Saturday, October 30, 2010

30キロ増、バーガーのせい

ブラジル南部リオグランデドスル州の労働裁判所が、「12年間で30キロ太ったのはハンバーガー試食を強制されたせい」というマクドナルド元店長の男性(32)の訴えを認め、同社に3万レアル(約140万円)の支払いを命じた。28日、ブラジル紙「エスタード・デ・サンパウロ」が報じた。
 男性は、会社が店に送り込む覆面調査員に備えるため、ハンバーガーの試食を毎日、事実上強制されていたと主張。従業員に無料提供される昼食は高カロリーのメニューばかりで、70キロ余りだった体重が105キロに増えたのは会社の責任だと訴えた。マクドナルドのブラジル本部は、「従業員にはバランスのとれたメニューを提供している」と反論し、控訴を検討しているという。(リオデジャネイロ 浜砂雅一)(読売)

Friday, October 29, 2010

放射線治療がテーマ

がんの放射線治療をテーマにした「医療ルネサンス宇都宮フォーラム」(読売新聞社主催、栃木県、宇都宮市など後援)が28日、宇都宮市明保野町の市文化会館で開かれ、約260人が参加した。
 東大病院放射線科准教授・緩和ケア診療部長の中川恵一さんが基調講演し、早期がんで放射線治療を行うケースが増えている状況などを説明。読売新聞医療情報部の田中秀一部長との対談では、手術の場合と比べた後遺症の違いなどについて話し合った。(読売)

Thursday, October 28, 2010

緑茶に乳がん予防効果ありません

がん予防効果の研究報告もある緑茶を飲んだ人と飲まない人で、乳がんについては発生率に差はないことが、国立がん研究センターによる5万人規模の追跡調査でわかり、28日発表した。
 緑茶にはカテキンと呼ばれる抗酸化物質が豊富に含まれ、がん予防効果の可能性が示唆されていた。同センターは、欧米に比べアジアに乳がんが少ない点に注目。緑茶を飲む習慣と乳がんとの関連を調べた。
 岩手や大阪など10府県在住の40~69歳の女性約5万4000人を対象に、1990年代初めから十数年にわたって調査。このうち581人が乳がんになった。
 同センターは、緑茶を飲む頻度を「週1杯未満」から「1日5杯以上」の6段階に分けて発症との関連を調べたが、量による差は出なかった。
 5年後に再び調査に応じた約4万4000人について、飲む頻度の分類を「1日10杯以上」にまで広げたり、煎茶や玄米茶など緑茶の種類も分けたりして詳しく調べたが、飲んだ量と発生率に関連はなかった。(読売)

市販の遺伝子検査に警鐘

才能や性格、病気のなりやすさがわかるとした市販の遺伝子検査が増えていることについて、遺伝医学の専門家で作る日本人類遺伝学会は27日、「科学的に確認されていないにもかかわらず、有用であるかのような誤解を与えている場合も少なくない」などとして、監督体制の早急な検討を求める見解をまとめた。
 見解では、遺伝医学の専門家を介さずに、企業やクリニックで、生活習慣病のなりやすさや、肥満、薄毛などの体質、文系・理系の知能、音楽や美術、運動の適性などを調べる検査が広がっていると指摘。こうした検査の多くは、個人の体質を確実に表したり、ある病気を発症するかどうか明確な答えを与えるものではないとし、「専門家にとっては検査の意義さえ疑問視される」と批判した。
 個人情報保護の対策も不明だと問題視。さらに遺伝子検査を実施する場合の条件として、科学的根拠や結果の解釈、限界について、正確な情報をわかりやすく伝える体制の整備を求めた。
 特に、未成年者に対しては、自己決定権を尊重する理由から、専門施設が行う遺伝病の検査においても原則行わない旨の指針を定めており、子どもの能力や適性の遺伝子検査は「人権保護や差別防止の観点からも十分な考慮が必要」と安易な実施にくぎを刺した。(読売)

