Friday, December 31, 2010

脳死、若い人や高学歴は肯定的、移植で国際比較

日本は欧米諸国に比べ、脳死が人の死の妥当な診断基準だと思う人や、臓器移植を積極的に評価する人は少ないが、若い人や高学歴の人では肯定的な傾向との意識調査結果を、国立保健医療科学院(埼玉県和光市)のグループが29日までにまとめた。
 2005~10年に日本、ドイツ、フランス、英国、米国で、それぞれ約千人に電話で調査した。こうした国際比較は珍しいという。日本の調査は改正臓器移植法が成立した後の09年秋。
 脳死が死の診断基準として「妥当」との回答は、欧米4カ国では60~71%、日本は43%。日本では「脳死がどのようなものか分からない」が29%と比較的多かった。(山陽)

Thursday, December 30, 2010

レアメタルそっくり、京大が新合金精製に成功

超微細(ナノ)技術を駆使して、レアメタルのパラジウムそっくりの性質を持つ新合金を作り出すことに、京都大の北川宏教授らが成功した。元素の周期表で両隣のロジウムと銀を材料に、いわば「足して2で割って」、中間のパラジウムを作り出す世界初の手法で、複数のレアメタルの代用品の合成にも成功、資源不足の日本を救う“現代の錬金術”として注目されそうだ。
 ロジウムと銀は通常、高温で溶かしても水と油のように分離する。北川教授は、金属の超微細な粒子を作る技術に着目。同量のロジウムと銀を溶かした水溶液を、熱したアルコールに少しずつ霧状にして加えることで、両金属が原子レベルで均一に混ざった直径10ナノ・メートル(10万分の1ミリ)の新合金粒子を作り出した。新合金は、パラジウムが持つ排ガスを浄化する触媒の機能や水素を大量に蓄える性質を備えていた。(読売)

Monday, December 27, 2010

消費者庁、電子たばこで注意喚起、ニコチン検出

消費者庁は27日、電気の熱で煙のような蒸気を発生させる市販の電子たばこ11銘柄について、蒸気にニコチンが含まれていたとして、過去に購入した人にあらためて注意を呼び掛けた。
 国民生活センターは8月、同様の注意喚起を実施。厚生労働省も業者に販売中止を指導しており、現在11銘柄は販売されていないという。
 消費者庁が電子たばこ11銘柄について、ニコチン含有の有無の検査を厚労省に依頼。実際の使用方法と同様にカートリッジの液体を熱して発生させた蒸気から、全銘柄でニコチンが検出された。
 11銘柄は「HARLEM Electric Cigarette」、「Health e‐Cigarette」など。(山陽)

Saturday, December 25, 2010

脳死で国内初の肝腎同時移植へ

日本臓器移植ネットワークは25日、脳血管障害で愛知県の藤田保健衛生大病院に入院していた成人が脳死と判定されたと発表した。
 家族らの申し出で実施しており、7月の改正臓器移植法全面施行後、家族の承諾による判定は27例目。性別と年齢は家族の意向で明らかにされなかった。
 肝臓と一方の腎臓が大阪大病院で10代女性に移植される見通しで、脳死下での肝臓と腎臓の同時移植は国内初。心臓は九州大病院で30代男性に、肺は京都大病院で20代男性に、もう一つの腎臓と膵臓は東京女子医大病院で40代男性に、それぞれ移植される見通し。(読売)

Thursday, December 23, 2010

悪環境で細菌の変異多発、多様性を保つ仕組みか

大腸菌を通常より厳しい環境で増やし続けると、突然変異が多発するように菌が変化することを大阪大と東邦大(千葉県)、弘前大(青森県)のチームが23日までに突き止めた。523日をかけ、7560世代にわたる培養実験をした結果。
 チームによると、この変化で、予期せぬ環境の異変に菌が対応しやすくなるという。四方哲也大阪大教授は「生物が多様性を保つ仕組みが働いたのだろう」としている。
 チームは37度が増殖に最適な大腸菌を41度で培養。いったん増殖速度が落ちるが、環境に適応する突然変異が起き、盛んに増えるようになった。この大腸菌を43度、45度で培養しても、同じような経過で適応した。(山陽)

