Friday, July 30, 2010

高齢女性、8割がビタミンD不足

特別養護老人ホームなどの介護施設で暮らす女性高齢者の8割が、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが不足しており、自宅で暮らす人に比べて血中濃度も半分程度と低いことが、国立長寿医療研究センター(愛知県)の原田敦・先端機能回復診療部長らの29日までの調査で分かった。
 カルシウムの吸収を促し、骨の形成を助けるビタミンDの不足は骨折や転倒の原因となり、骨折したことがある高齢者には不足傾向が確認されている。太ももの付け根近くの骨折がもとで、歩行困難から寝たきりにつながる人も多い。
 原田部長は「ビタミンDの取りすぎは良くないが、干ししいたけなどの食品やサプリメント、日光浴などで補う方がいい」としている。
 調査対象は愛知県内の特養や老人保健施設、認知症グループホーム計46施設に入所する女性435人。寝たきりになっていない人たちで、平均年齢は86歳。(山陽)

Wednesday, July 28, 2010

日本人の平均寿命

厚生労働省は26日、2009年の日本人の平均寿命は女性86・44歳、男性79・59歳で、いずれも4年連続で過去最高を更新したと発表した。
 女性は25年連続で長寿世界一。男性は前年の4位から5位になった。男性の平均寿命が4位より下がるのは1973年以来。
 08年より女性は0・39歳、男性は0・30歳、平均寿命が延びた。男女差は6・85歳で0・09歳拡大した。同省は「主に心疾患や肺炎で死亡する割合が下がっていることが平均寿命の延びにつながっている」と分析している。
 厚労省が把握できた他国・地域の最新の統計との比較では、女性の2位は香港(86・1歳)、3位はフランス(84・5歳)。男性の1位はカタール(81・0歳)で、香港(79・8歳)、アイスランド(79・7歳)、スイス(同)が続いた。
 将来どのような死因で死亡するかを計算した「死因別死亡確率」では、0歳児の場合、がん、心疾患、脳血管疾患の「3大死因」による死亡率が男女ともに50%を超えており、男性は54・65%、女性は51・84%だった。(読売)

ひきこもり70万人、予備軍も155万人

家や自室に閉じこもって外に出ない若者の「ひきこもり」が全国で70万人に上ると推計されることが、内閣府が23日に発表した初めての全国実態調査の結果から分かった。将来ひきこもりになる可能性のある「ひきこもり親和群」も155万人と推計しており、「今後さらに増える可能性がある」と分析している。
 調査は2月18~28日、全国の15~39歳の男女5000人を対象に行われ、3287人(65・7%)から回答を得た。
 「普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」「普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」状態が6か月以上続いている人をひきこもり群と定義。「家や自室に閉じこもっていて外に出ない人たちの気持ちが分かる」「自分も家や自室に閉じこもりたいと思うことがある」「嫌な出来事があると、外に出たくなくなる」「理由があるなら家や自室に閉じこもるのも仕方がないと思う」の4項目すべてを「はい」と答えたか、3項目を「はい」、1項目を「どちらかといえばはい」と回答した人を、ひきこもり親和群と分類した。
 その結果、ひきこもり群は有効回答の1・8%、親和群は同4・0%で、総務省の2009年の人口推計で15~39歳人口は3880万人であることから、ひきこもり群は70万人、親和群は155万人と推計した。
 ひきこもり群は男性が66%と多く、年齢別では30歳代が46%を占めた。一方、親和群は女性が63%を占め、10歳代の割合が31%と高かった。
 ひきこもりとなったきっかけは、「職場になじめなかった」と「病気」がともに24%で最も多く、「就職活動がうまくいかなかった」が20%で続いた。
 今回の調査は社会的自立の度合いに着目し、「趣味に関する用事の時だけ外出」(推計46万人)とした人もひきこもりに分類した。これを除く「狭義のひきこもり」(同24万人)が、厚生労働省が5月に公表した「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」の26万世帯(推計)に相当するとしている。定義を広くとったのは、今後さらに増えるとの危機感からだ。
 調査の企画分析委員の座長を務めた高塚雄介明星大教授(心理学)は「『ひきこもり親和群』は若者が多い。そうした若者が社会に出て、辛うじて維持してきた友人関係が希薄になったり、新しい環境に適応できなかったりして、『ひきこもり群』がじわじわ増える」と警鐘を鳴らす。
 内閣府は調査にあわせ、自治体や学校への支援の手引書をまとめた。家庭、学校、地域社会が、人ごとでないとの意識で連携する必要がありそうだ。(政治部 青木佐知子)(読売)