Monday, October 25, 2010

感染症の次女放置、死なす

重度の感染症の次女を放置し死亡させたとして、長崎県警は24日、対馬市美津島町鶏知、会社員大串時恵容疑者(44)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕した。「食事はあげていたが、病状が悪化していることを周りに非難されるのが怖かった」と容疑を認めているという。
 発表によると、次女の和久聖良さん(当時17歳)に適切な治療を受けさせず、今年3月、重症の肺炎で死亡させた疑い。昨年6月中旬、両わきの湿疹が化膿した聖良さんを病院に連れて行ったところ、継続して受診するよう言われたにもかかわらず放置。聖良さんは症状が悪化し、今年2月頃から寝たきりで食事も取れなくなり、3月16日頃に死亡したとみられる。
 聖良さんは携帯電話で大串容疑者に「(病状が)つらいから救急車を呼んでもいい?」とメールを送っていたという。捜査関係者によると、昨年6月の治療を放置したため肺に細菌が入り、肺炎を起こして死亡したとの因果関係が判明したことから立件したという。
 大串容疑者は3月20日、両親に「娘が死んだ」と伝え、父親から聞いた知人が対馬南署に通報。署員が駆けつけたところ、聖良さんは洋服姿のままうつぶせで倒れ、わきの一部から骨が見えていたという。(読売)

Thursday, October 21, 2010

ぜんそく発作 新たな物質…新しい治療法に道

ぜんそくの発作に強く関係している新たな物質を、国立成育医療研究センター研究所と東京大の研究チームが突き止めた。この物質は、アレルギー性疾患の主な原因とされる免疫物質(IgE抗体)がない状態でも発作を引き起こすもので、新しい治療法の開発などに役立つ成果だ。
 アレルギーの多くは、異物に対するIgE抗体の過剰反応で起こる炎症性疾患とされる。ぜんそく患者も炎症が見られたことから、発作は、ダニなどの死骸にIgEが反応して起きると考えられていた。
 同研究所の大保木啓介研究員らは、ぜんそく患者の体内でインターロイキン(IL)33という物質を作る遺伝子が多く発現していることに着目。この遺伝子を壊したマウスは、皮膚炎などIgE抗体によるアレルギー症状を呈したが、ダニには反応せず、大量吸入しても発症しなかった。
 同研究所は「発作には、IL33の役割の方が大きい。この物質の働きを抑えれば、ぜんそくの治療薬になる」としている。(読売)

Wednesday, October 20, 2010

鉄使った疑似ウイルス開発

医療・環境関連機器開発・販売会社「セパシグマ」=真鍋征一社長(68)、北九州市若松区=が、血液製剤などの製造過程で用いられる疑似ウイルスを、安価な鉄を原料にして造り出すことに成功した。
 医薬品製造のコストダウンにつながるため、メーカーなどから注文や問い合わせが相次いでいる。
 疑似ウイルスは、血液から医薬品を製造する際に不可欠な、ウイルス除去膜の性能試験で用いられる。
 現在は高価な金で作られた疑似ウイルスが用いられることが多いが、同社が開発した鉄コロイド溶液を疑似ウイルスとして使った場合、価格が大幅に抑えられるという。
 鉄の粒子の大きさを一定に保つことが難しいが、粒子の周辺に水分子を取り付けて溶液のpH(水素イオン指数)を調整することで実用にこぎつけた。
 鉄コロイド溶液は、すでにドイツのメーカーに出荷している。同社は、北九州市の助成金を得て、量産化に向けて研究を進めている。
 真鍋社長は「量産化を実現し、地元での雇用創出にもつなげたい」と話している。(読売)

Monday, October 18, 2010

脳死肺移植の女性死亡

改正臓器移植法に基づき、提供者の意思が不明で実施された5例目の脳死移植で、9月に東北大病院(仙台)で両肺の移植手術を受けた10代女性が、肺機能が回復しないまま今月8日に死亡していたことが17日、病院関係者への取材で分かった。
 改正移植法施行後の移植としては初の死亡例とみられるが、厚生労働省は、岡山大病院で肝移植を受けたが12日に死亡し、同病院が13日に公表した鳥取県の男性を、施行後初の死亡確認例と説明していた。
 東北大病院や日本臓器移植ネットワークは死亡を公表しておらず、透明性が求められる移植医療のあり方として疑問の声が上がっている。
 東北大病院関係者によると、女性は肺動脈性肺高血圧症で、九州の病院で脳死と判定された40代女性から提供を受け、9月2日に両肺を移植。直後から移植した肺が十分に機能せず死亡した。移植ネットには報告済みという。
 東北大病院移植チームの近藤丘教授(呼吸器外科)は「医療事故ではなく、公表しなかった」とした。(山陽)

