Friday, April 30, 2010

A型肝炎が増加、死亡例も 魚介類や水、注意呼び掛け

A型肝炎の患者が3月以降増加し、既に昨年1年間の患者数を超えたことが、国立感染症研究所の集計で29日分かった。劇症化し死亡したケースもあった。
 A型肝炎ウイルスに汚染された水や食材の摂取によって感染する。同研究所は「広い範囲で散発的な集団発生が起きている可能性がある。55歳未満はほとんどが抗体を持たず、高齢者は重症化しやすい」として、魚介類の十分な加熱など、注意を呼び掛けている。
 同研究所によると、今年の患者の報告数は3月上旬から増加、4月4日までの1週間は18人と2007年以降では1週間当たり最多で、その後も多い状態が続く。4月18日までの合計(速報値)は121人で昨年の報告数(115人)を超えた。
 11日までの5週間の81人をみると、患者の年齢は20~88歳、2例が劇症化し、うち1人が死亡した。福岡県、広島県などが多く、報告した医師が推定した原因食材は「カキ」が45%と最も多かった。(山陽)

Thursday, April 29, 2010

「認知症サポーター」の普及が進む

篠山市で、認知症の患者や家族を支援する「認知症サポーター」の普及が進んでいる。サポーターを育成する講師とサポーターの人数は計2838人(3月末)となり、人口に占める割合は6・2%で、養父市(10・9%)、佐用町(9・6%)に次ぎ、県内で3番目に多い。
 市健康課は「地域や職場で出前講座を開いた成果で、2014年には人口の約10%、5000人まで増やしたい」としている。
 サポーターは、認知症の基礎知識や患者への接し方などに関する講座を受ければ、誰でもなれる。活動義務はないが、患者の見守りなどが期待されている。受講者にはオレンジ色の腕輪が贈られる。
 厚生労働省が05年度からサポーターの育成を呼びかけており、市は06年度から、住民学習会や学校、老人クラブなどで計約120回の講座を開いてきた。受講者からは「迷っているお年寄りがいたら、手伝ってあげたい」(小学生)などの声が寄せられているという。
 サポーターの人口比率が多い理由について、同課は「5人以上が集まれば、講師を無料で派遣するきめ細かな対応が功を奏し、口コミで広がった」と分析している。
 一方で20~30歳代の男性の受講が少ないのが課題。市は、事業所やPTAなどに出前講座の開催を呼びかけ、講座を紹介するパンフレットも作成し、全戸配布した。
 市健康課の小西雅美・保健指導係長は「地域住民が互いを見守り、支え合うことは認知症だけでなく、安全安心なまちづくりにもつながる」と話している。(読売)

Wednesday, April 28, 2010

特定健診の項目見直しを コレステロール値で学会

メタボリック症候群の予防を目的とした特定健診の検査項目に、総コレステロール(TC)を加えるべきだとする見解を日本動脈硬化学会(北徹理事長)が26日、発表した。
 見解によると、動脈硬化発症の危険性という点では悪玉コレステロール(LDL)を危険因子と見て把握するのが重要だが、日本で行われているLDLの直接測定法は、十分に標準化されていないなどの問題点があると指摘。診療現場では、TCや中性脂肪(TG)、善玉コレステロール(HDL)などの値からLDLを求める方法を強く推奨するとしている。
 特定健診ではTG、HDL、LDLが検査項目となっており、LDLは直接測定法が採用されているが、同学会は来年度からTCの測定を加えるよう要望。それによって問題が回避され得ると指摘している。(山陽)

Tuesday, April 27, 2010

あのインフル機内検疫、発見は22万人中4人

新型インフルエンザウイルスの国内侵入を遅らせる目的で、昨年4月28日~5月21日に成田空港など国内3空港で行われた機内検疫は、計907便の乗員乗客21万6718人が対象となったことが厚生労働省のまとめでわかった。
 このうち、機内検疫で見つかった感染者は4人にとどまった。
 この期間には1日平均で医師28人、看護師48人が応援部隊として、3空港に動員された。厚労省は「水際作戦でウイルスの国内侵入がどれだけ遅れたかわからない」としている。(読売)