Tuesday, July 27, 2010

品質向上 味わう水道水

夏本番、冷えた水が欠かせない季節だ。節約志向や環境への配慮から、水道水が飲み水として見直されている。手軽に一工夫加え、おいしく水分補給をしよう。 (杉戸祐子)
 横浜市の会社員男性(34)は半年前、自宅の飲み水を市販のミネラルウオーターから水道水に変えた。市販のポット型の浄水器にくみ置いて炭を入れ、冷蔵庫で保管する。「ペットボトルの購入や再資源化のコストと手間をなくしたかった。水道水は想像よりおいしい」
 「明日の水は大丈夫?」(技術評論社)などの著書のある水問題のジャーナリスト、橋本淳司さん(43)は「地域にもよるが、一九七〇、八〇年代の水道水はカビ臭やカルキ臭などが強かった。最近は都市部を中心に『高度浄水処理』が導入され、改善された」と話す。
 「高度浄水処理」とはオゾンや活性炭などで行う水処理法。従来の、薬品を利用する「急速ろ過方式」よりもカビ臭や発がん性物質トリハロメタンなどを多く除去し、水質が向上した。東京都や大阪市などは高度浄水処理した水道水をペットボトルで販売している。
 利用者も実感しているようだ。「ミツカン水の文化センター」が今年、都市部の住民を対象に水道水を十点満点で採点してもらった調査によると、東京圏六・九点、中京圏七・七点などで平均七・二点。調査を始めた一九九五年の五・七点より評価は高まってきている。
 水道水をよりおいしく飲むには? 橋本さんは「塩素をどう取り除くかがコツ」と明かす。消毒に使われる塩素は、水道法施行規則により、水道水中に一定以上残留している必要がある。だが独特のにおいがあり、おいしさにはマイナスだ。
 塩素を取り除く二大方法は、くみ置きと煮沸だ。就寝前に水がめにくんで一晩置くと塩素は揮発する。透明なペットボトルに入れ、ふたをせずに三~六時間日光に当てても、紫外線で分解される。やかんで数分沸騰させて揮発させる方法もある。またレモンなどの果汁を加えると、ビタミンCで中和できる。
 橋本さんは「集合住宅などで水道水が貯水槽から出る場合、貯水槽の状態でおいしさは変わる」ともう一つの課題を挙げる。活用したいのが炭だ。
 くみ置きや煮沸の際に木炭を入れると、汚れやにおいを取りのぞける。冷蔵庫の脱臭剤に使われる粒状の活性炭も有効だ。使用後にアルミホイルに載せてオーブントースターかフライパンで約十分焼くと、吸着したにおいが取れるので、不織布パック(お茶パックなど)に入れて使える。塩素の除去にも有効だ。どちらも週一回煮沸消毒。効果を保つため月一度、木炭は天日干し、活性炭は焼き直す。
 水は冷やして飲む。「一〇~一五度が一番おいしい」と橋本さん。朝一番の水は飲み水に使わない。「夜間滞留した水なので、水道管内のビニールのにおいがついている。朝は一分間出しっぱなしにし、掃除や植木の水やりなどに使って」
 橋本さん自身は毎晩就寝前に、水がめに十リットルほどくんで炭を入れ、翌日の飲み水や煮炊き用に使う。「野菜や米を洗っても水の塩素でビタミンが分解されることがなくなったので、おいしさが増した」と意外な効果も。
 塩素対策をした場合、日持ちは落ちる。橋本さんは「くみ置いた水は一両日中、冷蔵庫でも三日以内に飲んで」と助言する。(東京)

