生物学的製剤で免疫低下 関節リウマチ治療
関節リウマチの治療薬として広く使われるようになった生物学的製剤。ただ、感染症にかかりやすくなる副作用があり、昨年からの新型インフルエンザの流行で、患者は年間を通しての注意が必要となった。自宅での生物学的製剤の使用を支える病診、診診連携の取り組みを取材した。 (福沢英里)
愛知県一宮市の三十代の主婦は、七年前に関節リウマチと診断された。当時、看護師として働いていたが、血圧計のポンプが握れなくなるなどの支障が出始めた。二年後、生物がつくり出すタンパク質などを利用した生物学的製剤の使用が可能に。女性は、その中でも自己注射が可能なタイプの指導を受け、使い始めた。
「関節がこわばって起き上がれなかった朝もスムーズに起き上がれ、関節が腫れて太くなっていた手の指が細くなった」。症状が抑えられて安定してきたころ、長女を授かった。現在は同市内の総合病院で治療を受けているが、「子どもが小さく、インフルエンザなどが心配なので、近所の診療所で診てもらいたい」と女性は望む。
自宅で自己注射ができる生物学的製剤の広がりで、症状の経過をみる普段の診療は、女性のように近くの診療所を望む患者が増えている。
あさいリウマチ整形クリニック(名古屋市)の浅井富明院長は、リウマチ専門クリニックとして開業後、積極的に病診連携に取り組む。例えば、生物学的製剤を初めて使う患者の場合、呼吸機能や腎機能など必要な検査があり、整形外科やリウマチ科を備えた近くの総合病院を紹介=図。患者が総合病院で使い方の指導を受け、実際に使い始めると、地域のリウマチ専門クリニックに戻り定期的に通院してもらう仕組みだ。
「病診連携は患者にも開業医側にもメリットがある」と浅井院長。患者にとっては、身近な診療所で継続して診てもらえる安心感がある。
一方、開業医側はこれまで、結核や肺炎などの副作用発生時に対応できないことを懸念し、生物学的製剤の導入に消極的だった。総合病院や専門病院が“合併症のかかりつけ医”として、緊急時も対応してもらえれば、大きな助けとなる。
診診連携も進む。近所の整形外科や内科を希望する患者がいれば紹介する。皮膚潰瘍(かいよう)などの合併症が生じた場合、地域の皮膚科などへの紹介も。浅井院長は「関節リウマチは全身の炎症性疾患。さまざまな合併症を伴う場合があるので、常に念頭に置き、連携を活用している」と話す。(東京) Tweet

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