Saturday, November 21, 2009

薬の誤りが置きやすい時間帯

「事件が起きた。イチカワ(市川)警察署に行け!」。千葉県で新聞記者になったばかりの私は、先輩記者に指示され、すぐに車に飛び乗りました。約20年前のことです。 様々な仕事を抱え、ぼんやりしていた私は、なぜか40キロも離れたイチハラ(市原)警察署に行ってしまいました。後で先輩に厳しくしかられました。忙しいと思わぬ失敗をしてしまいがち。それは薬剤師さんも同じようです。 財団法人「日本医療機能評価機構」は今年9月、薬局から、ヒヤリとしたりハッとしたりした「誤り」を報告してもらい、結果を初めて公表しました。「指定の薬と違う薬を患者に渡した」「薬の数量を間違った」などの事例が起きた最大の要因は、勤務が忙しかったからだそうです。 誤りが起きやすいのは、月曜日と金曜日、時間帯は午前10時~12時でした。やはり患者が混雑する曜日や時間が危険ですね。そんな時に薬をもらう人は間違いがないか、見直しましょう。(医療情報部 坂上博)(ヨミドクターから)

Friday, November 20, 2009

がん初期治療61~36%、部位で大きな差

早期にがんが治療される割合は、臓器ごとの差が大きく、胃が6割に上る一方、大腸と肝臓、肺は4割以下であることが、国立がんセンターの分析で明らかになった。
 がん患者の症状の進行度(ステージ)を、国際的な基準に沿って初めて全国調査した。今後、海外のデータとも比較し、早期診断・治療へ向けた課題を探る。
 調査は、全国のがん診療連携拠点病院のうち、患者の登録制度が整っている305施設から、2007年にがんと診断された患者33万人分の情報を集めた。
 がんの進行度は、国際基準で0~4期の5段階に分けられる。このうち比較的初期にあたる0~1期での治療開始が、胃では61%だったが、大腸と肝臓が36%、肺が37%、乳腺は49%だった。
 同じ胃がんでも、初期の割合は都道府県によって47%から79%まで開きがあった。胃がんの初期患者は、37%が負担の少ない内視鏡治療を受けていた。一方、患者数は、大腸、胃、肺、乳腺、前立腺の順に多かった。(読売)

Wednesday, November 18, 2009

メタボ診断の基準値を再検討

肥満症やメタボリック症候群の診断基準の1項目、腹囲(ウエストサイズ)について「男性85センチ以上、女性90センチ以上」という現在の基準値が妥当かどうか、日本肥満学会が専門委員会を設置し本格的な検討に入っていることが18日、分かった。
 大規模なデータ解析などを進めており、来年をめどに結果を公表する。
 腹囲は、生活習慣病の原因となる内臓脂肪の蓄積量の目安とされるが、日本の基準値は海外に比べて、男性はかなり厳しい一方、女性の基準値が男性より緩いのは珍しく、異論も出ていた。昨年から腹囲測定は特定健診(いわゆるメタボ健診)にも取り入れられており、基準値が変更されれば保健指導にも影響を与えそうだ。
 現在の基準値は、肥満学会が肥満症の診断基準として2000年に策定。関係学会が合同で05年に作ったメタボリック症候群の診断基準にも盛り込まれ、厚生労働省は学会の定めた基準値をメタボ健診に採用した。
 だが策定の基になったデータは、著しい肥満を含む肥満者が中心で、女性の数が少ないなどの問題があったという。
 肥満学会は、基準値策定から年数がたち、新たな研究成果を反映させる必要があると判断。1万人以上の人間ドックなどの受診者データを使い、男女別や年齢別に脂肪の蓄積状況と生活習慣病、腹囲との関係などを分析、適切な基準値を設定する。(共同)

Sunday, November 15, 2009

コエンザイムQ10で老人性難聴予防

年を取るにつれて耳が遠くなる「老人性難聴」は、耳の奥の「内耳」にある感覚器の細胞が遺伝子の働きで死滅して起きることを、東京大などがマウスの実験で明らかにし、米科学アカデミー紀要に発表した。
 抗酸化物質で遺伝子の働きを抑えると、発症しないことも突き止めた。哺乳類の耳の仕組みは共通しており、人の難聴予防につながると期待される。
 染谷慎一・東大特任助教らは、損傷を受けた細胞を自殺に導くBakという遺伝子に着目。マウスのBakを働かないようにすると、人間の50歳に相当する生後15か月でも聴力がほとんど低下しないことを確認した。
 Bakの働きを抑えられるか調べるため、17種類の抗酸化物質を餌に混ぜてマウスに与えたところ、栄養補助食品(サプリメント)として市販されているコエンザイムQ10など3種類が難聴予防に効果があることが分かった。
 一方、人間の成人にとっては1日20ミリ・グラムにあたる量のコエンザイムQ10を生後4か月からマウスに与え続けると、生後15か月の時点で、同じ月齢のマウスが45デシベル以上の音しか聞き取れないのに対し、12デシベルの小さい音を聞き取れることも確認した。(読売)