Monday, July 26, 2010

HIV誤通知の男性名乗り出る

名古屋市がエイズウイルス(HIV)抗体検査を受けた男性に誤って結果を陽性と伝えていた問題で、市は25日、男性から連絡を受け、正しい陰性の結果を伝えたと発表した。
 市は報道機関などを通じて名乗り出るよう呼び掛けていたが、男性から24日夕、「報道を見た」と電話があった。中保健所(同市中区)で、誤通知した医師と保健所職員が経緯を説明し、謝罪した。男性はほっとした様子だったという。
 男性は15日に血液検査を受け、中保健所で22日に別の人の結果を渡された。職員が受検番号の数字を読み間違えたのが原因。男性が立ち去った直後に誤通知に気付いたが、匿名検査のため連絡先が分からなかった。
 市の山田育弘健康増進課長は「早く名乗り出ていただいてよかった。再度このようなことがないよう注意していく」と話した。(山陽)

Wednesday, July 21, 2010

熱中症か、5人死亡

埼玉県内と石川県内で熱中症が原因とみられる死者が20日だけで計3人にのぼり、73地点で35度以上を記録するなど猛暑に見舞われた列島。読売新聞の集計では、17~20日までの4日間で、熱中症によるとみられる死者は5人、救急搬送された人は全国で2200人以上に上った。
 高校野球の予選で選手が搬送されたり、鉄道のレールがゆがんだりするケースも。環境省などでは「特に高齢者や幼児は注意が必要」と呼びかけている。
 読売新聞の20日午後10時現在のまとめでは、17日以降、20日までに救急搬送されたのは、埼玉県で208人、愛知県183人、東京都165人、福岡県137人、千葉県96人など。
 鳥取県日野町のJR伯備線では、20日正午頃、カーブ部分のレールが複数の個所でゆがんでいるのが見つかり、一部区間で運転を見合わせた。JR西日本によると、暑さでレールが伸びたとみられ、ゆがみは最大4センチあった。氷水をかけて冷やすなどした結果、約5時間30分後に復旧した。
 高校野球では17日、青森県予選で、暑さで体調を崩した選手1人が試合途中にベンチに下がり、試合が一時中断した。20日も、石川県予選が行われていた球場で選手2人が熱中症のため救急搬送された。
 20日に前橋市や伊勢崎市などで35度以上の猛暑日を記録した群馬県では、13の観測地点のうち12地点で今年の最高気温を更新した。
 一方、この暑さで、日焼け止めや肌を冷やすシート、スプレーなどの商品が売れている。都心の大手町でこの日、34・5度を観測した東京。銀座のドラッグストア「マツモトキヨシ」では、梅雨時と比べ、こうした商品の売り上げが10倍近くになった。
 環境省などによると、熱中症にかかると、めまいや立ちくらみの症状が表れ、重症の場合、意識を失ったり、けいれんを起こしたりする場合もある。同省などは、こまめな水分補給のほか、日傘や帽子の使用などの対策を呼びかけている。(読売)

筋肉まだ硬いと野口さん、1年ぶり帰国

半年間の国際宇宙ステーション滞在を終えて、地球に先月帰還した宇宙飛行士の野口聡一さん(45)が約1年ぶりに帰国し、東京の宇宙航空研究開発機構で20日、記者会見した。
 開口一番、連日の猛暑に触れ、「こんなに暑いとは思わなかった。そのせいか、そばやうどんが食べたくなった」。
 地球に戻った実感としては「地球は水の星だという思いがあったが、私たちは大気の海の底にいるとも感じるようになった。地球の美しさの感じ方も、多角的になった」と話した。
 体調は約1か月半のリハビリでほぼ打ち上げ前に戻ったが、「筋肉がまだ硬い。宇宙では重力がないため、日常的に柔軟体操ができず、筋肉をどうやってしなやかに保つかが、これからの宇宙滞在の課題」と説明した。(読売)