肺移植男性、提供者家族へ感謝

本人が拒否していなければ家族の承諾で脳死判定と臓器提供が可能になった改正臓器移植法。改正法に基づく初のケースで両肺を提供され、8月に岡山大病院(岡山市)で移植を受けた20代男性が16日までに共同通信の単独取材に応じ「素直にありがとうと言うしかない。ドナー(提供者)の両親の決断はすごいと思う」などと提供者家族への思いを語った。
 改正法に基づき臓器提供を受けた人が心情を詳細に語った例は少ない。
 男性は中国地方在住。気管支の慢性的な炎症で呼吸が苦しくなる「びまん性汎細気管支炎」を患い、約3年前に待機患者として登録した。
 提供したのは関東地方の病院で脳死と判定された20代男性だった。
 「特にお母さんは、おなかを痛めて産んだ子どもの臓器を全く知らない他人にあげることになるので…」と、提供者家族の心情を思いやった。
 「手紙で感謝を伝えたい」一方で「亡くなった子どもさんを思い出して暗い気持ちにさせたら悪い」と迷う日々だ。
 男性は大学生の時に病状が悪化。治療を受けながら卒業した。(山陽)

臓器移植の現状と問題点

今までの脳死臓器提供102例による移植件数(平成22年10月15日現在)は、449件、で生存件数は398件(88.6%)となっている。移植の内容は、心臓・肺・心肺同時・肝臓・膵臓・膵臓腎臓同時・腎臓・小腸となっている。(日本臓器移植ネットワーク)
「死」の伝統的な定義は、「心臓死」であった。(心臓、肺、脳機能の停止を確認する「三点死」である。)心臓が止まれば、血流が停止し、やがて脳も死ぬ。逆に脳機能が停止すれば、心臓も止まる。
「脳死」とは、生命維持装置によって人工的に心臓や肺は動いている(=体は生きている)が、脳機能が停止した状態を言う。←心臓や肺や肝臓は、心臓停止後では、移植できない。
具体的には、
1)脳死を一律に死の定義とする。
2)本人の意志が確認できなくても、家族の同意だけで脳死の判定と脳死体からの移植を行えるようにする。
3)15歳未満の青少年も対象に含める。
という三点が主な骨子である。
 臓器移植を受けたくても臓器が手に入らないというのが現状であるから、問題になるのが、臓器売買である。多くの国で臓器の売買は禁止されているが、中国やフィリピンやインドなど国外での臓器売買は現実に行われている。
 また日本国内でも、2006年に臓器売買の事件が明らかになり問題になったが、これは氷山の一角にすぎないのかもしれない。(村の広場「脳死と臓器移植」から)
改正法の概要(平成22年1月17日施行)
・親族に対する臓器の優先提供を認める。
・臓器摘出の要件:本人の書面による臓器提供の意思表示があった場合であって、遺族がこれを拒まないとき又は遺族がないとき又は本人の臓器提供の意思が不明の場合であって、遺族がこれを書面により承諾するとき
・臓器摘出に係る脳死判定の要件:本人がA、書面により臓器提供の意思表示をし、かつ、
B、脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合であって、家族が脳死判定を拒まないとき又は家族がないとき又は本人について、A、臓器提供の意思が不明であり、かつ、B、脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合であって、家族が脳死判定を行うことを書面により承諾するとき
・小児の取扱い:家族の書面による承諾により、15歳未満の方からの臓器提供が可能になる
・被虐待児への対応:虐待を受けて死亡した児童から臓器が提供されることのないよう適切に対応
・普及・啓発活動等:運転免許証等への意思表示の記載を可能にする等の施策
(厚生労働省HPより)

Sunday, October 17, 2010

患者から多剤耐性緑膿菌

三重県立総合医療センター(同県四日市市)は16日、入院患者2人から多剤耐性緑膿菌を検出し、その後2人が敗血症などで死亡したと発表した。センターは「感染との因果関係は否定できない」として、院内感染防止措置を取るとともに、ほかの患者が感染していないか調べている。
 センターによると、9月17日に肺炎で転院してきた高齢男性から、入院時の検査で多剤耐性緑膿菌を検出。男性は今月4日に肺炎で死亡した。
 14日には別の高齢女性からも菌を検出し、女性は15日に敗血症で死亡した。
 多剤耐性緑膿菌は抵抗力が落ちている人に接触などで感染。多くの抗生剤に耐性を持っており、治療が難しくなることがある。(山陽)

