夏休み真っ盛り。「子どもと夏」をテーマに、子どもの健康を脅かしかねない様々なトラブルとその対処法などを探ってみたい。
初回は、熱中症。合宿や夏の練習に参加する子どもが多いなか、熱中症で倒れるなどの事故も後を絶たない。日本体育協会(東京)スポーツ科学研究室の伊藤静夫室長は「事故は『無知』と『無理』から起きる」と強調する。
熱中症は、
〈1〉 血圧が低下し、顔面が真っ青になる「熱失神」
〈2〉 脱力感、倦怠感の激しい「熱疲労」
〈3〉 足や腕に痛みも伴う「熱けいれん」
〈4〉 「熱射病」――の四つに大別される。
中でも怖いのが、死に至る恐れもある熱射病だ。応答が遅い、言動がおかしい、意識がないなどが特徴で、頭痛、吐き気を伴うこともある。こうした症状がある場合、「『日陰で休ませれば』と高をくくらず、すぐに救急車を呼んで」と伊藤さん。救急車が到着するまでの間、首、わきの下、足の付け根を氷で冷やして体温を下げる。
熱中症の予防策は、無理をしないことだ。炎天下にあえて厳しい練習を行う指導者もいるが、「悪しき根性論」といえよう。子どもの体重を毎朝測り、減少が続くようなら、休養させる。練習内容も、気温の低い時間帯を選ぶなど、工夫が欠かせない。夏合宿は初日が要注意。体が環境に慣れていないので、事故が起こりやすい。
気温が31度以上となると、熱中症になる危険性が高い「厳重警戒」区域。持久走や激しい運動は避けたい。35度以上になると「原則中止」。気温が低くても、湿度や日差しが強い場合は慎重な対応が求められる。
水分は、随時補給が基本だ。摂取量は、野球、サッカー、バスケットの場合、練習前は250~500ミリ・リットル、練習中は500~1000ミリ・リットルが目安。市販のスポーツドリンクで補おう。
「子どもの状態をよく見て練習を行うことが、結果的に、熱中症の予防につながる」と伊藤さんは話している。(読売)