Thursday, September 30, 2010

入院患者2割、薬で健康被害

全国3か所の総合病院で、約2割の入院患者に薬の健康被害が起きていたことが京都大などの調査でわかった。
 個別の病院が院内で調査する例はあるが、3000人を超える大きな規模での詳しい実態調査は、国内で例がないという。研究チームは安全対策の徹底を改めて求めている。
 聖路加国際病院(東京)、洛和会音羽病院(京都)、麻生飯塚病院(福岡)で2004年、診療科と集中治療病棟計18か所の入院患者3459人を対象に、カルテなどを調査した。
 その結果、薬の健康被害は約2割にあたる726人に計1010件起きていたことが判明。このうち死亡した患者は14人、命にかかわる被害が46人、重症が272人だった。
 薬の副作用が大半だが、処方の指示を間違えたり、対応が遅れたりなど、人為的な原因が関係した事例が141件(14%)あった。状況としては▽4種類以上の薬剤を投与▽担当医の経験が3年未満――などの事例で起きやすいこともわかった。研究成果は米専門誌電子版に28日発表した。(読売)

Wednesday, September 29, 2010

潜在ヘルパーは138万人

ホームヘルパーの資格を取得して1年以内にヘルパーとして働いていない「潜在ホームヘルパー」が、2008年時点で推計で約138万人に上ることが28日までに、日本総合研究所の調査で分かった。
 調査は昨年10月、ヘルパーの資格を持つ全国3千人を対象に実施、その結果を基に推計した。
 推計によると、08年までのヘルパー1級から3級のいずれかの資格取得者は約175万人で、このうち、79%が潜在ヘルパーだった。
 将来はヘルパーの仕事をしたいと考えている人は約71万人。日本総研は「介護人材確保のためにも、働く意欲のある潜在ヘルパーの就業を促す環境整備が必要だ」としている。
 潜在ヘルパーの主な勤務形態では、飲食業などの「生活関連サービス」と、「医療・福祉」がそれぞれ約24万人。「無職」は34万人とみられる。
 高齢化の進展に伴い、07年に117万人だった介護職員は、25年には最大で倍以上の255万人が必要とされており、人材確保が大きな課題となっている。(山陽)

Sunday, September 26, 2010

生活支援ロボ

軽い認知症の人に話しかけて、外出や薬を飲む時間を思い出させるロボットを、国立障害者リハビリテーションセンター研究所と東京大学、産業技術総合研究所が共同開発し、24日発表した=写真=。5年後をめどに実用化を目指す。
 NEC製の高さ約40センチ、重さ5キロの円筒形ロボットに、新しく開発した会話プログラムを組み込んだ。
 “ご主人”の顔や声を認識し、指定された時刻が近づくと「○○さ~ん」と呼びかけ、「今日はデイサービスに行くんですね」「そろそろお迎えが来るのでトイレに行ってはどうですか」と外出の準備を促したり、来客を告げたりする。
 メッセージがうまく伝わらない時は同じ言葉を繰り返し、「わかりましたか~?」と念を押す。老人ホームで暮らす女性5人に5日間、試しに使ってもらったところ好評だった。(読売)

ロボット手術後、死亡

名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)は、内視鏡手術ロボット「ダビンチ」を使い、遠隔操作で胃がんを切除した70歳代の男性患者が5日後に死亡した、と22日発表した。
 同病院は「ロボットに不具合はなかった」とする一方、「患者の死亡と手術との因果関係は不明」とし、厚生労働省のモデル事業で診療関連死の原因究明を行う第三者機関に調査を申請した。
 松尾清一院長らによると、男性は今月上旬、胃前庭部の早期がん切除手術を受けた。手術中に膵臓を損傷し、縫合したが、翌日に腸管壊死が発生。さらに筋膜炎も併発し、5日後に多臓器不全で死亡したという。
 ダビンチは米国製。3~4本のアーム(腕)の先端に内視鏡や電気メス、鉗子を取り付け、医師は数メートル離れた操縦席で、手術部位の立体映像を見ながら操作する。メスなどを操る際の手ぶれを補正する機能などもあるため精度の高い手術が可能とされる。欧米や韓国では計1万台以上が稼働しているが、国内では保険診療の適用外のため、今年3月現在で計13台にとどまっている。
 同病院も3月に導入したばかりで、胃の手術としては今回が4例目。導入初期のため、数百万円とみられる手術費用は無料としていた。胃の手術への活用は当面中止し、外部有識者を招いた院内調査委員会でも検証するという。
 松尾院長は「ご遺族に哀悼の意とおわびを申し上げる。ロボットによる先進医療は国内でも広がっていくべきで、だからこそ事実を公表し、検証する必要があると考えた」と述べた。(読売)