Monday, April 26, 2010

重傷の顔すべて他人の顔に、スペインで成功

顔に重傷を負った男性に、亡くなった人の顔面のすべてを移植する手術に、スペイン・バルセロナの病院が成功した。
 顔の移植手術は過去に10例報告されているが、顔のすべてを移植したのは世界初という。
 同病院やAP通信によると、手術を受けたのは30歳の男性。5年前に誤って自分の顔を銃で撃ち、鼻やあごに重傷を負った。自力で呼吸や食事をすることができず、過去9回の手術を受けたが完治しなかった。
 手術は先月末、30人の医師が24時間かけて実施。亡くなった人の全顔面の筋肉組織と、鼻とあごの骨の部分を取り出して、男性に移植した。男性はまだ、話したり食事はできないが、つばを飲み込む程度のことはできるという。(読売)

Sunday, April 25, 2010

急な介護 家族で備えを

初めての介護をするにあたり、何から手をつければいいかわからず、戸惑う人は少なくない。まず、地域包括支援センターに相談し、地域にある介護サービスの情報収集をしたい。また、介護が必要な家族の現状を把握し、家族の役割分担を話し合うことが大切だ。
 都内在住の主婦(67)は、昨年末、一緒に住む母親(92)が急にベッドから立ち上がれなくなったため、母親を介護することになった。「母はひざの痛みがあったのですが、通院もしていたし、食事も排せつも身の回りのことは全部自分でできていたので、私はショックでパニックになってしまいました」と主婦は振り返る。
 いつか介護が必要になることはわかっていたが、特別な準備はしておらず、慌てて紙おむつを買いに走ったという。家族だけでは介護できないと考え、すぐに地域包括支援センターに相談に行き、介護保険サービスの利用申請をした。
 地域包括支援センターは、介護など高齢者の生活に関する相談を受け付けている。2006年から全国の市町村が設置している。介護サービスを利用するまでの手順や、地域で介護サービスを提供している事業者の一覧など、介護保険に関連する情報が得られる。また、紙おむつの助成金や配食サービスなど、地元の自治体や地域の民間団体が実施している高齢者向けサービスの情報も入手できる。
 民間の介護相談機関「三井不動産 ケアデザインプラザ」の介護コンサルタント、川上由里子さんは、「介護の内容や必要性を考えるためにも、普段から家族の様子を観察し、書き留めておくことが大切です」と助言する。
 「最近外出をしなくなった」「食事を自分で作らなくなった」など、「あれっと思ったら、改めて普段の様子をよく観察しましょう」。生活習慣のほか、体調がいいときの体重や血圧などを把握しておくと、生活や体調の変化が生じたときの目安になる。通院歴や服用している薬の種類なども確認しておく。ノートに記録しておくと、いざというとき便利だ。
 もう一つ重要なのが、家族間での態勢作りだ。「食事や排せつの介助など直接的なケアのほか、費用負担や情報収集など様々な役割があります。中心となる人を決め、家族の間で役割分担を決めておくと、速やかな対応ができます」と川上さん。
 骨折や脳血管疾患などで入院し、退院後の生活で介護が必要になる場合は、「どこで暮らすか」が重要な検討課題となる。都内のある地域包括支援センターでは「できれば、施設介護か在宅かという大きな方針について、家族の意見をまとめておいてほしい」と話す。それにより、利用するサービスや検討事項が異なってくるためだ。
 退院後、家で介護をする場合、入院中に要介護認定の申請を行い、認定の調査を済ませておくといい。必要な福祉用具を家庭に用意できるなど、退院後の生活がスムーズに運ぶからだ。川上さんは「介護が必要になる前に、介護サービスを利用する場合の全体の流れを知っておくと、対応しやすいでしょう」と話している。(読売)

