているという。
 死亡数の約8割は高齢者(65歳以上)が占めている。例年、死亡数は冬場に多く、夏場は比較的少ない傾向にあるが、昨年は、7月の死亡数(速報値)が前年同月比約8000人増の約9万6000人、8月は同7000人増の約9万7000人と、夏場の増加幅が突出していた。
 気象庁によると、昨年は観測史上最も暑い夏だったといい、ヒートアイランド現象の影響を受けにくい全国17地点の記録を見ても、記録がある過去113年間で、6~8月の気温が最も高かった。熱中症患者も続出し、総務省消防庁によると、7~9月に救急搬送された人は約5万4000人で前年同期の4倍で、その半数近くが高齢者だった。
 各自治体では高齢者の熱中症対策に追われた。東京都新宿区の大久保高齢者総合相談センター相談員の渡辺光亮さんは「連絡が取れなくなったお年寄りの自宅を訪問すると、脱水症状を起こし、すでに亡くなっていた方もいた。こんなことは近年なかった」と振り返る。
 ただ死者が増えたのは夏だけではない。月別の死亡数を見ると、4、5月も前年より4500~5000人増えている。気象庁によると、この時期は、全国的に気温の変動が大きく、4月中旬には東日本の広い範囲で季節はずれの降雪を観測するなど、空模様は不安定だった。
 厚労省人口動態・保健統計課は「猛暑の影響に加えて、春から夏にかけて、寒暖の差が激しかったことも、高齢者の健康には負担をかけたようだ」と分析。猛暑に限らず、不順な天候はお年寄りを中心に人の健康をむしばみ、昨年の人口の動向に少なからず影響を与えていた。(小泉朋子)(読売)

Wednesday, January 05, 2011

8割が死なずに済んだのに…事故分析で明らかに

静岡県内で発生した自動車運転中の死亡事故で、シートベルトを着用せずに死亡した運転手や同乗者の約8割が、着用していれば一命を取り留めていた可能性があることがわかった。
 車外に放り出されて死亡したケースでは、全員が死なずに済んだ可能性が高いという。
 調査は、県警交通企画課が、2008年から10年11月末での約3年間に起こった死亡事故を分析した。
 自動車乗車中に事故で死亡した172人のうち、シートベルトを着用していなかったのは61人。事故の状況などを分析した結果、49人は着用していれば助かった可能性があると推測された。
 車外に投げ出されて死亡したケースに限れば、着用の効果は一層高いことも分かった。09年~10年11月末の間に死亡した運転者7人、後部座席の同乗など5人の計12人を分析したところ、全員がシートベルトの着用で助かっていた可能性が高いという。
 実際、昨年11月1日、沼津市の東名高速上り線で、トラックに追突されたトラック運転の男性(当時71歳)が、フロントガラスを突き破って車外に投げだされ、頭を強打して死亡した事例でも、着用すれば車外放出は防げたという。(読売)

Monday, January 03, 2011

宇宙から見る 人の営み

パソコン画面に現れた東南アジアの地図。点灯する赤い光が時間とともに移動し、やがて消えると青にとってかわった…。
 赤は地上の大規模な炎の動きを、青は水の存在を示します。東京大学生産技術研究所の竹内渉准教授(環境・災害リモートセンシング学)は「ベトナムやラオスでは四、五月が『火入れ』の時期。農家が田んぼに火を放ち、雑草を焼くのです。火入れが終わると田んぼに水が引かれます」。
 竹内准教授は人工衛星で炎と水の動きを観察し、人間活動をグローバルに見つめています。ギリシャ神話の火の神、水の神が人間を見守っているかのように、宇宙から地球を観察するのです。
 炎からは特有の赤外線が、水分からは可視光線が放出されます。その光を米航空宇宙局(NASA)の人工衛星「テラ」と「アクア」が観測しているのです。両衛星は高度約七百キロを一周百分で南北に回りながら炎や水の情報を送ってきます。
 それだけでは海と川、火山と森林火災の区別はできません。「既存のデータベースなど、さまざまな情報を組み合わせれば区別できます。火山と森林火災の区別も、世界中の火山や大火災のデータを組み合わせて行います」と竹内准教授。
 インドネシアのボルネオ島には約四万種の生き物がいます。衛星観測の結果、この島では頻繁に火災が起き、生物たちが危険な状況にあることがわかってきました。
 日本の環境省の支援で、現地の人に火災現場に行ってもらい、火災前後の写真を集める取り組みを三年前に始めました。その結果、火災が繰り返される泥炭地は、地面がむき出しになって乾燥し、燃えやすくなっていることがわかりました。
 衛星と地上の情報を組み合わせた統合的な観測システムを、東南アジア各国と共同で森林管理に応用する試みも進んでいます。
 豊かな森林のインドネシアは、開発や山火事の影響もあって世界第三位の二酸化炭素排出国でもあります。竹内准教授は「衛星観測で地球の健康状態を診断できる。環境や災害など複雑化する社会問題の解決には、俯瞰(ふかん)的な視野で戦略をたてる必要があります」と話しています。科学が社会のありかたを変えていくのです。 (高橋里英子)(東京)

Saturday, January 01, 2011

胃食道逆流症 薬や手術で胸焼け改善

胃の内容物が食道に逆流して胸焼けなどを引き起こす「胃食道逆流症」(GERD=ガード)の患者が増加している。服薬や手術療法が確立されており、多くの場合、症状を改善できる。「食道と胃の境目にある括約(かつやく)筋の働きで、胃酸が食道に逆流するのを防いでいるが、これが正常に働かないと、胃の内容物が逆流してしまう」。東京医科歯科大大学院の河野辰幸教授(食道・胃外科)はこう説明する。 主な症状は胸焼けだ。 食後すぐに横になる習慣も「消化のために胃酸が多く分泌されているほか、胃の内容物が多いため、逆流したものが食道にとどまりやすい」(河野教授)。食道にただれや潰瘍が見つかる「びらん性食道炎」が典型的だが、症状はあるもののただれや潰瘍はない「非びらん性食道炎」も少なくない。(東京)

消化管「伸び」の働き解明 

消化管が伸び縮みするときの「伸び」を察知するたんぱく質の働きを、自然科学研究機構生理学研究所(岡崎市)と富山大学の研究チームが解明した。消化不良感を引き起こす機能性胃腸症や下痢・腹痛を繰り返す過敏性腸症候群などの原因究明、治療薬開発につながる可能性があるという。8日付の米神経科学学会誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」(電子版)に掲載される。
 同研究所によると、日本人の多くが経験する胃もたれなど消化不良感は、消化管の動きや知覚過敏が引き起こすと考えられてきたが、詳しいメカニズムは分かっていなかった。
 研究チームは、同研究所の富永真琴教授(分子細胞生理学)と富山大学大学院の杉山敏郎教授(消化器病学)らで構成。今回、マウスを使った実験で、消化管の神経細胞に含まれる「TRPV2」というたんぱく質が、消化管の筋肉を緩めさせる一酸化窒素の放出を促していることを突き止めた。
 さらに、TRPV2を活性化させる薬を使うと、小腸が緩み、内容物がスムーズに移動することを実験で確認。逆にTRPV2の働きを抑える薬の投与によって消化管が緩まなくなることも分かった。下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群の治療に役立てることが可能という。(読売)