Saturday, September 25, 2010

1人1600円の肥満対策で死者15万5千人減

経済協力開発機構(OECD)は、肥満予防策が健康に与える効果を推計した初の報告書をまとめた。
 報告書はOECD諸国の現状に触れており、日本は、国民の肥満率が3%と、OECD諸国の中では最も低い。一方で、高齢化が進み慢性疾患を持つ人が多い。このため、肥満を予防する総合的な対策を進めれば、他の国より大きな健康増進効果を上げられるとした。
 具体的には、学校での健康教育や、家庭医による食事・運動指導などを総合的に実施することが重要と指摘。1人あたりの計算で年間19ドル(約1600円)支出すれば、慢性疾患による死亡者を年間15万5000人減らせるとしている。
 報告書は、多くの国で過去30年に肥満率が2~3倍に増え、平均6人に1人が肥満になっていると指摘。総医療費の1~3%は肥満によるものと推計している。(読売)

Friday, September 24, 2010

ロボット手術後、死亡…名大病院

名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)は、内視鏡手術ロボット「ダビンチ」を使い、遠隔操作で胃がんを切除した70歳代の男性患者が5日後に死亡した、と22日発表した。
 同病院は「ロボットに不具合はなかった」とする一方、「患者の死亡と手術との因果関係は不明」とし、厚生労働省のモデル事業で診療関連死の原因究明を行う第三者機関に調査を申請した。
 松尾清一院長らによると、男性は今月上旬、胃前庭部の早期がん切除手術を受けた。手術中に膵臓を損傷し、縫合したが、翌日に腸管壊死が発生。さらに筋膜炎も併発し、5日後に多臓器不全で死亡したという。
 ダビンチは米国製。3~4本のアーム(腕)の先端に内視鏡や電気メス、鉗子を取り付け、医師は数メートル離れた操縦席で、手術部位の立体映像を見ながら操作する。メスなどを操る際の手ぶれを補正する機能などもあるため精度の高い手術が可能とされる。欧米や韓国では計1万台以上が稼働しているが、国内では保険診療の適用外のため、今年3月現在で計13台にとどまっている。
 同病院も3月に導入したばかりで、胃の手術としては今回が4例目。導入初期のため、数百万円とみられる手術費用は無料としていた。胃の手術への活用は当面中止し、外部有識者を招いた院内調査委員会でも検証するという。
 松尾院長は「ご遺族に哀悼の意とおわびを申し上げる。ロボットによる先進医療は国内でも広がっていくべきで、だからこそ事実を公表し、検証する必要があると考えた」と述べた。(読売)

医師ら29人に行政処分

犯罪などの不正が明らかになった医師・歯科医師について、厚生労働省は22日、計29人の行政処分を決めたと発表した。
 同省は医道審議会医道分科会に計38人の審査を諮問し、その答申を受けて処分内容を決定した。処分を受けなかった残りの9人は厳重注意。10月6日から発効する。
 最も重い免許取り消し処分を受けたのは、処方せんを偽造し、向精神薬を薬局からだまし取った詐欺罪などで実刑判決を受けた斎藤順歯科医師ら3人だった。(読売)