Wednesday, April 21, 2010

「脳トレ」効果に疑問…英で1万人実験

コンピューターを利用した脳トレーニング(脳トレ)は、健康な人の思考力や記憶などの認知機能を高める効果は期待できないことが、ロンドン大学などの1万人以上を対象にした実験で分かった。
 脳トレは世界的ブームになっているが、大規模な検証はほとんどなかった。英科学誌ネイチャーで21日発表した。
 18~60歳の健康な1万1430人を三つのグループに分け、英国で販売しているコンピューターゲームをもとにした脳トレを1日10分、週3日以上、6週間続けてもらい効果を調べた。
 最初のグループは積み木崩しなどを使った論理的思考力や問題解決能力を高めるゲーム、もうひとつのグループはジグソーパズルなどを使った短期記憶や視空間認知力を高めるゲームをした。残り一つは、脳トレとは無関係のゲームを行った。
 その結果、脳トレを続けたグループでは、ゲームの成績は向上したが、論理的思考力や短期記憶を調べた認知テストの成績はほとんど向上せず、3グループ間で差がなかった。(読売)

Tuesday, April 20, 2010

引っ張り強さ鉄並み、新プラスチック生産法

鉄鋼並みの強度を持つプラスチックを大量生産する技術の開発に、広島大学の彦坂正道特任教授らの研究チームが成功した。
 バケツなどに使われている一般的なプラスチック素材「ポリプロピレン」を使った簡便な手法で、車体の材料など幅広い用途が期待できるという。
 研究チームは、ゴム状のポリプロピレンを、100分の1秒という短時間で厚さを半分に圧縮することで、約9割を結晶化させる手法を開発した。
 従来のポリプロピレンでは製造過程で、結晶に成長しない部分がほぼ半分を占め、これが弱さの原因になっていた。
 新手法で結晶化したプラスチックは引っ張られた時に耐えられる力が、鉄鋼とほぼ同等になった。製造コストは、現在と同程度に抑えられるという。(読売)

Sunday, April 18, 2010

葉緑素の“色づく”過程を解明

植物内で葉緑素ができる最後の段階で、もとになる物質が緑色になるメカニズムを名古屋大の藤田祐一准教授らの研究チームが解明、18日付英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
 解明に成功したのは、裸子植物などに含まれ、光がなくても葉緑素をつくる「暗所作動型」酵素の化学変化。
 藤田准教授によると、葉緑素は根から取り込んだ窒素などをもとに複数の酵素の働きでつくられるが、生成の最終段階で働く酵素の複雑な化学構造や化学変化のメカニズムを解明したのは初めて。「新しい触媒の開発などにつながるかもしれない」としている。
 藤田准教授らは今回、光を必要とせずに葉緑素をつくる酵素の分子構造をエックス線などで解析。葉緑素のもとになる薄い黄緑色の物質「プロトクロロフィリド」が、この酵素から電子を受け取るなどして化学構造を変化させ、葉緑素になる一段階手前で、緑色の物質「クロロフィリド」になる過程をとらえることに成功した。(山陽)

