Sunday, February 27, 2011

携帯電磁波で脳活動変化、健康への影響は不明、米研究所

携帯電話を耳に当てて使用すると、周辺の脳細胞のエネルギー消費が活発になるとの研究結果を、米国立衛生研究所(NIH)のチームが26日までに米医学会誌に発表した。
 携帯電話の電磁波が脳の活動に何らかの変化を与える可能性があることを示しているが、健康に悪影響があるかは不明。同誌は論説記事の中で「さらに研究を進める必要がある」と指摘した。
 研究チームは健康な47人を対象に、通話状態で音声は聞こえないようにした携帯電話と、スイッチを切ったものとをそれぞれ50分間耳に当ててもらい、脳の活動の変化を陽電子放射断層撮影装置(PET)で計測した。
 その結果、通話状態の場合は、携帯電話のアンテナに近い部分の脳のブドウ糖消費が、約7%増えることが分かった。
 携帯電話の電磁波と健康との関係をめぐっては昨年5月、世界保健機関(WHO)の専門組織が世界13カ国で1万人以上を調査した結果から、「使用が脳腫瘍の発生の危険を増やすとは認められない」とする報告を発表した。一方で、がんのリスクが上がると指摘する研究者もおり、結論は出ていない。(山陽)

Saturday, February 26, 2011

延命治療中止7%の病院が経験、回復困難な子どもの患者

救命したが回復が見込めない子どもの救急患者に、投薬量を減らしたり人工呼吸を止めたりする「延命治療の中止」をしたことがある病院は7%、投薬量を現状より増やさないなどの「差し控え」は34%が経験したとの調査結果を、阪井裕一国立成育医療研究センター総合診療部長らの研究班が26日までにまとめた。
 今後そうした患者の家族に、選択肢として治療中止や差し控えを示す可能性があるという医師は、60%以上だった。
 終末期の子どもに延命治療を続けると、子どもの尊厳を冒す場合もあると考える医師もおり、研究班は、その一端がうかがえる結果とみている。
 調査では、中止や差し控えに関する法律や指針などの公的システム整備を求める声が強く、治療の選択を判断する医療現場の戸惑いも浮かび上がった。
 研究班は2009年、日本小児科学会と日本救急医学会の約950の専門医研修施設にアンケート。498施設から回答があった。
 過去3年間に、臨床的に脳死と判断した15歳未満の子どもがいたのは37%。延命治療の中止経験は7%で5例以上が5施設、差し控えは34%で10例以上が20施設あった。(山陽)

骨髄移植ドナーに助成金、新潟・加茂市が全国初

新潟県加茂市は25日までに、市内に住む骨髄移植の提供者(ドナー)を対象に、入院や通院の際の休業補償として1日2万円を助成する方針を決めた。4月から開始する予定で、骨髄移植推進財団(東京)によると、自治体によるドナーへの助成は全国で初めて。
 財団によると、ドナーが骨髄液を提供する際、採取や健康診断のため7~10日程度の入院と通院が必要だが、そのための休暇制度を導入する企業や自治体は少なく、「仕事を休めば収入が減る」と提供をためらうケースもあるという。
 骨髄移植は白血病などの治療法で、健康な人から採取した骨髄液を白血球の型が合う患者に点滴で注入する。血縁者間移植と財団が運営する骨髄バンクが仲介する非血縁者間移植がある。
 財団によると、昨年末のドナー登録者は約38万人で、国内外の登録患者は約2900人。しかし、非血縁者間で型が一致する確率は数百~数万分の1で、昨年1年間の移植は約1200件にとどまっている。加茂市は「骨髄移植が促進されるよう、こういった制度が全国に広がってほしい」としている。(山陽)

Thursday, February 24, 2011

若年性認知症88%「仕事失った」

65歳未満が発症する若年性認知症について、広島県は初の実態調査結果を発表した。最初の異変に気づいた平均年齢は56・3歳で、少なくとも88・8%が仕事を失い、年収の減少は58・3%に上った。患者の多くが現役世代で、経済的に苦境に陥っている実態が改めて浮き彫りになった。(野中明子)
 調査は昨年11月~今年1月、患者60人とその家族58人に面談方式で実施した。その結果、最初に異変を感じた人(複数回答)は、配偶者36人、子ども18人、本人15人で、症状(同)は物忘れ42件、行動の変化38件の順で多かった。
 診断時の平均年齢は57・8歳。45人が発症前に仕事に就いていたが、診断後も働いているのは5人にとどまり、正社員は19人から1人に減少した。残りは非常勤2人、アルバイト1人、主夫・主婦1人だった。
 「ハローワークでは『資格があるので、すぐ採用される』と言われたが、何回も不採用通知が来た」「職場では効率・生産性を迫られるので、退職した」など、本人の意欲だけではどうにもならない現実への不安が多く聞かれた。
 一方、家族では、発症後に就労者数が17人から37人に増加。正社員は4人から10人になった。苦しくなった家計を介護しながら支えているため、「頼るところがない。支援体制を整えてほしい」「専門知識を持つ人に定期訪問してもらい、負担を軽減してほしい」といった切実な要望が寄せられた。
 県高齢者支援課は「患者はまだまだ働ける世代だけに、高齢者とは異なる課題が多い。企業への啓発活動など対策を講じたい」としている。(読売)