Saturday, October 16, 2010

落雷で次々故障する風力発電

新潟県上越市がクリーンエネルギーの普及を目的に進める風力発電事業の累積赤字が、2009年度時点で約1億5600万円に上ることが13日、分かった。
 市は4基の風力発電施設を市内で管理・運営しているが、落雷による故障が相次ぎ、しかも4基のうち3基が外国製で、部品取り寄せや修理に時間がかかることが響いている。市は落雷対策の強化に乗り出したが、抜本的な赤字解消策は見えていない。
 市の風力発電施設は、三の輪台いこいの広場に2基、直江津港の港公園と道の駅うみてらす名立に各1基。01年4月から03年11月にかけて順次発電を開始、耐用年数は17~20年とされ、販売先の東北電力の設備に向けて送電されている。建設費は1基当たり約1億6600万円~約2億6400万円。
 最大の敵は、冬に多い落雷。最近では、港公園にあるドイツ製の施設が昨年1月に落雷で故障して発電ができなくなり、修理して運転を再開するまでに1年かかった。
 昨年度は全4基が、345~32日間故障。売電額は約1000万円と伸び悩み、売電と維持管理費の収支だけで約3800万円の赤字となった。
 そこで、市は今年度、港公園の施設で、風車の羽根の装置を改良して避雷針としての機能を高めた。いこいの広場のデンマーク製の2基については、2基をつなぐケーブルを交換して落雷の被害を防ぐ対策を講じている。
 市環境保全課は「売電収入と維持管理費などの支出が同じになるのが目標」としているが、2017年度までに毎年度、最高で約2700万円の借金を返済しなければならない。加えて、電力会社による風力発電の余剰電力買い取り金額が低く設定されており、経営改善は容易ではない。
 市議会からは「市財政が窮迫する中で、赤字を出しながら風力発電を続ける必要があるのか」と疑問視する声も聞かれるが、施設の耐用年数に達する前に撤退すると、建設費など計約3億円の補助金を拠出した新エネルギー・産業技術総合開発機構から、補助金返還を求められる可能性があるという。(読売)

がんワクチンで「出血」

東京大医科学研究所が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験で、医科研付属病院に入院中の膵臓がん患者が大量の消化管出血を起こし、医科研は「重篤な有害事象」として出血の恐れのある他の患者を臨床試験の対象から外したにもかかわらず、ワクチンを提供する他の病院には知らせていなかったことが15日、わかった。
 がんペプチドワクチンは、がん細胞に含まれるたんぱく質の断片(ペプチド)を患者に投与して免疫力を高め、がん細胞を攻撃する治療法。医科研は2006年から全国の大学病院などにワクチンを提供し、膵臓や胃、大腸などのがんを対象に臨床試験を行っていた。
 膵臓がん患者の手術跡から出血があったのは08年12月。医科研は「出血はがんの進行で血管が詰まったのが原因と考えられるが、ワクチンとの因果関係を100%否定できない」として、出血の恐れのある患者を臨床試験の対象から外したが、この情報は他の大学病院には伝えられていなかった。(読売)

Friday, October 15, 2010

高血圧予防「塩分控え運動を」

由良病院(玉野市深井町)に通院する糖尿病患者らでつくる「わかめ会」は9日、同病院で岡山大大学院の内田治仁助教を招いて講演会を開いた。
 講演は「高血圧は万病のもと!お塩を控えて」と題し、集まった会員や地元住民ら約50人を前に行われた。内田助教は「血圧とは、心臓から体の端々に血を送り出す圧力」と説明し、「高血圧は脳卒中を引き起こすなど、死亡原因になる場合が多い」と話した。
 また内田助教は、高血圧の予防と治療について、生活習慣を改善することが重要と訴え、運動する▽節酒する▽ストレスをためない―などとポイントを強調。「減塩すると血圧は下がる。塩の摂取量を減らすことを心掛けてほしい」と呼び掛けた。参加者はメモを取るなどして真剣に聞いていた。(山陽)