Saturday, April 17, 2010

生物学的製剤で免疫低下 関節リウマチ治療

関節リウマチの治療薬として広く使われるようになった生物学的製剤。ただ、感染症にかかりやすくなる副作用があり、昨年からの新型インフルエンザの流行で、患者は年間を通しての注意が必要となった。自宅での生物学的製剤の使用を支える病診、診診連携の取り組みを取材した。 (福沢英里)
 愛知県一宮市の三十代の主婦は、七年前に関節リウマチと診断された。当時、看護師として働いていたが、血圧計のポンプが握れなくなるなどの支障が出始めた。二年後、生物がつくり出すタンパク質などを利用した生物学的製剤の使用が可能に。女性は、その中でも自己注射が可能なタイプの指導を受け、使い始めた。
 「関節がこわばって起き上がれなかった朝もスムーズに起き上がれ、関節が腫れて太くなっていた手の指が細くなった」。症状が抑えられて安定してきたころ、長女を授かった。現在は同市内の総合病院で治療を受けているが、「子どもが小さく、インフルエンザなどが心配なので、近所の診療所で診てもらいたい」と女性は望む。
 自宅で自己注射ができる生物学的製剤の広がりで、症状の経過をみる普段の診療は、女性のように近くの診療所を望む患者が増えている。
 あさいリウマチ整形クリニック(名古屋市)の浅井富明院長は、リウマチ専門クリニックとして開業後、積極的に病診連携に取り組む。例えば、生物学的製剤を初めて使う患者の場合、呼吸機能や腎機能など必要な検査があり、整形外科やリウマチ科を備えた近くの総合病院を紹介=図。患者が総合病院で使い方の指導を受け、実際に使い始めると、地域のリウマチ専門クリニックに戻り定期的に通院してもらう仕組みだ。
 「病診連携は患者にも開業医側にもメリットがある」と浅井院長。患者にとっては、身近な診療所で継続して診てもらえる安心感がある。
 一方、開業医側はこれまで、結核や肺炎などの副作用発生時に対応できないことを懸念し、生物学的製剤の導入に消極的だった。総合病院や専門病院が“合併症のかかりつけ医”として、緊急時も対応してもらえれば、大きな助けとなる。
 診診連携も進む。近所の整形外科や内科を希望する患者がいれば紹介する。皮膚潰瘍(かいよう)などの合併症が生じた場合、地域の皮膚科などへの紹介も。浅井院長は「関節リウマチは全身の炎症性疾患。さまざまな合併症を伴う場合があるので、常に念頭に置き、連携を活用している」と話す。(東京)

Friday, April 16, 2010

難病・多発性筋炎の妻介護40年の手記

全身の筋肉が次第に動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)の患者や家族を支援する日本ALS協会県支部に対し、郡山市富久山町の野地力さん(82)が、2005年7月に亡くなった妻の好子さん(当時75歳)の介護体験記を送った。
 体中の筋力が低下する難病「多発性筋炎」を患った妻を約40年介護してきた経験をつづったもので、同支部の活動を取り上げた3月の本紙県版連載記事を読んだのがきっかけ。力さんは「介護で苦労している人たちの参考になれば」と話している。
 好子さんが発病したのは1964年秋。実家の福島市から郡山市の自宅に向かう電車内で突然倒れ、起きあがれなくなった。すぐに病院に運ばれたが、病名は不明。意識ははっきりとして会話も出来たが、全身がしびれ、寝たきりの生活を余儀なくされた。
 入院から1年後に退院し、力さんと息子2人による介護生活が始まった。好子さんは我慢強い性格だったが、病気のストレスから徐々に力さんに不満をぶつけるようになった。食べ物をうまくのみ込めず、食事はすべてミキサーにかけてどろどろにした幼児食を用意。それを「もっとおいしいものが食べたい」と文句を言った。夜中は腕と腕をひもで結び、トイレやマッサージに対応できるようにした。睡眠時間がほとんど取れない毎日が続いた。
 病名が多発性筋炎と判明したのは、発症から20年近くが過ぎてから。根本的な治療法は確立していない病気だった。回復の兆しのない妻を見るのはつらく、「いっそ心中してしまおう」と、4度考えたという。
 そんな力さんを踏みとどまらせたのは息子たちの存在だった。発症当時、長男は中学2年、次男は小学4年。工場勤務の力さんが家を留守にする際には、介護や家事を進んでこなしてくれた。勉強する時間が十分取れたわけではなかったが、2人とも大学の建築科に進み、「母親の介護の経験を生かしたい」と障害者用のトイレなどの設計に取り組んだ。
 同じように難病と闘う患者や家族も心の支えになった。通院していた郡山市の病院の待合室で出会った人に愚痴をこぼしたり、手当の申請方法を教えあったり。近所や親類に打ち明けていない悩みも不思議と話すことができた。
 05年夏に好子さんは「気分が悪い」と訴えて病院に運ばれ、集中治療室に入った。それから会話もできないまま1か月後に亡くなった。しかし、「やるだけのことはやれたと思う。けんかも多かったけど、後悔はしていない」。
 県内でALS患者を介護する家族の1人は、体験記の送付を聞き、「参考にしたい。実際に会って話を聞けたら」と興味を示す。力さんは「難病は介護する家族もつらい。そのことを理解する人たちが病名に関係なく協力し合える態勢ができることを期待したい」と話している。(船越翔)(読売)