Thursday, September 23, 2010

東京の真夏日、最多71日

関東から西の太平洋側は22日、南から暖かい空気が流れ込み、2日続けて暑さに見舞われた。気象庁によると、東京の気温は午前9時すぎに30度を超え、真夏日は過去最多の71日になった。
 今夜から全国的に雨模様で気温は下がり、数日の周期で変化する秋らしい気候になる見通しだが、彼岸の残暑に至るまで、今年の暑さは記録的だった。
 今年の暑さの特徴は平均気温の高さ。今月になっても各地の平均気温は軒並み高く、平年差3度以上の地点が目立つ。全国154観測所のデータでは、6~8月の平均気温は、半数で最高を更新した。こうした状況は、最高気温が35度以上の猛暑日、真夏日の日数を押し上げた。東京では、最低気温が25度以上となる熱帯夜も、9月7日まで29日間続き過去最長となった。
 埼玉県熊谷市などで国内最高気温40・9度を記録した2007年は、8月下旬に前線の影響で平均気温は下がった。今年は40度以上の日はなかったが、8月は北海道などを除き雨が少なかった。雲がないぶん日照時間が長く、午前中から気温が上昇する日が続いた。
 今夏は、日本付近で上空の偏西風が北側に大きく蛇行し、温暖な太平洋高気圧が列島を覆った。また、南米ペルー沖の太平洋では海水面の温度が上がるエルニーニョ現象が今春まで続き、地球全体の気温が上昇。影響が日本には数か月遅れで及んだ。夏からは、ペルー沖の水温が下がるラニーニャ現象が発生したが、こちらは北半球中緯度域に猛暑をもたらす傾向がある。
 気象庁の異常気象分析検討会の木本昌秀会長は「9月まで続く暑さは、様々な条件が重なった結果だ。今年のように条件が重なることはめったになく、来年も記録的猛暑になる可能性は低い」としている。(読売)

Tuesday, September 21, 2010

米 新顔続々 背景に温暖化と消費者ニーズ

新米が出回る季節になった。コシヒカリなど既存の銘柄もさることながら、近年続々登場している新品種にも注目したい。各品種の魅力と開発の背景とは-。 (安食美智子)
 「とても甘くて、おいしかった」
 今月十一日、東京都千代田区のごはんミュージアムで開かれた「ちばの新米フェア」。訪れた浜松市の会社員宮内活弘さん(58)は試食で新米をほおばった。
 大田区の元村静子さん(75)も「太巻きすしはさっぱりしておいしい。千葉県産の新米を買ったばかりで、食べるのが楽しみ」と顔をほころばせた。
 新米の産地では収穫が本格化している。今回注目したいのは、新たに一般販売された銘柄や企画米だ。
 北海道の「ゆめぴりか」は高級ブランド米だ。「実力より低く評価されることが多かった」(ホクレン)北海道米の“エース”として期待されている。米はアミロース(でんぷんの一種)が適度に低く、粘りと甘みが特徴だ。昨年登場したが、収穫量が少なく、本格的なデビューは今年からだ。
 「五つ星お米マイスター」で、目黒区の米穀店スズノブを営む西島豊造さんは「いわば北海道で生まれた“コシヒカリ”。間違いなく東北の産地を脅かす存在。万人受けする味で、甘さや粘りがよい」と絶賛する。
 今年デビューする山形県の「つや姫」は十年の開発期間を経て生まれたコシヒカリ系のブランド米。庄内など県内四地区の栽培条件の良い平地で作られている。その名の通り、つやと白さが際立ち、甘い。
 庄内は約百年前、コシヒカリやササニシキなど、ブランド米のルーツとされる稲「亀ノ尾」が生まれた土地でもある。山形県農林水産部は「輝かしい伝統の地。米どころとしての評価を高めたい」と意気込む。
 既存の品種を産地の戦略により、おいしく生み出す企画米もある。昨年登場した「土佐天空の郷(さと)」は、独特の棚田を持ち、昼夜の寒暖差が大きいなど、米作りに適した高知県本山町で生まれた。深刻化する後継者不足を受け、町おこしのために企画された。
 既存品種の「ヒノヒカリ」「にこまる」を使用し、“西の魚沼産”の異名を持つ。粒が大きく、「ふっくらしていて、おにぎりやお弁当など、冷めてもおいしい」(同町農業公社の和田耕一さん)。室戸海洋深層水のにがりを散布し、甘みやうま味を引き出した。和田さんは「産地を守り、未来の展望を開きたい」と意欲を見せる。
 このほか、佐賀県「さがびより」のほか、秋田県は「ゆめおばこ」と低アミロース米の「淡雪こまち」、長野県の「天竜乙女」、愛知県の「ゆめまつり」がある。ゆめおばこ、天竜乙女、ゆめまつりは今年がデビューだ。
 新品種が登場する背景について、西島さんは「温暖化によって、コシヒカリやササニシキなど、旧品種が作れなくなってきた。米の消費量が低下する中、消費者の嗜好(しこう)の多様化に応えるニーズが生まれた」と説明。「十年以上前から研究が始まり、近年になって、その成果が続々と出てきた」と話している。(東京)