Thursday, October 14, 2010

新型インフルワクチンの有効期限は最長1年

昨年度の国産の新型インフルエンザワクチンが大量に医療機関で余っている問題で、厚生労働省は12日、メーカーや卸業者などが医療機関から239万回分(約37億円)を買い取ったと発表した。
 国産ワクチンの有効期限は最長1年で、返品されたワクチンは廃棄処分される。
 厚労省は例年、医療機関からのワクチンの返品を原則認めていない。昨年度は新型インフル対策として国が5400万回分(約260億円)を買い上げて各医療機関に供給したため、返品を認めた。
 政府がスイスのノバルティス社から緊急輸入した新型ワクチン1700万回分(約306億円)は、ほとんど使われないまま期限(6か月)が切れたため廃棄。英グラクソ・スミスクライン社から輸入した5000万回分(約547億円)は期限が1年半だが、今年度は国産ワクチンが十分にあるため、使われない見通し。(読売)

Tuesday, October 12, 2010

日本の研究者、内向きに

共同研究などのため海外に長期(31日以上)にわたって派遣される国内の研究者が、ピーク時の半分以下に減少していることが7日、文部科学省の調査でわかった。
 今年のノーベル化学賞受賞が決まった日本人2博士は、海外での切磋琢磨が業績の原動力になったとされる。現在の日本人研究者の内向き志向が改めて浮き彫りになった。
 調査結果によると、国公私立大などの研究機関から昨年度、教員など所属機関との雇用関係を維持したまま海外に派遣された研究者は3739人。ピーク時の2000年度は7674人だった。
 文科省は派遣研究者の増加を目指して支援策を拡充しているが、減少傾向が続いている。担当者は「日本の研究環境が整い、あえて海外に挑戦する研究者が少なくなっている面もあるのではないか」と話す。(読売)

Monday, October 11, 2010

高齢者の高血圧

高血圧は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)の発症と密接にかかわり、早期発見で脳・心血管疾患を防ぐことが重要となる。七十歳以上の高血圧患者を対象に、二〇〇八年三月まで四年かけて実施された大規模臨床試験の結果が六月に公表された。学会の治療ガイドラインに提唱された高齢者の降圧目標値の安全性と妥当性が確認された。 (福沢英里)
 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(二〇〇六年)によると、高齢者の高血圧の基準を「140/90ミリメートルHg」かそれ以上とすると、六十代は六割、七十歳以上になると七割が高血圧で、年齢とともに割合が増える。
 高齢者の特徴は、動脈硬化が進んで血管が硬くなるため、上の(収縮期)血圧だけが高い「収縮期高血圧」になりやすいこと。体の動きに応じて血圧を調節する働きが鈍くなるため、立ち上がるとふらついたり、一日のうちの上下幅が大きいことも挙げられる。
 高齢者の血圧をどこまで下げるべきかを記した降圧目標=表=は、昨年改訂された日本高血圧学会の治療ガイドラインに「診察室血圧が140/90未満、(リラックスした状態で家庭で測る)家庭血圧が135/85未満」と明記されている。
 しかし、高齢者の場合、血圧を下げ過ぎると、かえって脳の血液循環が妨げられ、脳・心血管疾患発症の危険性が大きくなると指摘されてきた。特に七十五歳以上は、まず「150/90未満を中間目標にする」とガイドラインでも注意喚起されている。(東京)

Sunday, October 10, 2010

日光市で医療観光、初の学会

医療サービスと観光を組み合わせた「医療観光」の振興を目指す「国際観光医療学会」が発足し、全国の医療機関や旅行業界の関係者らによる初めての学術集会が9日、栃木県日光市の日光東照宮で開かれた。
 医療観光は政府の新成長戦略に盛り込まれ、中国人富裕層をはじめとした外国人観光客の誘致に期待が集まっている。
 学会は、全国初の観光医療科を持つ独協医大日光医療センター(日光市)が中心となり設立。まだ個別の取り組みが先行している医療観光について、事例発表による問題の洗い出しや、全国的なガイドラインの策定など情報交換を進める方針だ。
 集会には、福岡県の柳川病院や旅行会社の近畿日本ツーリストなどから約260人が出席。観光庁の柏木隆久・国際観光政策課長は「学会への期待は大きい。来年度は(医療観光専門の)予算要求もしている。連携をしながら広い視野で進めたい」とあいさつした。(山陽)