Thursday, April 15, 2010

笑いは健康にいい?科学的に検証

笑いは本当に健康にいいのだろうか―。吉本興業は14日、江崎グリコなどと協力し、笑いの効果を科学的に検証する実験を京都市西京区の健康食品会社ファーマフーズで始めた。
 ストレス軽減に効果があると言われるアミノ酸の一種「GABA(ギャバ)」と笑いを組み合わせ、相乗効果を検証する。
 実験では、20~40代の男女18人から唾液や血液を採取。1カ月間、毎週同じ曜日、同じ時間に、計算問題を解いてストレスをかけてから、落語家桂三風さんら吉本興業所属タレントの演芸を見たりギャバを摂取して、ストレスの指標となるタンパク質の変化などを調べる。
 吉本興業お笑い総合研究所の田中宏幸所長は「笑うことは体にいいと、今まで勘だけで言っていたことを厳密に証明する結果が出ればありがたい」と期待する。
 ギャバはファーマフーズが製造。同社製品を使ってグリコが同名のチョコレートを製造、販売している。(山陽)

Wednesday, April 14, 2010

肺がん死なぜ減らない?喫煙率下がっているけど

喫煙率は年々低下しているのに、肺がんで亡くなる人は増えている。どうしてだろう。
 たばこは多くの発がん物質を含み、がんの原因の3分の1を占めるとされる。なかでも肺がんは、喫煙と強く関係しており、喫煙者の方が男性で4・4倍、女性で2・8倍なりやすい。
 日本での肺がんによる死者は1960年に5000人余りだったのが、98年には5万人を超え、胃がんを抜いてがんの種類別死亡原因のワースト1になった。その後も増え続け、2008年は約6万7000人が肺がんで亡くなっている。
 でも、たばこを吸う人は減っているのに、なぜ?
 国立がん研究センターたばこ政策研究プロジェクトリーダーの望月友美子さんは、「がんは、正常細胞がゆっくりとがん化していく病気。このため、喫煙率低下の影響が表れるのには、時間がかかる」と説明する。
 世界でいち早く、たばこによる健康被害に警鐘を鳴らし、1960年代半ばから消費量が減り始めた米国でも、肺がん死亡率が低下に転じたのは90年代に入ってから。約25年かかった。
 日本人男性の喫煙率は60年代半ばから年々下がり、09年は39%にまで下がった。だが、たばこ消費量全体の伸びに歯止めがかかったのは90年代半ばになってから。「米国の例をあてはめると、日本で肺がん死亡率が減るには、あと10年かかる計算になる」と、望月さん。
 日本人男性の喫煙率は、欧米先進国に比べると、まだまだ高いのも問題だ。20~50歳代では40%を超える。むしろ、たばこを自由に手に入れることができなかった戦後混乱期に青年期を迎えた1930年代後半生まれの人の肺がん死亡率は低い。
 ちなみに、がんで亡くなる人が増えている最大の要因は、実は寿命が延びたことだ。高齢化の影響を排除した「年齢調整死亡率」でみた場合には、男性の肺がん死亡率は90年代後半から下がり始めている。ただし40年代生まれの患者が増えることで、再び上昇に転じるとの見方もある。
 禁煙の効果は、個人レベルではもっと早く表れる。国際機関の研究では、禁煙後5~10年以内で肺がんの危険は減り、禁煙期間が長いほど危険度が下がる。大阪府立成人病センターがん相談支援センター所長の大島明さんは、「たばこの価格を継続して大幅に引き上げる、職場、公共の場所を禁煙化するなどの対策が重要だ」と訴える。(利根川昌紀)(読売)