Tuesday, July 20, 2010

ケースワーカー激務の中で自立支援の術を探る

生活保護受給者が増え続けている。給付事務を担う福祉事務所のケースワーカー(CW)は負担が大きくなり、受給者の自立を助けられず、生活保護を狙う貧困ビジネスに委ねてしまう例もある。自立可能な受給者を生活保護の“出口”に誘(いざな)うにはどうすれば? 社会福祉関係者の間で先進地とされる北海道釧路市と、東京都江戸川区を訪ね、方策を考えた。(大野孝志)
 生活保護を受けている人に対して様々な働きかけをする職員を、一般的にケースワーカー(CW)と呼んでいます。ただ、現業員といったり、地区担当員と呼んだり、ソーシャルワーカーと呼ばれることもあります。査察指導員やスーパーバイザーといった呼び名も耳にします。はたまた、生活保護以外の担当がケースワーカーと呼ばれ、児童福祉司という職種だったりします。

Saturday, July 17, 2010

「ウイニーミニ」回収指示 アレルギー物質表示なし

茨城県筑西保健所は16日、日本ハムの茨城工場(筑西市)で製造されたウインナーソーセージ「ウイニーミニ」5品目の袋に、食品衛生法で定められたアレルギー物質「卵・乳」の表示がないとして、自主回収を指示したと発表した。健康被害の報告はないという。
 県によると、対象は6月26日から7月14日の間に同工場から出荷された、賞味期限7月25日から8月11日までの約60トン。「卵・乳」を含む原材料が誤って使われた。東北から近畿地方にかけて販売された。 日本ハムは、新聞やホームページなどで周知する予定。(山陽)

Thursday, July 15, 2010

大動脈解離見落とし男性死亡

北九州市は14日、市立八幡病院(同市八幡東区)で昨年4月、胸の痛みなどの症状で救急搬送されてきた30代の男性=同区在住=の大動脈解離を見落としたため、男性が死亡したと発表した。
 病院によると、昨年4月14日、胸の痛みや呼吸困難などを訴えた男性を、50代の男性内科医が「ストレスが原因の過呼吸症候群」と診断。男性は15日と17日にも受診したが、パニック障害の内服薬や鎮痛剤を処方した。
 男性は19日に容体が急変、別の病院に運ばれ大動脈解離の疑いが判明し、さらに病院を移して治療を受けたが死亡した。
 病院は、最初に激しい痛みを訴えなかったためストレスが主因と決めつけたのが原因と説明。遺族から損害賠償を請求され協議中という。
 市川光太郎院長は「ご本人とご遺族に心からおわびし再発防止に努める」と陳謝した。(山陽)

Friday, July 09, 2010

二重課税、04年以前も還付…「年金型」生保で財務相

野田財務相は7日、生命保険金を遺族が年金として分割で受け取る場合に、相続税と所得税の両方が課されるのは違法との判断を最高裁が示したことを受け、所得税返還の期限である5年以内の2005年分以降は所得税を還付し、5年を超える04年分以前についても救済する方針を明らかにした。
 財務相は、年金型の生命保険以外の金融商品でも同様の対応が必要となる可能性にも言及しており、広範な制度改正が必要になる可能性が出てきた。
 野田財務相は記者団に対し、「過去5年分の所得税については、請求を出していただければ減額(還付)する」と述べた。5年を超える部分についても「救済が必要だと思う」と言及したが、対応策については「法的な措置が必要なのか、政令改正で済むのか、子細に検討させていただきたい」と述べるにとどまった。
 さらに、「相続した金融商品で、今回の判決を踏まえて対応や改善をしなければならないものがあるかも知れない」と述べた。
 現行の国税通則法では、課税の誤りの訂正を求める場合、5年前までさかのぼることができる。このため、05年までの過去5年分の所得税について保険受給者は、請求すれば還付を受けられる。だが、還付の対象外となっている04年分以前については政府が対応するとしても、保険受給者や生命保険会社が書類をそろえられるかどうかといった問題が生じる可能性もある。
 最高裁判決の対象となったのと同様の保険で、既に遺族に年金の支払いが始まっている件数は、日本生命保険が約3400件、第一生命保険が約4500件、明治安田生命保険が約3600件で、大手3社だけで計1万件を超えている。一方、生命保険以外の金融商品については「政府税制調査会で議論し、来年度の税制改正に間に合うように対応する」との方針を示した。(読売)