Saturday, November 14, 2009

冷え性と漢方薬

漢方では「冷え性」という体質としてではなく、独立した治療の対象の「冷え症」ととらえており、「要因に合わせて薬を処方していきます」と橋口さん。漢方では、要因を「腎虚」「脾(ひ)虚」「血虚」という三つに分けている。
 「腎虚」は、加齢によって新陳代謝機能が低下していたり、生来的に体力がなく熱を上げるエネルギーが低い状態をいう。冷えだけでなく、疲れやすかったり頻尿なども起こりやすい。
 「脾虚」は、バランスの悪い食事で胃腸の働きが鈍って起こることが多い。若い人に、このタイプが多い。
 「血虚」は、女性に多い。強い冷えを感じる人も多く、顔色が悪かったり、疲れやすい、貧血になりやすい、少量の出血が長く続くなど生理が不順になる、といった症状が伴う場合もある。
 冷え症の治療によく使われる漢方薬は、腎虚では八味(はちみ)地黄丸(じおうがん)、脾虚では六君子湯(りっくんしとう)、血虚では四物湯(しもつとう)など。「今は健康保険のきく漢方薬がたくさんある。専門の医師や薬剤師によく相談して、合う薬を選んでほしい」(緑蔭診療所 橋口医師)(東京)

Friday, November 13, 2009

「恐怖の記憶」消す仕組み解明

脳が短期の記憶をとどめる部分では、神経細胞を次々に作り出すことで、恐怖などの記憶を消し去っていることを、富山大学の井ノ口馨教授らが動物実験で突き止めた。
 心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの治療につながる成果だ。13日発行の米科学誌「セル」に発表する。
 記憶は、脳の「海馬」と呼ばれる部分に保存された後、整理され、マウスは1か月、人間は半年~3年で大脳皮質へ移り、長期の記憶になるとわかっているが、詳しい仕組みは不明だった。
 井ノ口教授らは、海馬で神経細胞の新生が盛んなマウスと、そうでないマウスを実験に用い、恐怖を感じる程度の電気ショックを加え、記憶を調べた。その結果、細胞新生が少ないと恐怖の記憶が海馬にとどまり、細胞新生が盛んだと、移りやすいことがわかった。
 恐怖などの記憶がいつまでも海馬にとどまっていると、何かにつけて思い出しやすく、PTSDの症状が長引くと考えられる。
 井ノ口教授は「海馬の神経新生を活発にする薬剤を開発すればPTSDの治療に役立つ」と話している。(読売)

Thursday, November 12, 2009

後席ベルト着用率は一般道で3割

昨年6月に着用が義務付けられた乗用車の後部座席シートベルトの着用率が、違反しても行政処分が科されない一般道で3割強にとどまっていることが12日、警察庁と日本自動車連盟(JAF)の全国調査で分かった。 JAFの担当者は「義務化を知らない人がまだかなりおり、処分がないことも着用率伸び悩みの原因になっているのでは」と推測。警察庁によると、事故の際、後部座席同乗者の致死率は未着用者が着用者の3倍に達しているといい、ベルトの有効性をアピールしていくとしている。
 調査は一般道779カ所、高速道104カ所で10月1~14日に約35万台を対象に実施。
 後部座席の着用率は、違反時に運転者に行政処分1点が科される高速道が63・4%(前年比0・9ポイント増)、一般道は33・5%(同2・7ポイント増)にとどまった。
 着用率は昨年の調査で、義務化に伴い一般道で前年比22ポイント、高速道で同49ポイント跳ね上がったが、その後伸びが止まった形だ。
 一方、運転席と助手席の着用率は一般道、高速道とも90%を超えた。(共同)

