Friday, December 25, 2009

皮膚がんを予防できる可能性

少量のカフェインを摂取し、運動も合わせて行うと皮膚がんを予防できる可能性のあることが、米ラトガース大の動物実験でわかり、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。研究チームは、マウスを数グループに分け、それぞれ飲み水にカフェインを入れたり、運動させたりして2週間飼育。その後、日光にも含まれる有害な波長の紫外線を照射した。
 紫外線で遺伝子が傷ついた細胞は、そのまま増殖するとがんになる。そのため生体には、傷ついた細胞が“自殺”してがん化を防ぐ仕組みがある。研究チームが“自殺”した細胞の数を調べたところ、人間がコーヒーを1日に1~2杯飲むのに相当するカフェインを摂取し、運動もしたマウスは、何もしないマウスの約5倍に上った。

飛行機の乾燥対策

飛行機の中の湿度ってどのくらいか知っていますか?なんと10%。これって真冬に加湿器なしで、暖房を思い切り使っている状態よりも乾燥している。
 僕はもともと涙が足らないドライアイで、アンチエイジングをしたら治ってきて涙が少し出るようになってきたのだけれど、飛行機のように乾燥する場所は苦手だ。
 ということで飛行機に乗るときには以下の注意をしている。
 1) ドライアイ用保護メガネをして目の乾燥を防ぐ。コンタクトレンズはもちろんはずす。
 2) 乾燥防止マスクをして、さらにマスクを水でぬらして喉と鼻の湿度を保つ。10年前にこの乾燥をなんとかしたいと自分で保湿のためのマスクを考案した。これはとても効果的。数年前に商品化されたのだがまったく売れなかった。最近、この簡易型がコンビニで売っているのを見て驚いた。
 3) 水は多めに飲む。のどが渇いていなくても飲む。1回の飛行で1リットルは必ず飲む。
 4) 顔や手や足のかかとなど、乾燥しやすいところに保湿クリームをしっかり塗る。
 5) 防腐剤ぬきの目薬でこまめに点眼して目も保湿する。
 なにもそこまで、と思うかもしれない。でも、これで風邪に感染してしまうことはよくあるし、僕の患者さんには、コンタクトレンズをしたまま寝てしまい、乾燥で角膜に傷がつき、それをすぐに治療しないで悪化させて角膜潰瘍になって角膜移植をした人もいる。お肌の乾燥だけの問題ではないのだ。
 日頃から乾燥対策は必要だけど、飛行機の中はとくに乾燥しているので、皆さんもご注意を!
(読売)

Tuesday, December 22, 2009

メタボリックシンドロームからの脱出

日本語で正確に訳すと、メタボリックとは「代謝」という意味、シンドロームとは「症候群」という意味。「メタボリックシンドローム」とは、日本語でば、「代謝異常症候群」、あるいは、「脂質代謝異常症候群」と訳される。しかしながら、「メタボリックシンドローム」という概念は、すっかり市民権を得て、世界的にも「メタボリックシンドローム」という言葉の方がスタンダードになてきている。
 「肥満」は脂肪のつき方の違いで、「内臓脂肪型」と「皮下脂肪型」の2つに大別できる。とりわけ、動脈硬化に注意しなくてはならないのは当然、「内臓脂肪型」です。外見的に「痩せていても肥満」ということがあるので、定期的な健康診断は必ず受けるようにしましょう。
 メタボリックシンドロームから脱出する方法は、この内臓脂肪が原因の「腹部肥満」という状態を解消するのが最も近道です。腹部肥満さえ解消すれば、他の危険な要素も徐々に改善していきます。
 納豆は、中性脂肪値・コレステロール値の低減はもちろんのこと、血栓予防作用や骨粗しょう症予防作用、また肝機能改善の効果も多くの臨床実験で認められています。日本の伝統食の代表選手である納豆は、日本を世界的な長寿国に仕立てた立役者なのかもしれません。