Wednesday, July 07, 2010

生命保険訴訟・最高裁判決

年金タイプの生命保険金を巡り、42年前から定着してきた課税手法を違法とした最高裁の判断は、「税の公平性」を重視したものだ。
 所得税法は、同じ財産に対する二重課税を防ぐため、相続財産には所得税は課さないと定めている。この規定に基づき、生命保険金の全額を一括で受け取る場合には相続税のみが課され、所得税は課されていない。
 一方、年金タイプについては、国税当局が1968年3月の通達で「年金には相続税に加えて所得税を課すことができる」とする独自の“解釈”を示し、二重の課税を続けてきた。
 しかし、これでは受け取る保険金の総額は変わらないのに、受け取り方が「一括」か「分割」かの違いだけで、税額に著しい差が生じてしまうことになる。今回の訴訟をきっかけに、多くの税理士や学者がこの不公平さを指摘し、原告側の主張を支持していた。
 40年以上も通達の誤りが見過ごされてきたのは、今回の訴訟までは外部からの指摘がなく、国税内部で誤りが常識としてまかり通っていたためで、その間に国民の「被害」は拡大した。
 国税当局には通達の内容が法令の趣旨に合致しているかを常に検証する姿勢が求められる。(社会部 稲垣信)(読売)

Tuesday, July 06, 2010

予防接種受けてたのに… 百日ぜき 大人に流行

長期間せきが出続ける百日ぜきが、大人の間で流行している。百日ぜき菌による感染症で乳幼児の疾患とされていたが、二〇〇七年に大学で集団感染があり、大人の間での感染拡大が分かってきた。流行の原因は、乳幼児期に受けたワクチンの免疫効果の減少のようだ。 (杉戸祐子)
 百日ぜきの主症状は「長く続くせき」だ。乳幼児だと激しくせき込み、息を吸うときに高音を伴うけいれん性の発作が続く。せきは場合によっては数週間続く。重症化すると死亡したり、後遺症となることもある。
 大人では重症化ケースは少ないが、長期間せきが続き、夜間にひどくなる場合が多い。せきぜんそく、風邪などと判別しづらいため診断がつかず、気付かないうちに周囲に感染を広げることがある。
 大人に広まっている理由について、北里大の中山哲夫教授(ウイルス感染制御学)は「欧米に比べて予防接種の回数が少なく、十分な免疫が持続していないため」と説明する。「流行が認識され、診断がつかなかった症例が百日ぜきと診断されるようになったこと」も背景にある。
 百日ぜきの予防接種はジフテリア、破傷風とともに三種混合ワクチン(DPT)として、乳幼児期に計四回接種する。ジフテリアと破傷風は十一、十二歳で追加接種(DT)があるが、百日ぜきはない。接種後に自然罹患(りかん)による免疫の持続がなければ、ワクチンによる免疫持続期間は「五~十年程度と考えられている」(東京)

Sunday, July 04, 2010

雑草から組み換え遺伝子検出

三重県内の国道沿いに生えていたアブラナ科の雑草に似た植物から、特定の除草剤が効かないよう組み換えた菜種の遺伝子が検出されたことが2日、市民団体の調査で分かった。輸入した遺伝子組み換え菜種が輸送中にこぼれ落ち、国内に広く見られる雑草のイヌガラシと野外で交雑した可能性が高く、人為的につくられた遺伝子が近縁の植物を通じて生態系にさらに拡散する懸念がある。
 組み換え菜種と通常の菜種など栽培用植物との交雑は従来もあったが、野生植物との交雑が確認されれば国内で初めて。
 調査した「遺伝子組み換え食品を考える中部の会」(名古屋市)の河田昌東・四日市大非常勤講師は「組み換え遺伝子が野生植物にまで広がる可能性が出てきたことで、農作物だけでなく生態系への影響が懸念される」と話している。
 組み換え菜種の使用に際しては、生態系影響の評価など国の承認審査が必要だが、交雑が懸念される植物にはイヌガラシは含まれておらず、国は審査の見直しを迫られる可能性もある。(山陽)