Tuesday, February 22, 2011

アルツハイマーに貼り薬、今夏にも発売

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第1部会は21日、国内では初となるアルツハイマー型認知症の進行を抑える貼り薬の承認を決めた。早ければ今夏に発売される見通し。
 貼り薬は、スイスを拠点とするノバルティスファーマのイクセロンパッチ(一般名リバスチグミン)と、小野薬品工業のリバスタッチパッチ(同)。背中などに1日1回貼り、皮膚から成分のアセチルコリン分解酵素阻害剤を徐々に吸収させる。飲み忘れなどを防止しやすいのが特徴。
 アルツハイマー型認知症の薬は最近まで飲み薬1種類だけだったが、昨年11、12月に計2種類が承認された。貼り薬が加わったことで治療の選択肢が広がる。(読売)

Sunday, February 20, 2011

大事故を想定し訓練

昨年11月亀山市野村の県道交差点でフィリピン人7人が死亡した事故を受け、同市消防本部、亀山・関消防署、同市立医療センターは19日、事故現場近くの西野公園駐車場と同医療センターで、多数の死傷者が出た交通事故を想定した訓練を実施した。
 訓練は、乗客28人のマイクロバスが単独事故を起こし、多数が負傷したと想定し、約100人が参加。運転手の119番で、救急車や救助工作車などの車両が同駐車場に駆けつけ、車外に放り出された負傷者役の同市消防団員26人とダミー人形2体を救助し、搬送した。けがの程度は事前に明らかにされておらず、駆けつけた救急隊員が治療の優先順位(トリアージ)を行い、死者や重軽傷者を次々に選別した。
 一方、搬送された同医療センターでは、医師や看護師、呼び出された事務職員らが待ち構え、治療室に手際よく運び込んでいた。 (読売)

Friday, February 18, 2011

冬眠の熊は極限状態、心拍数は最少で毎分9回

冬眠中の熊は、心拍数が最少で毎分9回まで減るなど、極限まで生命活動が抑えられることを、米アラスカ大などの研究チームが突き止めた。
 18日付の米科学誌サイエンスで発表する。
 研究チームは、アラスカ州当局に捕獲されたアメリカクロクマ5頭に、心拍計などを埋め込み、赤外線カメラや酸素計測機器を備えた巣穴で冬眠させた。その結果、心拍数は通常の毎分55回から、最少で9回まで減り、拍動の間隔は20秒に及ぶこともあった。
 また、5~6度の体温低下で代謝は25%まで落ちたことも判明した。これまで代謝を半減させるには、10度下げる必要があると考えられてきた。熊の通常の体温は37~38度だが、冬眠中は30~36度の間を、数日周期で行き来するサイクルも新たに見つかった。(読売)

Wednesday, February 16, 2011

情緒障害児の76%虐待経験…短期治療施設

全国に37か所ある情緒障害児短期治療施設(情短)の全入所者1128人(昨年11月時点)のうち、853人が虐待された経験を持つことが読売新聞の調べでわかった。
 被虐待児の割合は約76%と14年前に比べて倍増していた。アンケート調査への回答では、約7割の施設が職員不足を訴え、被虐待児への対応に追われた職員の疲労が目立つ。専門家は「体制見直しが必要」と指摘している。
 読売新聞が昨年11月~今年1月、37施設に電話での聞き取りとアンケートを行った。全国情緒障害児短期治療施設協議会などが1996年、当時の16施設を調べたところ、被虐待児の割合は約35%だった。
 本紙アンケートには21施設が回答。14施設が「職員不足」とし、自傷行為や児童間暴力などへの対処の難しさを訴えた。ある施設職員は「昔は集団治療が多かったが、今は個々の症状ごとに治療が必要で、施設はパンク寸前」と話した。
 児童相談所の一時保護を経由した児童が多いが、2009年度退所の約20人のうち、自宅に帰ったのは約4割。4割弱は児童養護施設へ移ったが、なじめずに逆戻りしたケースもあるという。
 行政に望む施策では、半数以上の施設が「職員配置基準の見直し、増員」に言及。入所者数に応じて行政が払う「措置費」の引き上げを求める声も多かった。(読売)