Monday, December 21, 2009

足元の地中熱を活用しよう 

地面の下の温度は年間を通じてほぼ一定。そんな地中熱の特徴を建物の冷暖房に役立てる省エネルギー技術がある。住宅への利用は海外で進むが、国内ではまだわずか。二酸化炭素の排出削減に太陽光エネルギーがもてはやされる今、足元にも目を向けてみた。(片山健生)
 リビングでは、天井の空調機器が静かに温風を吐き出していた。大阪府羽曳野市の島津輝雄さん(67)宅。冷たい風が吹いた十一月下旬にも室内は二六度に保たれ、心地よい。島津さんも「音が静かで、体に優しい印象です」と、地中熱利用の冷暖房に満足げだ。
 地中の温度は深さ五メートル以下なら、年間を通して一五度程度。夏は気温より涼しく、冬は気温より暖かい。その温度差を地上で活用すれば、エアコンなど冷暖房機器の負担が減り、消費エネルギーを抑えられるというのが、地中熱を利用した省エネ技術の基本的な考えだ。
 地中熱の一般的な活用方法は、エアコンの心臓部に当たる「ヒートポンプ(HP)」との連携。地中に埋設した配管内で循環する不凍液を介し、地中と熱交換する。具体的には、暖房時の冬は地中から熱を受け取り、冷房時の夏は熱を地中へと送り出す=図参照。
 地中熱の有効利用に関心を持つ建築や環境、エネルギーなどの関連事業者でつくるNPO法人「地中熱利用促進協会」(東京)によると、空気熱を利用する通常のエアコンより電力消費が三割程度抑えられる。
 二〇〇七年に建てられた島津さん宅も同じシステム。自宅の基礎を兼ねて五~七メートルの深さまで垂直に埋めた筒状のくい約四十本の中に、延長約三百六十メートルの樹脂製配管を挿入。その配管内で不凍液が循環し、熱交換を行っている。
     ◇
 地中熱の利点は多い。必要なシステムは地面さえあれば原則的に設置でき、埋設してしまうため、その後の維持管理の手間もごくわずか。太陽光発電と違い、天候や昼夜の影響も受けない。冷房時に出る排熱は地中に送るため、通常のエアコンのような室外機はなく、ヒートアイランドの原因をつくらない。
 しかし、国内での地中熱の利用は、一定の支持を得ている海外と比べてさっぱりだ。同協会によると、HP連携型の普及台数を出力十二キロワット規模の民家向けで換算した場合、国内では千五百台程度(〇八年)にとどまっている。最も早くから普及が進んだ米国で、既に四年前までに六十万台に達しているのと比べても微々たるものだ。
 主な原因は高額な設置費用にある。国土が急峻(しゅん)な日本では、平野部の堆積(たいせき)層が複雑なため掘削費がかさみやすい。新築時にHP連携型を導入する場合だと、機器や設置の費用は二百七十万円程度。普及が進まないため、スケールメリットが働かず、コストは高いまま。手が届きにくいため、関心も高まらない。そんな悪循環を断ち切れないでいる。
 同協会の服部旭事務局長は「地中熱は場所にとらわれず、二十四時間利用できる地産地消のエネルギー。でも、システムが屋根の上にある太陽光発電と違って地味」と歯がみし、太陽光発電のような設置費補助の制度づくりを行政側に求める。
 先進環境技術の効果を第三者が実証実験する環境省の事業で本年度、地中熱がヒートアイランド対策技術の分野で実験対象になるなど、追い風も吹いてきた。
 東京都内で建設が進み、完成すれば世界一高い六百三十四メートルの自立電波塔となる東京スカイツリーに地中熱利用の冷暖房システムが導入されることも決まり、同協会は知名度向上への弾みにと期待を寄せる。(東京)

Tuesday, December 15, 2009

「念力」の世界実現へ

頭で考えただけで機械を動かすBMI(ブレーン・マシン・インターフェース)技術について、理化学研究所脳科学総合研究センターの藤井直敬さんが「東京テクノ・フォーラム21」(代表=老川祥一読売新聞東京本社社長・編集主幹)の研究交流会で講演した。
 “念力”の世界を実現させるBMI技術は、大別すると、脳に電極を差し入れて直接、意思につながる情報を読み取る方法と、頭につけたキャップから脳波や脳血流を読み取り、その情報を解析する方法の2通りがある。情報収集の精度は前者の方が高く、特に米国で研究が進んでいる。
 藤井さんがリーダーを務める理研のチームは、昨夏研究をスタート。脳と頭蓋骨の間に電極を挿入する独自の方法を追究しており、「安全性が高く、精度を落とさずに長期間使える」と、利点を説明する。
 将来は、寝たきりの人や神経疾患患者の生活の質向上など、様々な応用が期待される。藤井さんは「より安全で信頼性の高い技術を確立し、必要とされた時、すぐ提示できるよう開発を進めたい」と抱負を語った。(読売)