Saturday, July 03, 2010

ポアンカレ予想貢献者ほかにも

数学(位相幾何学)で最大の難問とされていた「ポアンカレ予想」証明成功の業績で米クレイ数学研究所主催の「ミレニアム賞」に決まっていたロシアの数学者グリゴリー・ペレルマン氏(44)が、受賞と賞金100万ドル(約8800万円)の受け取りを拒否した。
 露インターファクス通信が1日報じた。ペレルマン氏は2006年にも数学界最高の賞「フィールズ賞」受賞を拒否している。
 ペレルマン氏は03年のポアンカレ予想証明発表後、事実上の隠とん生活を送っている。インターファクス通信によると氏は、受賞拒否の理由として、別の数学者が証明に果たした貢献が正当に評価されていないことに不満を示した。(読売)

Friday, July 02, 2010

向精神薬「重複処方」1300人

大阪市西成区の生活保護受給者から不正入手した向精神薬を違法転売したとされる事件を受けた厚生労働省の全国調査で、少なくとも1324人の生活保護受給者が80自治体で1月、複数の医療機関から向精神薬を処方されていたことがわかった。基準の4倍の量を4か所の医療機関から処方されたケースなど、不正入手が広く行われている実態が浮かび上がった。
 調査は、厚生労働省が4月、全国106の都道府県、政令市、中核市に指示。今年1月の診療報酬明細書(レセプト)をサンプルとして点検し、公費負担で精神科などを受診した生活保護受給者で、複数の医療機関を受診(重複診療)し、向精神薬を処方されたケースについて報告を求めた。
 読売新聞の取材に、対象の106の自治体のうち、93自治体が回答。そのうち、37道府県、16政令市、27中核市で、重複診療が見つかった。最多は大阪市の146人。次いで北九州市112人、神戸市98人、高知市89人、山口県74人、奈良県38人、和歌山市36人、横浜市35人など。
 大阪市によると、146人のうち約80人が基準量を超える向精神薬を入手していた。処方せんをコピーして複数の薬局から向精神薬を手に入れたり、約10か所の医療機関を受診したりしたケースもあったという。
 さいたま市では、浦和区の30歳代の男性が医療機関4か所で、大量に飲むと意識がもうろうとする向精神薬のハルシオンを1か月の基準量(60錠)の4倍の計240錠処方されていた。
 また、北九州市では、同市八幡西区の1人が3医療機関から、ハルシオンや精神安定剤のデパスなど計222錠を処方されていた。
 高知市の40歳代の女性は、神経内科や内科など4か所で、大量に服用すると幻覚や妄想などの禁断症状が出る精神安定剤ソラナックスなど7種の向精神薬計556錠を処方されていた。薬害に詳しいNPO法人「医薬ビジランスセンター」の浜六郎代表は「これだけの量を1人で飲めば、興奮状態になって異常行動を起こすこともある」と指摘する。
 調査の総数は、集計中の自治体もあり、さらに膨らむ見通しで、同省は、7月中にも調査結果を公表する方針。各自治体は、違法転売や薬物依存の有無など実態を調査する。(読売)

Thursday, July 01, 2010

小児臓器提供を模擬訓練

大阪大病院(大阪府吹田市)は30日、脳死となった小児からの臓器提供を想定した模擬訓練を実施した。
 脳死下で15歳未満の小児からの臓器提供を認めた改正臓器移植法が7月17日に施行されるのを前に、連絡体制を確立するのが目的。大阪大病院は、日本循環器学会などの関連学会協議会が今月28日に決めた3カ所の小児心臓移植実施施設候補の一つとなっている。
 訓練は、すべり台から転落し同病院に搬送された5歳男児の意識が回復しないと想定。
 移植担当科やその他の診療科、院内の脳死判定委員会、虐待防止委員会のほか、日本臓器移植ネットワークや大阪府警など計約100人が参加し、家族への脳死の説明や臓器提供の意思確認、脳死判定と臓器の摘出・搬送などについて、意見交換しながら手順を確かめた。
 改正法では、本人の意思が不明でも、家族の承諾で臓器提供ができる。有効な意思表示ができないとして現行法では認められていない15歳未満からの提供による臓器移植ができるようになる。(山陽)