Tuesday, November 10, 2009

沿岸の藻場が大量のCO2吸収

日本沿岸にも広く存在する藻場やマングローブ林などの沿岸の生態系は毎年、日本の年間排出量を上回る二酸化炭素(CO2)を吸収するなど地球温暖化防止に大きな役割を果たしているとの調査報告書を国連環境計画などが10日までにまとめた。藻場やマングローブ林によるCO2吸収量やその変化を地球規模で評価した研究は少ない。
 一方で報告書は「これらの沿岸の生態系は、開発による破壊が深刻で、20年後には大部分が消失する恐れがある」とも指摘。「漁業などにとっても重要な藻場やマングローブ林の破壊を止めることが、有力な温暖化対策になる」として、藻場などが吸収したCO2を「排出枠」として国際的な排出量取引市場で売ることができる仕組みを作り、各国の保全の取り組みを進めるよう提案した。
 スペインや英国などの研究者の協力でまとめた報告書によると、人工衛星の画像などを基に沿岸の生態系の影響を分析。現在、世界で藻場やマングローブ、干潟の植物が自生する場所は海の面積の1%に満たないが、光合成は非常に盛んで、毎年、世界全体のCO2排出量の約6%に当たる16億5千万トンのCO2を吸収。蓄積量は海底部分全体の70%超に上った。(共同)

Monday, November 09, 2009

レジオネラ菌に集団感染

岐阜県は4日、高山市西之一色町の「高山グリーンホテル」の入浴施設を利用した愛知県や横浜市など50~70歳代の男女5人が、レジオネラ症を発症したと発表した。5人は肺炎で入院中だが、全員快方に向かっている。県は同日、安全確認ができるまでの間、入浴施設の循環浄化システムの使用停止と衛生管理の徹底などを文書で指導した。レジオネラ菌による集団感染は県内で初めて。
 県によると、5人は9月30日~10月16日、同ホテルの入浴施設を利用し、10月19日~11月2日に肺炎の症状を訴えた。県が10月20日、入浴施設を検査したところ、女性用からレジオネラ菌を検出。5人のうち、横浜市の60歳代女性の菌を遺伝子検査した結果、入浴施設の菌と一致したため、同ホテルを原因施設と断定した。
 入浴施設は温泉を循環浄化し再利用するシステムで、菌の検出後、循環浄化の使用を休止。水道水の掛け流しに変更し、一部を再開した。同ホテルの新谷尚樹社長は「お客様に申し訳なく、深くおわび申し上げます。今後、安全が確認でき次第、入浴施設を温泉に切り替えたい」と話している。(読売) レジオネラ症は、レジオネラ属菌を含んだエアロゾル(霧状になった水しぶき)を吸入することにより起こる気道感染症です。肺炎を中心とするレジオネラ肺炎と、肺炎にならない自然治癒型のポンティアック熱の2つの病型があります。

Saturday, November 07, 2009

闘病が作家への転機

病気とは10年余のつきあいになる。その間の闘病が、仕事人間だった企業の女性総合職を、作家に変えるきっかけを作った。
 2003年に文学界新人賞に選ばれデビューしてから、04年に川端賞、06年には「沖で待つ」で芥川賞受賞と、順調に作家としての地歩を固めてきた。しかし、元々「なりたいと思ったことは一度もなかった」という。初めて書きたくなったのは、会社を休み、入院した時だ。1999年夏からの5か月間。前に好きだった人のこと、会社で出会ったおもしろい先輩のこと、思いつくまま書きつづった。
 「あの入院は私の小説のふるさとみたいなもの。出発点と言ってもいいでしょう」
 発症は98年夏。住宅設備機器メーカーの営業として、群馬県高崎市で勤務していたころだ。自然に恵まれた環境と温かい人々に囲まれ、満たされた毎日。なのに、なぜか仕事ができなくなった。
 「会社を出て、お客さんの事務所に着いても、どうしても車から降りられない。公園で時間をつぶし、『なぜできないのか』と落ち込みました」
 そんなことを3週間繰り返した末、うつ病と診断された。休職し、自宅療養を始めてしばらくすると、今度は気分が落ち着かない。実は、躁うつ病(双極性障害)とわかった。(読売)