腸を整え免疫活性化

免疫は、さまざまな病原体から体を守るシステム。その機能をつかさどる重要な臓器が腸。健康のため腸を良い状態に保つ食事が大切になる。岡山調理師専門学校(岡山市北区高柳西町)の下田祐恵・管理栄養士は「ヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌や乳酸菌には、腸内環境を整えて免疫を活性化させる働きがある。上手に取り入れて」とアドバイスする。
 腸内には常に100兆個以上の菌がおり、体に有益な「善玉菌」や有害物質をつくる「悪玉菌」などがしのぎを削る。菌のバランスが健康に深く関係し、高脂質・高タンパク質の食事やストレス、老化などで悪玉菌が優勢になると、便秘になったり、免疫機能が低下し感染症や病気を招きやすい。
 ビフィズス菌や乳酸菌は、健康にプラスに作用する生きた微生物(プロバイオティクス)の代表。善玉菌を優勢にし、悪玉菌の増殖を抑える。
 スーパーなどには、ビフィズス菌、乳酸菌を含んだヨーグルトや乳酸菌飲料が並ぶが、「多くの菌は胃酸で死滅してしまうため、腸まで届くタイプの製品を」と下田さん。整腸作用を国が認めた製品には「特定保健用食品(トクホ)」の表示があり、選ぶ際の参考になる。
 善玉菌のえさになるオリゴ糖や食物繊維は「プレバイオティクス」と呼ばれる。下田さんは「腸内環境を最適にするにはプロバイオティクスと、根菜類などに代表されるプレバイオティクスの両方を取るのが望ましい」と話す。ただし「どちらも『1回食べたら大丈夫』『量を多く食べるほど良い』というわけでは決してなく、適量を継続的に食べることが大切」と指摘する。
 ヨーグルトの原料である牛乳にはタンパク質、ミネラル、ビタミンなどさまざまな栄養素が含まれ、日本人に最も足りないとされるカルシウムの体内吸収率が他食品に比べて高いことでも知られる。
 牛乳をそのまま飲む場合には「一気に飲まず、1日コップ2杯ほどを何回かに分け、かむようにゆっくり飲むこと」と下田さん。「温めたり、シチューなどの料理に入れてもOK」と言う。
 牛乳を飲むと、まれにおなかを下す人もいるが、これは「乳糖不耐症」と言い、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が年齢とともに減る影響が大きい。そんな人向けに、あらかじめ乳糖を分解した製品もある。(山陽)

Saturday, October 09, 2010

アルコール、ギャンブルなど依存症患者を支援

アルコールやギャンブルなど依存症に苦しむ人の支援などを考える「日本アディクション(依存症)看護学会」の学術大会(読売新聞北海道支社など後援)が11月6、7日に北海道恵庭市の北海道文教大学で開かれる。
 アディクションは「物質」(薬物、たばこなど)や、「対人」(配偶者や恋人)、「行動過程」(ギャンブル、摂食、買い物、仕事)などに極度に依存し、自分をコントロールできなくなる状態をいう。回復はするが、治癒しにくいとされる。
 同学会は研究者や看護師らの集まりで、今年は「アディクション看護の課題 当事者のための通院促進支援とは」がメーンテーマで講演や討論会などが行われる。大会長の大沢栄・北海道文教大教授は「この依存症で一番疲れているのは、当事者の家族であることを知ってほしい」と話す。 (読売)

Friday, October 08, 2010

遺伝子組み換え作物 在来種に悪影響?

除草剤をかけても枯れない植物が道路端に生え、毎年花を咲かせている-。こんな「目撃情報」が国内で相次いでいる。輸入された遺伝子組み換えナタネが運搬中に車からこぼれ落ち、自生したのだ。
過去に生態系に多大な悪影響を与えた報告例はないとされるが、「その時」に備える国際会議「カルタヘナ議定書第五回締約国会議」(MOP5)の事前会合が六日から名古屋市で始まる。どんな会議になるのか。(東京)