Wednesday, December 22, 2010

介護始めて「健康悪化」

過去5年間で親などの介護をするようになった人の8・9%が「健康状態が悪化した」と答えたことが21日、厚生労働省が2009年に中高年を対象に実施した調査で分かった。
 厚労省は05年、50~59歳の男女に調査を開始。毎年同じ人を追跡する形で続け、5回目は54~63歳の約2万7500人が対象。
 健康が「良い」から「悪い」になったのは、介護をしていない人は6・3%、ずっと介護を続けている人は6・7%。これに対し、途中で介護をするようになった人はやや高めだった。
 仕事をやめた割合も、介護をしていない人が10・5%、介護を続けている人は12・8%だったのに対し、調査開始後に介護を始めた場合は14・4%。(山陽)

Tuesday, December 21, 2010

ピピピッとさえずるマウス

「ピピピッ」と小鳥のさえずりのような鳴き声を出すマウスを、大阪大生命機能研究科の八木健教授と内村有邦・特任研究員らのグループが作製した。
 一緒に飼育すれば、普通のマウスの鳴き声が変化することも確認。言語の進化を探る新しい実験モデルとして期待される。
 内村研究員らは、進化の過程を調べるため、突然変異が起こりやすいよう遺伝子操作したマウスを用いて実験。その3世代目で、小鳥のようにさえずるマウスが誕生。「シンギングマウス」と名付けられたマウスは、のどの一部がやや細く、この形質や鳴き声の発声は子孫に引き継がれた。
 マウスは痛みを感じた時などに「チュウ」と鳴くが、通常は人に聞こえない超音波で鳴く。一方、このマウスの鳴き声は人に聞こえる音域に限られ、生後2~6か月の思春期に最も頻繁に鳴くことがわかった。人で方言がうつるように、このマウスと一緒に育つと、普通のマウスも超音波の鳴き声をあまり出さなくなった。(読売)

Friday, December 17, 2010

「世界の山ちゃん」でノロウイルス検出

名古屋市は16日、同市中区栄4の飲食店チェーン「世界の山ちゃん」女子大店で10、11日に食事をした30~60歳の男女21人が下痢や発熱などの食中毒症状を訴え、客と、自覚症状がない同店従業員からノロウイルスが検出されたと発表した。
 発表によると、21人は、手羽先やポテトサラダ、巻きずしなどを食べて、翌日以降に発症した。いずれも症状は軽く、回復に向かっているという。
 中保健所は16日、衛生状態が確認されるまでの間、同店を営業禁止処分とした。
(読売)

Tuesday, December 14, 2010

「花粉症にバナナ効く」東京理科大、マウスで実証

バナナを食べると花粉症が改善される可能性があることが、東京理科大の谷中昭典教授らの動物実験で分かった。
 バナナの成分が免疫バランスを改善し、アレルギー症状を抑えるらしい。大津市で開かれた日本機能性食品医用学会で、12日発表した。
 谷中教授らは花粉症のマウスに、1日約10グラムのバナナを3週間与え、通常のエサを与えたマウスと比較した。その結果、バナナを食べたマウスは、アレルギーを引き起こす物質の量が通常食のマウスの半分以下に減り、花粉症になると増える白血球の一種「好酸球」の数も、正常マウスと同レベルまで減少していることがわかった。谷中教授は「マウスにとっての約10グラムは人間では3~4本に相当する量だろう。人でも症状が軽くなるかを調べたい」と話している。(読売)

