落雷で次々故障する風力発電
新潟県上越市がクリーンエネルギーの普及を目的に進める風力発電事業の累積赤字が、2009年度時点で約1億5600万円に上ることが13日、分かった。
市は4基の風力発電施設を市内で管理・運営しているが、落雷による故障が相次ぎ、しかも4基のうち3基が外国製で、部品取り寄せや修理に時間がかかることが響いている。市は落雷対策の強化に乗り出したが、抜本的な赤字解消策は見えていない。
市の風力発電施設は、三の輪台いこいの広場に2基、直江津港の港公園と道の駅うみてらす名立に各1基。01年4月から03年11月にかけて順次発電を開始、耐用年数は17~20年とされ、販売先の東北電力の設備に向けて送電されている。建設費は1基当たり約1億6600万円~約2億6400万円。
最大の敵は、冬に多い落雷。最近では、港公園にあるドイツ製の施設が昨年1月に落雷で故障して発電ができなくなり、修理して運転を再開するまでに1年かかった。
昨年度は全4基が、345~32日間故障。売電額は約1000万円と伸び悩み、売電と維持管理費の収支だけで約3800万円の赤字となった。
そこで、市は今年度、港公園の施設で、風車の羽根の装置を改良して避雷針としての機能を高めた。いこいの広場のデンマーク製の2基については、2基をつなぐケーブルを交換して落雷の被害を防ぐ対策を講じている。
市環境保全課は「売電収入と維持管理費などの支出が同じになるのが目標」としているが、2017年度までに毎年度、最高で約2700万円の借金を返済しなければならない。加えて、電力会社による風力発電の余剰電力買い取り金額が低く設定されており、経営改善は容易ではない。
市議会からは「市財政が窮迫する中で、赤字を出しながら風力発電を続ける必要があるのか」と疑問視する声も聞かれるが、施設の耐用年数に達する前に撤退すると、建設費など計約3億円の補助金を拠出した新エネルギー・産業技術総合開発機構から、補助金返還を求められる可能性があるという。(読売) Tweet

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