Sunday, September 19, 2010

さい帯血バンク、赤字2億円

白血病患者らへの移植治療に用いる、さい帯血を保存、提供する「さい帯血バンク」が、全国11か所で年間総額約2億円の赤字に陥っていることが、日本さい帯血バンクネットワーク(会長・中林正雄愛育病院院長)の調査でわかった。
 財政難から存続が危ぶまれているバンクもあり、18日に開く全国大会で集約化も含めた対策を話し合う。
 さい帯血は、へその緒や胎盤の血液で、赤血球や白血球を作り出す細胞が豊富に含まれる。移植は国内では1994年に始まり、2009年は骨髄移植1216件に対し、さい帯血移植は882件実施された。
 バンクは、大学や血液センターなどが母体となり運営。公的医療保険の診療報酬(1件17万4000円)と、国からの補助金(年間約6億円)が主な財源で、09年度は計約8億円だった。
 しかし、同ネットによると、冷凍保存などに1本百万円以上かかり、運営母体からの補填や寄付金の取り崩しで対処している。
 今年3月、NPO宮城さい帯血バンクの財政難が表面化したことから、同ネットが全国のバンクを緊急調査。09年度は全バンクが240万円から最大6300万円の赤字で、総額は2億円にのぼった。移植件数が増えるにつれ、赤字も深刻になったという。
 同ネットでは、運営の効率化に向けたバンクの統合を検討するとともに、「さい帯血移植は今や標準治療。保険診療ですべて賄えるようにすべきだ」(中林会長)と、診療報酬の引き上げを求めている。(読売)

Saturday, September 18, 2010

転ばぬ先の帽子を

高齢者に多い転倒事故の際、簡単な帽子をかぶっているだけで、頭への衝撃を半減できることが、東京都新宿区戸山にある「鈴木医院」の神経内科専門医、木原幹洋医師(57)の実験で分かった。「外出時はもちろん、室内や就寝中もかぶってほしい」と話す木原医師は、二十日の「敬老の日」を前に、高齢者への啓発を東京帽子協会(台東区浅草橋)に提言した。 (榎本哲也)
 鈴木医院は、高齢化率が44・54%と極めて高い都営戸山ハイツのすぐ近く。木原医師は日々、高齢者を診察する中で、転倒により脳出血や硬膜外・硬膜下出血、外傷性てんかんなどになる患者の多さを感じていたという。
 「畳が減り、フローリングやベッドが増えたのも一因。お年寄りは反射神経が低下して転倒しやすく、骨粗鬆(こつそしょう)症などで頭の骨が弱い人も多く、重傷を負いやすい。トイレや風呂でタイル壁にぶつけるなど小さな衝撃も、繰り返されると認知症の原因となる」
 転倒事故から頭を守るには医療用ヘッドギアが有効だが、高価な上、日常生活でかぶるのは非現実的だ。
 木原医師は今春、マネキン人形の頭に打撲を加えた場合、ヘッドギアと、市販の毛糸の帽子とで衝撃の違いをセンサーで測定。強度、中度、軽度の三通りで実験した結果、いずれもヘッドギアなら80~88%減らせる衝撃が、帽子でも50~58%軽減できたという。
 「トイレや寝室では事故が多い。『室内では失礼』と思わず、薄い帽子でよいので、いつもかぶっていて」と木原医師。こうした提言を、関東地方の帽子店など関係百二十一社でつくる東京帽子協会に伝え、啓発を求めた。
 同協会は、「敬老の日の贈り物に帽子を」とのキャンペーンを展開。今月中に台東区内の五つの特別養護老人ホームに帽子約三百個を贈呈する。
 協会加盟店の浅草・新仲見世の「トラヤ帽子店」浅草店は高齢者向けの一つとして、同店オリジナルの新作「エクセーヌ」のアルペン型をあげ、来店客に勧める。小櫃辰男店長(57)は「形崩れしにくく、丸めることもでき、手洗い可能。健康とファッションのためにいかがですか」と話していた。(東京)