Monday, December 13, 2010

コレステロール値が過度に下がる病気

検診の結果、血中のコレステロール値が正常より低すぎるという方には、甲状腺機能亢進症という病気が潜在していることに医師が早く気がつけば、甲状腺機能亢進症が早く診断される、ということをお話ししたい。
 甲状腺機能亢進症は若い方、老いた方にも起こる、甲状腺からのホルモン分泌過多による病気で、眼球が少し前方に膨れるものには、バセドウ病と命名される。
 この場合、のど元にある甲状腺を医師が手で触診すると、少し腫れているのが分かり、次のような症状が現れる。
 体重減少(食事を充分にとっていてもやせる)、微熱がでる、心臓の動悸がする、汗をかきやすく、皮膚面が少し湿っている。
 このような患者の血液を採って調べると、血中のT3、T4という甲状腺ホルモンの値が高い。聖路加国際病院 日野原重明先生(読売)

血中のコレステロールが高い

血中のコレステロールが高いと動脈硬化や心筋梗塞を起こしやすいということが、長年言われて来たが、最近コレステロールは少しくらい高くても特に心配いらない、血中のコレステロールが高くても長生きするという日本脂質栄養学会の発表などがあって、目下日本では混乱状態になりかかっている。
 一方、コレステロールは悪玉コレステロール(低比重コレステロール)(LDL)と高比重コレステロール(HDL)とがあって、前者を悪玉コレステロール、後者を善玉コレステロールと呼び、悪玉コレステロールは「140以下」、善玉コレステロールは「40から99」が適切と言われてきた。一方、悪玉、善玉コレステロールと区別されずに、とにかく血中総コレステロールが高いのは良くないという考えが日本でも長年通ってきたので、食事の中でコレステロールの多い動物性の脂肪は控えた方がよいという考えが強かったのです。
 一般にコレステロールというのは、体によくないと考えられたのは誤りで、コレステロールは人間の細胞膜を作る成分として大切な役割を果たしているのです。
 人間に必要な主要な栄養素には三つあり、糖質(または炭水化物)、たんぱく質と脂質に分類されます。
 この脂質は、食事から摂られるものは1日0.3gに対して、肝臓で合成されるコレステロールは1日1.5g ~ 2.0gもあります。
 肝臓の働きが低下する病気(すなわち肝硬変や肝癌)では、この肝臓内のコレステロールに合成が低下します。
 健診を受けて総コレステロールが高いと医師から言われると、一般の人は食事の中で脂肪を摂りすぎているのかと思いがちですが、実際は甲状腺のホルモン分泌低下の場合には血中コレステロールは非常に高くなります。
 だから、健診では甲状腺ホルモンの検査が必要ですが、一番簡単な健診では、体重、血圧、検尿、腹囲、胸部X線写真、血中コレステロール値の測定で終わることが多いのです。
ここで皆さんにお知らせしたいことは、健診でコレステロールが非常に高いという人は、ただ食事中のバターや、肉の脂肪の多い洋食が多いと考えてしまわないで、甲状腺ホルモンの分泌低下があることを考えてほしいのです。この甲状腺のホルモンの異常は男女ともに起こるのですが、一般には女性に多いのです。聖路加国際病院 日野原重明先生(読売)

Sunday, December 12, 2010

筋ジスの進行遅らせる犬で成功、炎症物質抑え

全身の筋肉が徐々に衰え動けなくなる筋ジストロフィーの進行を、筋肉周辺の炎症物質を抑えて大幅に遅らせることに大阪バイオサイエンス研究所と国立精神・神経医療研究センターのチームがビーグル犬で成功した。10日、日本分子生物学会と日本生化学会の合同大会(神戸市)で発表した。
 チームは、筋ジストロフィーの中で最も多いとされる「デュシェンヌ型」の患者の壊死した筋肉組織に、痛みやアレルギーに関係する炎症物質「プロスタグランジンD2」があるのを発見。この物質を作るのに必要な酵素の働きを抑える阻害剤を、筋ジストロフィーのビーグル犬(生後3カ月)に毎日投与した。
 11カ月後、無投与の犬は少し歩くと息が上がり座り込んだが、投与した犬は約20メートルある廊下を走りきった。(山陽)