Tuesday, April 13, 2010

「妻のため」86歳ヘルパー

日光市久次良町の篠田文夫さん(86)が、脳梗塞で倒れて介護が必要となった妻、宮子さん(81)のために、ホームヘルパー2級の資格を取得した。
 文夫さんは、孫と同じ世代の若者に交じって市のホームヘルパーの養成講座を受け、入浴や食事の介助方法を学んだ。全国ホームヘルパー協議会(東京都)によると、家族のために資格を取る人は多いが、「80歳代は珍しいのでは」と話している。
 宮子さんは同市内にある実家の写真館で働いていたが、5年前に突然、脳梗塞で倒れた。病院で療養してきたが、昨年3月に退院して自宅で生活をすることになった。文夫さんは観光ガイドの仕事で観光客を連れて東照宮の周辺を歩いているため、体力には自信があった。「3人の子どもは結婚し6人の孫もできた。これから楽ができるはずだった妻のために介護をしたい」と思いたち、宇都宮市内の専門学校に通って、まず看護助手の講習を受けた。
 しかし医師から、高齢者が高齢者を介護する「老々介護」の難しさを指摘され、在宅での介護は見送ることになり、宮子さんは特別養護老人ホームに入所した。それでも「一時帰宅した時には気持ちよく迎えたい」と、10月からは日光市が開いた講座に通い始めた。
 ホームヘルパーは、2級の資格があると訪問介護の仕事に就くことができ、130時間の研修を受ければ取得できる。講座では、特養ホームや訪問介護サービスで、食事を手伝ったり、入浴の補助をしたりする実習を経験した。
 苦労したのは合計で約900ページにも及ぶテキストを読んで、レポートを提出すること。「自分が失敗して、受講資格に年齢制限ができたら申し訳ない」と奮起し、1月に講座の修了証明書を手にした。
妻は「無理せずに」
 文夫さんは、宮子さんの一時帰宅に向けて、自宅に手すりやスロープを付ける準備を進めている。「妻には食事の世話や入浴の介助をしてあげたい」と話す。宮子さんは「毎日やって来て世話をしてくれるので感謝している。いい年なのだから無理をしないでほしい」と話している。(高松秀明)(読売)

Monday, April 12, 2010

2年で橋さびだらけ!実は「さびがさび止め」

和歌山県の国道42号バイパス「那智勝浦新宮道路」(8・9キロ)の橋梁が赤くさび、住民らから不安の声が上がっている。
 さびで腐食を防ぐ特殊な鋼材を使用しており、国土交通省・紀南河川国道事務所は「安全に問題はない」と説明している。
 同道路は「那智勝浦道路」(15・2キロ)の一部として、1998年から総事業費1240億円で着工、一昨年3月に完成。30分余りかかっていた新宮市―那智勝浦町間が11分短縮された。
 インターチェンジや道路が交差する付近の橋梁は塗装されているが、山間部の橋梁は塗装されず、真っ赤にさびたまま。地元の人らから「手抜き工事では」などの声が上がった。
 紀南河川国道事務所によると、問題の橋梁には「耐候性鋼」という低鉄合金鋼を使用している。塗装しなくてもさびにくく、さびた場合も、それが表面を保護する役割を果たすという。
 塗装するより安くあがるが、人目につくところにはあまり使用されていない。同道路でも山間部に限って使用したため、誤解を招くことになったようだ。(読売)
 耐候性鋼とは、鋼表面に保護性錆(安定錆とも呼ぶ)を形成するように設計された低鉄合金鋼である。耐候鋼とも呼ぶ。塗装せずにそのまま使用してもあまり錆びず、またその錆が比較的緻密で、内部まで腐蝕されないような鋼材である。錆の色は茶褐色でそれなりに美しい。
耐候性鋼は、適切な管理をすれば無塗装で使用できるので、メンテナンス費や塗装費を低減できる。しかし、海水は保護性錆層を破壊する成分を含んでいるため、海岸部では耐候性鋼を無塗装で使うことはできない。