Friday, September 17, 2010

三陸沖の海水温、高いと猛暑

太平洋の三陸沖を中心とした海域で6月以降の海水温が高いと、日本が猛暑になりやすいことを、海洋研究開発機構の中村元隆・主任研究員らが突き止めた。
 猛暑になった今年も6月上旬から海水温が高かった。海水温の異常は6月ごろから現れるため、猛暑や冷夏を2か月前に予測する精度の向上に役立ちそうだ。
 研究チームは、1957年から45年間の海水温のデータを分析。三陸沖から北海道東方沖の数千キロ・メートルの帯状の海域で、夏の海水温が平年より高い年は猛暑になる傾向があった。
 高い海水温が大気の状態を変えた結果、日本上空の偏西風の流れが北側にずれ、暖かい南風が入り込みやすくなっていた。逆に、海水温が低い年は偏西風が南側にずれるため、冷夏になることが多かった。(読売)

Wednesday, September 15, 2010

空き家活用してデイサービス

人口減少が続く中、年々増え続ける空き家を、デイサービス事業所として生かす動きが活発化している。治安の悪化につながるなど、負のイメージが強かった空き家が、高齢者が地域で暮らし続けるための地域資源に生まれ変わる点に注目が集まっている。(中舘聡子、写真も)
 滋賀県長浜市余呉地区(旧余呉町)のJR余呉駅前。「デイサービスセンター駅前」と書かれた木の看板がかかった瓦ぶきの2階建てがあった。社会福祉法人「大樹会」が2007年に開設した認知症対応型のデイサービスセンターだ。
 玄関から土間を通って居間に入ると、お年寄りがソファに座ってテレビを見たり、食卓でトランプを楽しんだりしていた。「ここは第2の家みたいなもの」と、開設時から利用する男性(88)は笑顔で話す。
 入浴など共通のプログラムもあるが、「料理や裁縫を手伝ってもらったり、庭の畑で草むしりをしてもらったりと、その人に合った時間の過ごし方をしてもらっています」と管理者の筑田雪枝さん。「大人数を対象にした施設でのデイサービスと違い、台所や居間があり、普通の民家に近い雰囲気なので、くつろいでもらいやすい」という。
 今年1月に長浜市に編入された旧余呉町は人口3700人余りで、高齢化率は33%。当時、町民が利用できる介護サービスは社会福祉協議会が行う訪問介護とデイサービスしかなく、要介護度が重くなると、町外の特別養護老人ホームなどに移らざるを得なかった。
 「財政難でも、住民が住み続けられる環境を整えたいと考えた」と、当時開設にかかわった市余呉支所福祉生活課副参事の池畑省史さん。過疎化で生まれた空き家を活用することを思いついた。各自治会に地区内の空き家の情報を報告してもらい、場所や広さなどを考慮して利用可能な家をピックアップした。同時に、運営主体となる事業者を探し、大樹会に決定。トイレや風呂などの改修費約1000万円は、国の交付金を受けた。
 08年には、介護保険適用ではないものの、自宅での一人暮らしが困難になったお年寄りが共同で生活するグループハウスを、同じく空き家を活用して整備した。(読売)