Friday, December 10, 2010

自殺の危険度、10分内で判断

自殺願望のある人などからの電話相談を受けている埼玉県立精神保健福祉センター(伊奈町)は4月から、自殺の危険度を10分以内に判定する独自の「自殺切迫度評価シート」をもとに警察などへの通報の必要性を見極め、自殺防止に効果を上げている。
 以前は通報の判断を、相談を受けたスタッフに委ねていたが、迷っているうちに電話が切れたり、対応が長時間に及んだりしていた。全国でも異例の取り組みで、宮城県や大阪市など6自治体から問い合わせがあったという。
 評価シートは、同センターが、相談を受けるなどした100~150事例を分析して作成した。精神疾患の有無、自殺未遂歴、経済状況など17項目で危険度を高・中・低の3段階でチェックする。「高」と判定された項目が規定数に達すると、本人の承諾がなくても、氏名や病歴などの個人情報を警察や消防などに通報する、との指針も設けた。
 同センターによると、シート導入後の4月から11月末までに受けた自殺予告の電話197件のうち、警察などへ通報したケースは9件あった。
 6月下旬の未明に電話をかけてきた40歳代の女性は、「死んだ方が楽。今、トイレにひもを掛けた」と弱々しい声で告げた。同居する家族が病気を抱えているとも話した。スタッフはシートをもとに通報ケースと判断し、住所を聞き出して警察へ連絡。女性は約1時間後に保護された。
 同センターは2003年11月から、自殺などに関する電話相談を受け付けており、約70人のスタッフが交代で対応している。同センターの関口隆一・副センター長は「命を守るため、すみやかに通報できるようにした」と話している。(読売)

Wednesday, December 08, 2010

乳幼児・中高年の7割超、新型インフル免疫なし

乳幼児や35歳以上の中高年の7割以上が新型インフルエンザに対する免疫(抗体)を持っていないことが、厚生労働省の調査で7日、あきらかになった。
 免疫のない人が感染すれば重症化する恐れがある。厚労省はワクチン接種や手洗いの励行などを呼びかけている。
 調査は今年7~9月、全国23都道府県の6035人を対象に、血液中の抗体を調べた。
 昨年発生した新型は、小中高校生などの若年層が流行の中心だった。そのため、10歳代では65%が抗体を持っており、5~9歳や20~24歳でも抗体を持っている人が6割弱に上った。
 一方、35~49歳では抗体保有率は約3割、50歳以上では1~2割と少なく、0~4歳の乳幼児でも25%にとどまった。
 今シーズンの流行が予測されているのは季節性インフルエンザのA香港型だが、厚労省は「新型に対する免疫を持っていない人はまだ多く、今シーズンも流行する可能性がある」と注意を呼びかけている。(読売)

Monday, December 06, 2010

海洋ごみ漂流ルートを人工衛星で追跡

ごみを模した電波発信器を日本海へ流し、海洋ごみの漂流ルートを調べている鳥取環境大学(鳥取市)が、位置情報の送信に人工衛星を利用する初めての実験に乗り出す。携帯電話の電波を使ってきたこれまでと違い、地球上のどこからでも追跡が可能に。関係者は「ルートを特定することで、効果的な回収方法などを探る基礎資料にしたい」と話している。
 海洋環境の保全を図る一環で、同大学は環境省の補助を受けて昨年4月からごみの追跡調査を開始。全地球測位システム(GPS)の発信器を装着した筒形容器を毎月数個、千代川(鳥取市)や日野川(米子市)などに流してきた。
 携帯の電波で位置情報を送っていた従来の方法では、電波が届く圏外で情報が途絶えるのが最大の欠点。最も遠くまで漂流したケースでは青森県まで追跡したが、途中で度々圏外に入り、ルートには謎が残った。
 今月に始める実験では、衛星を使って環境データを世界中から集めるシステムを利用。世界中どこからでも通信が可能で、1日2回のペースで位置情報を記録できる。初回は今月、ペットボトル3本を鳥取港から放流。発泡スチロールなども使ったり、放流場所を県外の河川に広げたりもする予定だ。
 調査班リーダーの西沢弘毅講師(32)は「ルートには海流だけでなく風なども影響しているはず。まずは日本海でのごみの動きを突き止め、追跡の手法は将来の国際的な調査にも役立てたい」と話している。(読売)