Saturday, February 12, 2011

もみ殻で高性能活性炭…CO2抑制に応用も

稲のもみ殻から高い吸着性を持つ活性炭を作る技術を、長岡技術科学大(新潟県長岡市)の研究グループが開発した。
 二酸化炭素など温室効果ガスの排出抑制に用いたり、大量の水素を吸着させて燃料電池の材料にしたりと、応用分野は広いという。年内にも発売される。
 グループを率いる斎藤秀俊教授・副学長が、農協職員から「もみ殻の処分に困っている」と聞いたのをきっかけに、2年ほど前から研究に着手した。
 もみ殻を熱して炭にしただけでは、後に残る二酸化ケイ素が邪魔をし、活性炭として働かない。そこで、炭を水酸化カリウムや水酸化ナトリウムと混ぜて熱処理するなどして二酸化ケイ素を取り除くことに成功した。
 二酸化ケイ素を除いた後の炭の表面には、直径1・1ナノ・メートル(ナノは10億分の1)の微細な穴が大量に発生した。これが表面積を広げ、高い吸着力が生まれた。一般的な活性炭の表面積は、1グラム当たり1000平方メートル程度だが、もみ殻活性炭では2・5倍になるという。(読売)

Wednesday, February 09, 2011

宮崎、殺処分の鶏百万羽に迫る、渡り鳥増え被害拡大か

宮崎県の高病原性鳥インフルエンザは養鶏農場での発生が11例、鶏の殺処分は8日時点で94万羽に達し、100万羽に迫る異例の被害規模となった。県は「昨年の口蹄疫と異なり、周辺農場に感染が一気に広がっておらず、点々と発生している」として、農場間の「飛び火」感染には否定的立場。野鳥がウイルスを持ち込んでいる可能性が濃厚とみる。
 専門家は、真冬でも気候が比較的温暖な宮崎に、渡り鳥がえさを求めて多く飛来する事情が背景にあると指摘している。
 宮崎県内では1月22日に宮崎市で感染が確認されたのを最初に、県東部の新富町や北部の延岡市などに被害が拡大した。愛知、島根、大分、鹿児島県での鶏の感染確認は各1例だが、宮崎だけ被害が広がり続けている。
 日本野鳥の会宮崎県支部によると、今冬は渡り鳥の数が例年に比べて増加傾向といい、京都産業大の大槻公一鳥インフルエンザ研究センター長は「宮崎は温暖で積雪もほとんどなく、真冬でも虫が多く活動している。海外でインフルエンザに感染した渡り鳥が、えさを求めて宮崎に飛来するケースが増えているのではないか」と指摘する。(山陽)

Saturday, February 05, 2011

骨髄移植、42人の提供者で所定の検査せず

骨髄移植推進財団は4日、提供者の骨髄を採取する際、本人確認のために必要な所定の検査が、42人の提供者で実施されていなかったと発表した。
 調査の結果、人違いはなかったが、同財団は「心よりおわびする」と謝罪した。
 骨髄移植は、白血球の型(HLA)をもとに移植を受ける患者と提供者の組み合わせが決まる。提供者は登録時にHLA検査を受け、実際に骨髄を採取する前にも同様の検査を受ける。
 同財団は2009年、採取前の検査の仕組みを変更したが、コンピューターシステムのプログラムを修正しなかった。そのため、コンピューターがこの42人は検査が終わったものと誤認していたという。このうち32人はすでに骨髄を提供し、患者に移植されている。(読売)

Thursday, February 03, 2011

生命に適した太陽系外惑星54個発見

米航空宇宙局(NASA)は2日、生命に適した環境を持つ可能性がある太陽系外の惑星54個を宇宙望遠鏡「ケプラー」で発見したと発表した。
 ケプラーは銀河系の400分の1をカバーしているに過ぎず、地球のように生命を宿せる惑星は予想以上に数多く存在する可能性が高まった。
 NASAエイムズ研究所のウィリアム・ボルーキ研究員は記者会見で「宇宙では生命はありふれたものだろう」と話した。
 NASAは2009年にケプラーを打ち上げ、惑星が前を横切ることによる恒星の光の微妙な変化を観測。1235個の惑星候補を特定し、うち54個は熱すぎず冷たすぎず、液体の水が存在して生命に適していると推定した。特に5個は地球に近い大きさだった。(読売)