Wednesday, October 06, 2010

ナイジェリア子供の鉛中毒死400人に、被害拡大も

ナイジェリア北部ザンファラ州で金の違法採掘を行う住民らの間に鉛中毒が広がっている問題で、現地調査を行っている国連緊急援助調整官室(OCHA)は5日、今年3月以降、5歳未満の子供400人以上が中毒死したと発表した。住民3万人が影響を受けた恐れがあるという。
 住民は貧しい農民らが多く、違法採掘の発覚を恐れ調査に消極的とされ、調査に協力している国際非政府組織(NGO)「国境なき医師団」は、子供の死者数は実際にはさらに多いと指摘している。
 OCHAなどによると、住民は鉛を含んだ鉱石を鉱山から自宅周辺に持ち帰り、粉砕するなどして金を採取するため、鉛汚染が周辺土壌や井戸、池などに広がった。空気中からは高濃度の水銀も検出された。金採取に使用されたとみられる。
 OCHAなどは9月後半から現地調査を開始。住民の消極姿勢に加え、雨期の豪雨の影響もあり、子供らの治療や汚染除去作業ははかどっていないという。
(山陽)

Tuesday, October 05, 2010

医師等がトラブルに備え、護身術を学ぶ

病院の医師や看護師が患者から暴力を振るわれるトラブルが全国で多発していることから、国立病院機構宇都宮病院(宇都宮市下岡本町)の医師や看護師ら計約60人が、県警本部の警察官から護身術を学んだ。
近年、医療機関では、飲酒した患者や薬物中毒、暴力団関係者などの患者が、待ち時間の長さや治療方針などに不満を抱いてトラブルになるケースが相次いでいる。同病院では、そのような時の対応法を学んでおこうと、研修会を企画した。
 この日の講師は、県警生活安全課などの警察官8人。職員が患者に手や体をつかまれた場合に足を踏んだり、ひじを使ったりする護身術を教えた。職員はペアを組み、お互いに護身術を練習しながら、自分や患者の身の守り方を確認した。
 また、宇都宮東署の沖田順一生活安全課長も「患者に暴言を吐かれたら、録音したり、複数で立ち会ったりすれば、裁判でも証拠として役に立つ」などと対処法を伝授した。
 同署管内では、同市竹林町の県救命救急センターで8月、点滴を受けた無職の男(45)が男性医師の右腕を殴る事件が発生している。(読売)

Sunday, October 03, 2010

地下鉄オーバーラン…運転士、無呼吸症候群か

2日午後3時50分頃、横浜市営地下鉄の普通電車が停車駅の戸塚駅(同市戸塚区)をオーバーランし、約800メートル先で停止した。
市交通局によると、あざみ野発湘南台行き普通電車(6両編成)で、男性運転士(44)は一つ前の舞岡駅を出発後、記憶をなくし、総合司令所からの無線連絡で通過に気づいたという。電車は戸塚駅に戻り、駅助役が同乗して約10分遅れで運転を再開した。
 同局が原因を調べているが、運転士は「無呼吸症候群の疑いがあったので5月に診察を受け、経過観察中だった」と説明しているという。(読売)

Saturday, October 02, 2010

寝たきりなのに歩数計!?

滋賀県長浜市が今年の敬老の日に合わせ、お年寄りに祝賀品として歩数計をプレゼントしたところ、「寝たきりだから使えない」「足が弱った年寄りに、皮肉か」などと苦情が相次いだことがわかった。
 祝賀品への添え状に、「九月十五日の敬老の日」と誤記していたことも判明。誤記は担当職員のミスで、部内でチェックしていなかった。高齢福祉介護課は歩数計について「介護者の健康も願った」と苦しい釈明をしているが、来年以降は添え状ともども改めることにしている。
 同市は昨年から祝賀品の贈呈を始め、9月15日時点で88歳、90歳と99歳以上の市内在住者のお年寄りに、民生委員を通じて1000円相当の物を贈っている。事業費は250万円。
 今年は当初、拡大鏡付き爪切りにする予定で6月末に入札を行ったが、対象者973人分を確保できる業者がなく、入札は不調に。8月には民生委員に預けなければならず、同課の担当職員らが急いで代替品を考えた結果、歩数計になったという。
 ところが、歩数計を受け取った民生委員らには「受け取ったお年寄りの気持ちを考えてない」「寝たきりの人には、申し訳なくて渡せない」などと不評で、藤井勇治市長の元にも「皮肉なのか」などの苦情が数件寄せられたという。
 藤井市長は「歩数計を使えるほど健康になって、との願いを込めたと聞いている。来年以降は現場の声も聞くなどして、高齢者をいたわる思いやりの品を贈りたい」と話している。(生田ちひろ)(読売)