Sunday, April 11, 2010

震源近く、津波はビル10階相当

日本に大きな津波被害を出した1960年のチリ地震から50年となるのを機に、国際津波シンポジウムが10日、東北大(仙台市)で開かれ、2月末のチリ大地震の現地調査結果が報告された。
 地震から約1カ月後に現地入りした今村文彦東北大教授(津波工学)は、震源地に近い町での調査として「津波は10階建てビルに相当する高さ約28メートルにも及んだほか、河川を数キロさかのぼっても約6メートルの高さだった」と報告した。
 また震源地から約250キロ離れた町でも、津波で80%の家屋が倒壊し、港湾の大型コンテナまで流された例を紹介。別の町では、高さ7メートルの堤防に守られた北部は無事だった一方、高さ6メートルの砂丘しかなかった南部は壊滅したという。
 今村教授は「ハザードマップを作り、標高の低い場所では堤防を設けるなど防災対策が重要」と指摘している。シンポジウムには欧米やアジアなどの津波研究者ら約150人が参加。(山陽)

Saturday, April 10, 2010

だるい、元気が出ない 春に多い自律神経の不調

春は新入学や就職など人生の節目も多く、希望に満ちた時期。一方で「だるい」「疲れやすい」などの体調不良に襲われやすい季節でもある。日々の気温の変動が大きい上、環境の変化に伴うストレスなどによって「自律神経」の働きが悪くなるためだ。メカニズムや対処法を確認した。
 三月、東京都渋谷区の心療内科・精神科「初台関谷クリニック」を会社員女性(24)が訪れ、「だるい」「食欲がなく、仕事に行く元気が出ない」と訴えた。女性は地域の内科診療所から紹介されて訪れた。
 自律神経の疾患に詳しい関谷透院長は内科的な異常がないことなどから「自律神経失調症」と診断し、軽い抗不安薬を処方した。服薬などで女性は回復傾向という。関谷院長によると、三~四月には同様に、自律神経の不調が原因の体調不良を訴える患者が増えるという。
 自律神経は内臓や血管など全身に分布し、気温の変化や精神的なストレスなどの刺激の中で体内の状態を一定に保つ役割をする。自律神経失調症は、体のあらゆる部位に不調が表れる。ただ、不調は基本的には不定愁訴で、同失調症とはっきり診断されないケースも多い。
 自律神経は、体をバランス良く機能させるため「交感神経」と「副交感神経」という二つの神経が相反する働き=イラスト左=をする。日中は主に交感神経が優位となり活動的に、夜間は体を休ませるため副交感神経が優位となり、毎日の体のリズムをつくる。また夏は副交感神経、冬は交感神経が優位に働いている。
 自律神経の不調は、この二つの神経が優位に働く場面で優位にならないなど、“切り替え”がうまくいかなくなった状態だ。関谷院長は「初夏のように気温が上がった翌日に真冬並みに冷え込むなど春は気温差が大きく、体の調節機能が追いつかなくなる」と説明。「季節の変わり目でも、秋は体が防御態勢に入るので体調は崩れにくい。春はガードを徐々にほぐしていくのが難しい」と春に不調になりやすい理由を話す。
 春は新入学や就職など新しい環境に身を置くことも多いが、それに伴う緊張も自律神経のバランスを崩す原因になる場合がある。特にホルモンバランスの影響もある女性に多く、性格的には、きまじめ▽心配性▽思い悩みやすい▽ストレス発散が苦手-などのタイプが崩しやすい。
 不調を感じたときの対処法を関谷院長は「誰にも起こり得る不調で、自然と治ることも多い」と助言し、腹式呼吸によるリラックスや、体を元気づけるカルシウムやビタミンC、B1の摂取を勧める。
 また「リズムのある生活が大切」とも呼び掛ける。だるい場合はついゴロゴロしがちだが、昼間に寝続けることで自律神経のリズムが乱れることもある。
 軽い不調なら家族や友人と話したり体を動かすなど、積極的に過ごすことで元気が戻る場合も多いそうだ。不調が続くときは迷わず精神科や心療内科を受診することが大切だ。(東京)

