今までの脳死臓器提供102例による移植件数(平成22年10月15日現在)は、449件、で生存件数は398件(88.6%)となっている。移植の内容は、心臓・肺・心肺同時・肝臓・膵臓・膵臓腎臓同時・腎臓・小腸となっている。(日本臓器移植ネットワーク)
「死」の伝統的な定義は、「心臓死」であった。(心臓、肺、脳機能の停止を確認する「三点死」である。)心臓が止まれば、血流が停止し、やがて脳も死ぬ。逆に脳機能が停止すれば、心臓も止まる。
「脳死」とは、生命維持装置によって人工的に心臓や肺は動いている(=体は生きている)が、脳機能が停止した状態を言う。←心臓や肺や肝臓は、心臓停止後では、移植できない。
具体的には、
1)脳死を一律に死の定義とする。
2)本人の意志が確認できなくても、家族の同意だけで脳死の判定と脳死体からの移植を行えるようにする。
3)15歳未満の青少年も対象に含める。
という三点が主な骨子である。
臓器移植を受けたくても臓器が手に入らないというのが現状であるから、問題になるのが、臓器売買である。多くの国で臓器の売買は禁止されているが、中国やフィリピンやインドなど国外での臓器売買は現実に行われている。
また日本国内でも、2006年に臓器売買の事件が明らかになり問題になったが、これは氷山の一角にすぎないのかもしれない。(村の広場「脳死と臓器移植」から)
改正法の概要(平成22年1月17日施行)
・親族に対する臓器の優先提供を認める。
・臓器摘出の要件:本人の書面による臓器提供の意思表示があった場合であって、遺族がこれを拒まないとき又は遺族がないとき又は本人の臓器提供の意思が不明の場合であって、遺族がこれを書面により承諾するとき
・臓器摘出に係る脳死判定の要件:本人がA、書面により臓器提供の意思表示をし、かつ、
B、脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合であって、家族が脳死判定を拒まないとき又は家族がないとき又は本人について、A、臓器提供の意思が不明であり、かつ、B、脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合であって、家族が脳死判定を行うことを書面により承諾するとき
・小児の取扱い:家族の書面による承諾により、15歳未満の方からの臓器提供が可能になる
・被虐待児への対応:虐待を受けて死亡した児童から臓器が提供されることのないよう適切に対応
・普及・啓発活動等:運転免許証等への意思表示の記載を可能にする等の施策
(厚生労働省HPより)