空き家活用してデイサービス
人口減少が続く中、年々増え続ける空き家を、デイサービス事業所として生かす動きが活発化している。治安の悪化につながるなど、負のイメージが強かった空き家が、高齢者が地域で暮らし続けるための地域資源に生まれ変わる点に注目が集まっている。(中舘聡子、写真も)
滋賀県長浜市余呉地区(旧余呉町)のJR余呉駅前。「デイサービスセンター駅前」と書かれた木の看板がかかった瓦ぶきの2階建てがあった。社会福祉法人「大樹会」が2007年に開設した認知症対応型のデイサービスセンターだ。
玄関から土間を通って居間に入ると、お年寄りがソファに座ってテレビを見たり、食卓でトランプを楽しんだりしていた。「ここは第2の家みたいなもの」と、開設時から利用する男性(88)は笑顔で話す。
入浴など共通のプログラムもあるが、「料理や裁縫を手伝ってもらったり、庭の畑で草むしりをしてもらったりと、その人に合った時間の過ごし方をしてもらっています」と管理者の筑田雪枝さん。「大人数を対象にした施設でのデイサービスと違い、台所や居間があり、普通の民家に近い雰囲気なので、くつろいでもらいやすい」という。
今年1月に長浜市に編入された旧余呉町は人口3700人余りで、高齢化率は33%。当時、町民が利用できる介護サービスは社会福祉協議会が行う訪問介護とデイサービスしかなく、要介護度が重くなると、町外の特別養護老人ホームなどに移らざるを得なかった。
「財政難でも、住民が住み続けられる環境を整えたいと考えた」と、当時開設にかかわった市余呉支所福祉生活課副参事の池畑省史さん。過疎化で生まれた空き家を活用することを思いついた。各自治会に地区内の空き家の情報を報告してもらい、場所や広さなどを考慮して利用可能な家をピックアップした。同時に、運営主体となる事業者を探し、大樹会に決定。トイレや風呂などの改修費約1000万円は、国の交付金を受けた。
08年には、介護保険適用ではないものの、自宅での一人暮らしが困難になったお年寄りが共同で生活するグループハウスを、同じく空き家を活用して整備した。(読売) Tweet

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