Tuesday, April 13, 2010

「妻のため」86歳ヘルパー

日光市久次良町の篠田文夫さん(86)が、脳梗塞で倒れて介護が必要となった妻、宮子さん(81)のために、ホームヘルパー2級の資格を取得した。
 文夫さんは、孫と同じ世代の若者に交じって市のホームヘルパーの養成講座を受け、入浴や食事の介助方法を学んだ。全国ホームヘルパー協議会(東京都)によると、家族のために資格を取る人は多いが、「80歳代は珍しいのでは」と話している。
 宮子さんは同市内にある実家の写真館で働いていたが、5年前に突然、脳梗塞で倒れた。病院で療養してきたが、昨年3月に退院して自宅で生活をすることになった。文夫さんは観光ガイドの仕事で観光客を連れて東照宮の周辺を歩いているため、体力には自信があった。「3人の子どもは結婚し6人の孫もできた。これから楽ができるはずだった妻のために介護をしたい」と思いたち、宇都宮市内の専門学校に通って、まず看護助手の講習を受けた。
 しかし医師から、高齢者が高齢者を介護する「老々介護」の難しさを指摘され、在宅での介護は見送ることになり、宮子さんは特別養護老人ホームに入所した。それでも「一時帰宅した時には気持ちよく迎えたい」と、10月からは日光市が開いた講座に通い始めた。
 ホームヘルパーは、2級の資格があると訪問介護の仕事に就くことができ、130時間の研修を受ければ取得できる。講座では、特養ホームや訪問介護サービスで、食事を手伝ったり、入浴の補助をしたりする実習を経験した。
 苦労したのは合計で約900ページにも及ぶテキストを読んで、レポートを提出すること。「自分が失敗して、受講資格に年齢制限ができたら申し訳ない」と奮起し、1月に講座の修了証明書を手にした。
妻は「無理せずに」
 文夫さんは、宮子さんの一時帰宅に向けて、自宅に手すりやスロープを付ける準備を進めている。「妻には食事の世話や入浴の介助をしてあげたい」と話す。宮子さんは「毎日やって来て世話をしてくれるので感謝している。いい年なのだから無理をしないでほしい」と話している。(高松秀明)(読売)

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