Sunday, September 12, 2010

仕事バッチリ 美肌系男子

仕事や健康のため、お肌に気を使う男性が増えている。 保湿にUV(紫外線)カット化粧品、日傘を欠かさない人もいる。 「肌に気を使うのは営業マンとして当然です」。 肌荒れが気になり始めたのは、仕事でスランプ気味だったある日。交渉相手の女性管理職らの肌を刺す視線に、ふと気が付いた。「もしや肌のせい? たかが肌、されど肌です」 民間調査会社の富士経済によると、整髪料など男性用化粧品全体の市場は不況の影響で低迷しているが、洗顔料や化粧水などのスキンケア部門は2000年に118億円だった売り上げが今年は165億円に達する見通しだ。競争社会では外見が大切」と指摘。 不安になった記者(33)も、化粧品売り場で「お肌診断」を受けてみた。(松田晋一郎)(読売)

Thursday, September 09, 2010

多剤耐性緑膿菌「思いのほか広がっている」

多くの抗生物質が効かない多剤耐性緑膿菌(MDRP)が、全国の医療機関の6割で検出されたことが、日本化学療法学会の調査でわかった。
 MDRPは帝京大病院で今年6月以降、患者4人が感染、うち1人が死亡している。同学会は「思いのほか広がっている」と警戒を呼びかけている。
 調査は2009年に実施し、全国752施設のうち約66%が、「施設内から検出したことがある」と回答した。うち約半数の施設では、尿路感染症や肺炎、敗血症などの発症者が出た。
 調査を行った昭和大学の二木芳人教授(臨床感染症学)は「この菌に有効な薬が国内では未承認。現在は医師がこの薬を個人輸入している。国は早急に承認してほしい」と話している。(読売)

Wednesday, September 08, 2010

幸福感 年収630万円で頭打ち…米学者ら発表

収入が上がるにつれ生活の満足度は上がるものの、必ずしも幸福感が増すとは限らないとする調査結果をダニエル・カーネマン米プリンストン大教授らがまとめ、米科学アカデミー紀要で7日発表する。「幸福は金で買えない」という通説を裏づける報告と言えそうだ。
 カーネマン教授は、米国人45万人以上を対象に調査会社が実施した電話調査のデータを基に、年収と幸福の関係を統計的に分析した。暮らしに対する満足度を10段階で自己評価してもらう「生活評価」の数値は、年収が増えるにつれ一貫して上昇した。
 しかし、「昨日笑ったか」「昨日悩んだか」などの質問で測る「感情的幸福」の度合いは、年収7万5000ドル(約630万円)前後で飽和、頭打ちになっていた。教授は「高収入で満足は得られるが、幸せになれるとは限らない」と結論している。(読売)

Tuesday, September 07, 2010

海洋深層水はメタボに効果?85人を調査へ

海洋深層水を使ったメタボリック症候群対策の研究を行う富山県衛生研究所と富山大大学院医学薬学研究部が、6日から今年度の研究を始める。
 研究は、深層水で行う運動が、水道水よりメタボ対策に効果的かどうかを調べるのが目的。2008年度から始まり、過去2回の調査では水道水より、血圧低下を促すホルモンが増えるなどの成果が出ている。
 ただ、被験者が2回とも数人程度と少なかったことから、今年度は公募で集まった20~70歳代の男女85人に約3か月間調査し、効果の裏付けを進める。
 被験者は、滑川市の海洋深層水体験施設「タラソピア」のプールで週1回以上、歩行などをしてもらい、3か月後に血圧や酸素消費量などを測定。8月30日~今月5日までの事前調査時と比較する。
 県衛生研究所は「継続的、長期的なデータ収集で、研究の精度を向上させたい」としている。(読売)