Monday, December 14, 2009

認知症?…上手な受診法

もの忘れがひどくなり、場所や時間がわからなくなることも――。親や配偶者にこうした認知症を思わせる症状が出た時、家族はどう対応したらよいのだろうか。まずは医師に相談し、早期治療につなげることが大切。上手な受診のコツを知っておきたい。
 昨年度、「認知症の人と家族の会」東京都支部には738人から電話相談が寄せられた。「介護方法など」(670件)を尋ねる電話が大多数を占めたが、2番目に多かったのが「受診」(110件)に関すること(重複あり)。「受診を巡って悩む家族は少なくない」と同支部副代表の大野教子さんは指摘する。
 まず〈どこの病院を受診したらいいかわからない〉という相談が多い。認知症の専門医は、精神科や神経内科、脳神経外科、老年科などにいる。「もの忘れ外来」の看板を掲げた病院もある。事前に電話確認してから受診したい。頭部の画像検査や面接などで認知症かどうかを診断してもらって、早期に治療を始めれば進行を遅らせることもできる。
 ところが、〈受診させたいが、本人がどうしても嫌がる。どうしたらいいのか〉と悩む家族も少なくない。症状に気付かない本人が「健康なのになぜ病院に行くのか」と不信感を募らせるケースもあるという。大野さんは「強引に受診させるのは、本人を傷つけることになる。まずは家族が心配している気持ちをよく伝えて」と話す。
 新天本病院(東京・多摩市)もの忘れ外来担当医の杉山恒之さんは、こうした場合には「健康診断に行こう、と勧めてみては」と提案する。「家族が検査をするので付き添ってほしい」と本人に頼んで一緒に病院に行く方法もある。また、信頼するかかりつけ医から「受診してみてはどうか」とひとこと言ってもらうと、素直に病院に出かけることもある。家族だけでまず相談する方法も。
 受診の際、家族は「いつごろから、どんな症状があるのか。どんなことに困っているか」を書いたメモを医師に渡すとよい。「大事なことを伝え忘れる心配はないし、本人の前で症状の説明をしなくても済みます」と杉山さん。
 なお、認知症と診断された場合本人にどう話すのか、告知についての希望をあらかじめ医師に伝え、相談しておくことも大切だ。
 専門医だけでなく、高齢者が日頃から通院する地域のかかりつけ医で認知症の相談がしっかりできるように、厚労省は2006年度から「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を行っている。認知症診断の知識・技術、患者や家族への対応法、ケアマネジャーとの連携などについて学ぶ。昨年度までに全国の医師約2万1000人が受講した。
 地域の医師会によっては、研修を受けた、こうしたかかりつけ医をホームページで公開しているところもある。杉山さんは「受診先については、専門医にこだわらず、地元の地域包括支援センターなどにまず相談してみましょう」とアドバイスする。
(読売)

Tuesday, December 08, 2009

マスク装着法とマスクの効果

猛威を振るう新型インフルエンザ。七月以降のインフルエンザ累計患者数は一千万人を超えたが、ほとんどが新型とされる。感染を防ごうと、街中でもマスク姿が目立つが、マスクは正しく使わないと効果は望めない。 (服部利崇)
 まずは意外に知られていない正しい装着法から。よく使われている不織布製のプリーツ型マスクを例に、東京都感染症対策課の石川貴敏医師から教わった。
 装着前に必ず手を洗い、金具が入った方を上にしてマスクを広げる。マスクを鼻に当て、極力すき間ができないように金具の形を鼻に合わせる。指でマスクの上部を鼻に押し当て、下部をあごの下まで引き伸ばす。鼻と口を覆ったのを確認してから、鼻にマスクを押し当てたまま耳にひもをかける。マスクの側面にすき間ができやすいので注意しよう。
 外す時はひもを持ち、ウイルスが付着した可能性のあるフィルター部分には触れない。捨てる時はウイルスが拡散しないよう、そっとごみ箱に入れる。一日一枚が目安だが、フィルターがぬれたら替える。せきをして、ウイルスを含んだ飛沫(ひまつ)が飛び出す恐れもあるからだ。捨てた後は手洗いかアルコール消毒を忘れずに。
 マスクの効果を発揮させるには、顔の形に合ったサイズを選ぶことが重要。しかし、サイズの業界統一基準はない。S・M・Lや大人用、子ども用などと表示されていても、メーカーによって大きさが異なる場合がある。
 日本衛生材料工業連合会のホームページには、適したマスクサイズを指で測る方法が紹介されている。選ぶ際の目安になるように、同会は会員企業に計測法のセンチ表示を勧めているが、表示があるのは全商品の2割に満たない。
 そのため同会の藤田直哉専務理事は「無駄になるが2、3種類のマスクを購入してもらい、顔の形によりフィットするものを使ってほしい」と訴える。ただ、顔の形に合うサイズが見つかっても、感染を確実に予防することはできない。顔の形は各人異なり、市販のマスクを正しく着けても、どうしてもすき間ができてしまうからだ。
 ウイルスの大きさは1ミリのわずか1万分の1、0.1マイクロメートルと微細。仮にマスクでシャットアウトするとすれば、フィルターをフィルム状にして、すき間をなくすしかない。だが、それでは「息苦しくて、とても日常生活は送れない」と石川医師は指摘する。
 厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議は「感染者がマスクをすれば感染拡大防止効果が望める」とする一方、感染予防面では「(ウイルスを含む)飛沫を完全に吸いこまないようにはできない」と、マスクだけに頼る対策を戒めている。
 石川医師は複数の予防策の合わせ技を勧める。「マスクの装着は、手洗い、せきをする人の2メートル以内に近づかない、免疫力を高める、栄養バランスのとれた食事などと同列。予防するには、これらを実直に素直にやり続けることだ。マスクへの過信は禁物」(東京)