Tuesday, April 06, 2010

「医療観光」を本格PR

日本で人間ドックはいかが―。観光庁は2010年度から、中国人富裕層らをターゲットに、検診や治療と観光を組み合わせた「医療観光」をPRする取り組みを本格的に始める。
 観光庁は、日本の高度な医療技術による健康診断や治療、日本の温泉や日本食などと観光を複合的にアピールし、鳩山政権が目指す「訪日外国人旅行客3千万人」の達成につなげたい考えだ。
 10年度は主に中国を対象に、日本の医療観光に対する認知度や期待度を調査、マスコミや旅行会社を招き日本の医療現場などを視察してもらう方針。既に外国人を受け入れている医療機関の情報を関係者が共有できるようにするほか、海外で外国人の治療のため導入されている「医療用ビザ」制度も調査する意向だ。
 自治体などでも取り組みが始まっており、徳島県は3月下旬、中国人向けに糖尿病検査の試験ツアーを実施。地元食材を使った低カロリー食や、鳴門のうず潮観光などを組み入れた。
 県観光企画課によると、参加者はスムーズな検査を高く評価したが、検査の種類を増やしてほしいとの要望や、観光地に中国語の案内が少ないとの指摘があったという。(山陽)

Monday, April 05, 2010

納豆菌で水浄化

丸紅は5日、納豆菌を使って水質を浄化するコンクリートブロックを、汚れた河川や湖沼の水を有効利用しようという機運が高まっているアジアなど海外に本格的に売り込む方針を明らかにした。
 化学薬品など環境に負荷をかける物質を一切使わず、低コストで長期間にわたって水質を浄化できるのが特徴という。
 丸紅が世界各地の販売店網を通じて売り込みをかけるのは、九州の園芸業者「コヨウ」(福岡県)とベンチャー企業「ビッグバイオ」(熊本県)が開発した水質浄化機能を持つコンクリートブロック「エコバイオ・ブロック」。ブロックの中に、水質を浄化する作用を持つ納豆菌と、菌のエサとなる有機物を封入した。水の中に入れると納豆菌が増え続け、水中の有機物を分解するため、「効果が半永久的に続く上、敷設後の管理コストもほとんどかからない」(丸紅)のが特徴だ。すでに九州地方のほか、マレーシア、インドなどの湖沼などで実証実験中で、高い水質浄化効果を確認しているという。
 経済発展が著しい新興国では、工業化で河川や湖沼の水質汚染が深刻化しており、世界の水関連インフラ(社会資本)の整備市場は2025年には100兆円に達するといわれる。(読売)

Saturday, April 03, 2010

「こころの健康政策構想会議」を発足

精神科医と患者・家族の有志らが1日、精神保健医療の改革案を協議する「こころの健康政策構想会議」を発足させると発表した。
 東京都立松沢病院の岡崎祐士院長が座長を務め、第1回会議が3日、同病院で開かれる。会議は患者・家族12人と医師、看護師、心理士、保健所職員ら計57人の委員で構成。5月末までに提言をまとめ、長妻厚生労働相に提出する。(読売)