Monday, September 06, 2010

遺伝子組み換えサケは安全 FDAが評価結果

米国のバイオベンチャー企業が開発した遺伝子組み換え技術により通常の2倍の速さで成長するサケについて、米食品医薬品局(FDA)は3日、食べても安全性に問題はないとする評価結果をまとめた。ロイター通信が報じた。
 FDAは近く、専門家や関係者が集まる公聴会を開き、承認の是非を検討する。世界では、さまざまな遺伝子組み換え作物が栽培されているが、食用の動物の承認例はないという。
 サケは米マサチューセッツ州のアクアバウンティ・テクノロジー社が開発し、FDAに承認申請している。外見は通常の大西洋サケとほぼ同じだが、成長が速く、少ない量の餌で効率よく育てることができるのが特徴。
 FDAの分析では、ビタミンやミネラル、脂肪酸などの成分は通常の大西洋サケと変わらず問題はない。基本的に不妊になるため、いけすから逃げて自然環境の中で繁殖し、在来種を駆逐する可能性も極めて小さいという。
 FDAの動きに対し、食品安全の専門家や環境保護団体は「長期的に食べた場合の安全性が分からない」などとして、承認反対に向けた活動を予定しているという。(山陽)

Saturday, September 04, 2010

高コレステロール=長寿、脂質栄養学会が指針

コレステロール値は高い方が長生きで良いとする指針を、医師や栄養学者らで作る日本脂質栄養学会がまとめた。
 3日から愛知県で開かれる同学会で発表する。高コレステロールは心臓病や脳卒中の危険要因であり下げるべきだとする現在の医療は「不適切」としており、論議を呼びそうだ。
 現在の基準は、LDL(悪玉コレステロール)が140(ミリ・グラム/デシ・リットル)以上かHDL(善玉コレステロール)が40(同)未満、もしくは中性脂肪が150(同)以上だと高脂血症と診断される。
 日本動脈硬化学会が作成した。メタボ健診の基準もこれを基にしている。
 日本脂質栄養学会が今回まとめた「長寿のためのコレステロールガイドライン」は、「現在の基準値は基になる具体的なデータが示されていない」と主張。
 コレステロールが高いほど死亡率が低かったとの大規模研究や、コレステロールを下げる薬を服用しても心臓病の予防効果は見られないとする海外の近年の研究から、指針をまとめた。(読売)

Friday, September 03, 2010

脳脊髄液減少100症例分析へ 研究班、診断指針に弾み

脳と脊髄を覆う脳脊髄液が漏れさまざまな症状を引き起こす「脳脊髄液減少症(髄液漏れ)」について、診断や治療の指針(ガイドライン)作成を目指す国の研究班(班長嘉山孝正国立がん研究センター理事長、山形大教授)に届けられた症例が、100例に達したことが医学関係者への取材で分かった。
 病気の定義自体が不明確だった脳脊髄液減少症の症例が一定数集まったことで、研究班は共通する症状や引き起こした原因を分析。本年度内にも中間報告をまとめ、これまでなかったガイドライン作成に向けた作業に本格着手する。
 頭痛やめまいなどさまざまな症状が続き、交通事故の後遺障害として訴訟で争われるなど社会問題化したことに注目した脳神経外科医らが2007年、ガイドラインづくりに向け研究班を設立。厚生労働省も09年度までの3年間で計7500万円を助成してきた。
 研究班は当初、250例を目標としたが、症例を届ける医療機関内での調整に手間取り、症例集めが難航。中間目標を100例としたが09年度までに約70例しか集まらず、本年度に研究期間が延長されたばかりだった。(山陽)

Thursday, September 02, 2010

致死率高い鳥インフル、豚で人感染型に変異

人に感染すると約6割が死亡する高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)が、インドネシアで豚に広がり、一部は人に感染しやすいタイプへ変異したことが、東京大の河岡義裕教授らの研究で明らかになった。
 豚の体内で変異しやすいとされ、研究チームは豚の監視を強めるよう警告している。米専門誌電子版に掲載された。
 研究チームは2005~09年、インドネシアの豚702匹から鼻の粘膜を採取して分析。52匹(7・4%)が高病原性鳥インフルに感染していた。特に05年1~2月の調査では、167匹中35匹(21%)が感染。このうち1匹から見つかったウイルスは、人ののどなどに感染しやすい形へと遺伝子が変異していた。(読売)