Saturday, December 05, 2009

増え続ける川崎病原因不明

主に乳幼児がかかり、高熱が出る川崎病の患者が2005年から4年連続で1万人を突破、年々増えていることが、全国調査で明らかになった。川崎病が初めて報告されてから42年。治療法は見つかり死亡率は激減したが、原因は分からないまま。成人になってからの動脈硬化のリスクの解明なども課題となっている。  
  1967年に病気を初めて報告。その名がつけられた小児科医で、NPO法人日本川崎病研究センター(東京都千代田区)所長の川崎富作さん(84)は、市民公開講座で「原因が分からないから予防もできず、自然と患者が増えている」と危惧(きぐ)した。
 名古屋第二赤十字病院(名古屋市昭和区)の岩佐充二第一小児科部長によると、心臓だけでなく、全身の血管が炎症を起こして熱が出るため「全心臓炎」とも呼ばれ、心臓そのものも赤くなる。
 症状として、高熱が5日以上続く▽両手が赤く腫れて、指先の皮がむける▽唇が真っ赤になり、舌がイチゴのように赤くブツブツしていて、のども赤い▽体中に赤い斑点が出る▽両目が赤い▽首のリンパ節が腫れる-の6項目のうち、5項目以上当てはまれば、川崎病と診断される。
 川崎病が発見された当初、死亡率は2%ともいわれていた。「ガンマグロブリン」と呼ばれる血液製剤を点滴で一日かけて静脈から入れていく治療法が全国的に広まり、死亡率は激減。2007、08両年での死亡者は6人だった。
 川崎病で一番問題となるのは、心臓の冠動脈が拡張したり「冠動脈瘤(りゅう)」と呼ばれるこぶのような膨らみができたりする後遺症。患者の約10%にみられる。冠動脈は大動脈から右側に1本、左側に2本に分かれ、心臓の筋肉が働くための栄養や酸素を送る役割を果たす。大動脈から出てすぐのところにこぶができやすい。
 そこで、全身の炎症を抑え、熱を速やかに下げて後遺症を防ぐのが、ガンマグロブリン治療の目的。熱が下がっても、発熱後10日前後はこぶがないかどうか、警戒が必要になる。こぶの膨らみが内径4ミリ以内ならば経過観察で様子を見る。しかし8ミリ以上の大きなこぶ(巨大瘤)だと、内部に血液の塊ができたり、近くの血管が狭くなって血液が流れにくくなったりといった障害を招く。
 ガンマグロブリンが効かない場合に、生物学的製剤やステロイドを使うのかなど、統一した治療法がなく、世界的にも研究が行われている。
 後遺症が出た場合は、血管を詰まらせないようにする薬を服用したり、心臓エコーなどの定期的な検査が必要。状態によってはカテーテル治療やバイパス手術といった外科的な治療も行う。
 発症後1カ月以内の急性期に後遺症などの問題がなければ、小学校までは経過観察し、その時点で問題がなければ検査も必要がなくなる。
 ただし、岩佐部長は「乳幼児期に川崎病にかかった人が成人期の動脈硬化などのリスクが高くなるかはまだ分かっていない。今後は小児科医と循環器内科医の連携も必要になってくる」と話している。
 自治医大公衆衛生学教室など(栃木県)が行っている全国調査によると1982年と86年の2回、全国的な流行があった。年々、増え続け、ここ4年連続で1万人を超えている。08年は1万1756人を数え、4歳以下の乳幼児10万人当たりの患者発生数は、218.6人と過去最高となった。患者は3歳未満が約7割を占める。(東京)