「やせる」食品とろろ昆布

うどんやお吸い物などに入れて食べる「とろろ昆布」が売れ、メーカーに注文が殺到している。テレビ番組で「とろろ昆布ダイエット」が紹介された直後から、買い求める客が相次いでいるためだという。昨年は「朝バナナダイエット」がブームになった。食品ダイエットの効き目のほどは――。
 「とろろ昆布」ブームに火をつけたのは、先月13日に放送されたテレビ番組だった。女性タレントが、とろろ昆布を直接食べたり、おかずにかけて食べたりするダイエット法に挑み、減量に成功した事例が紹介されると、放送翌日から、スーパーでとろろ昆布が飛ぶように売れる事態となった。
 首都圏の大手スーパーの担当者は「放送から数日間、急激に売り上げが伸び、通常の倍以上を仕入れた」。東京都内の別のスーパーも「一時は複数の店舗で在庫がなくなった」という。
 ブームは一時よりも落ち着いたが、メーカーには今も注文が相次いでいる。海藻食品大手の担当者は「売り上げは放送前の6~7倍に上るペース」と話す。別の海藻食品メーカーも「これまで関西以外ではほとんど売れなかったのに、突然、東京などから大量の注文が来るようになり、生産が間に合わない」と悲鳴を上げる。
 とろろ昆布には、どのようなダイエット効果があるのか。今年7月、「とろろ昆布ダイエットバイブル」を出版した矢沢一良・東京海洋大教授(機能食品学)は、「昆布の食物繊維が小腸で脂質などを包み込み、体に吸収されないまま脂質を外へ排出する」と説明する。ただ、「長期的に適量を食べれば効果があると確信しているが、一時的に大量に食べてやせるというのは想定していない」とも指摘する。
 過去、テレビや雑誌で「ダイエットに効果がある」などと紹介されてブームになった食品は、「にがり」「寒天」「白インゲン豆」「納豆」「バナナ」など数多い。だが、2006年の白インゲン豆では、十分に加熱せずに食べて下痢などを訴える人が相次いだほか、07年の「納豆」では、紹介した関西テレビの「発掘!あるある大事典2」が、ダイエット効果に関するデータを捏造していたことが発覚するなど、問題も起きている。
 高橋久仁子・群馬大教授(食物学)は、「最近では毎年のように食品ダイエットブームが起き、『またか』という感じだ。テレビ番組などの情報に飛びつき、特定の食べ物を万能薬のように食べるのは、健全ではない。これさえ食べていればやせるという食べ物などはない」と話している。(金杉康政)(読売)

Thursday, November 05, 2009

プロパンガスボンベの爆発

火炎で加熱されれば爆発しますね。理屈は焚き火にカセットコンロのガスボンベを入れたら、、、爆発します。
基本的には爆発しません。多少の火ならなんの変化もありませんが、長時間炎に曝されれば中の圧力が上がり安全弁から吹き出します。  吹き出したガスに引火(火炎放射器みたいに)なりますが、吹き出し速度が早すぎてボンベ内まで火は廻りません。また仰るとおりボンベ内には酸素が無いので引火しません。プロパンの爆発濃度は案外シビアで濃くても薄くても引火しません。
プロパンガスボンベは一般の高圧ガスボンベとは異なり薄板タンクです。ボンベ自体が異常に加熱されれば爆発する可能性も有ります、空気と混ざり合い云々とはまったく別次元のことです。(yahoo知恵袋ベストアンサーから)

Wednesday, November 04, 2009

尺骨突き上げ症候群

手首の関節は、親指側の橈骨(とう)、小指側の尺骨という2本の「前腕骨」と、手の甲の辺りに8個ある小さな骨「手根(しゅこん)骨」で構成されています。
 通常、尺骨と橈骨は同じぐらいの長さです。しかし、重労働や加齢、骨折などにより、尺骨が橈骨よりも長くなってしまうことがあります。これが、尺骨突き上げ症候群です。
 橈骨よりも尺骨が長くなると、小指側にある手根骨に当たってしまい、手を強く握ったり、重いものを持ったりすると、手首の小指側に痛みが生じます。
 手首の関節の小指側を押したり手首を外側に曲げたりして痛みがあれば、診断がつきます。また、エックス線撮影で橈骨と尺骨の長さの差を計測したり、磁気共鳴画像(MRI)や内視鏡で、尺骨が当たる骨や靭(じん)帯の状態を確認したりして診断することもあります。
 治療は、消炎鎮痛剤を服用したり湿布や軟こうなどの薬を使ったりします。また、サポーターや手首の関節を固定する装具を付け、手首を安静に保つことも大切です。
 それでも症状が良くならない場合は手術をします。長くなった尺骨を短く切って橈骨とほぼ同じ長さにし、金具で固定します。
 骨の形が変形している場合は、飛び出している尺骨を部分的に切除したり、橈骨と尺骨の間の関節を固定したりし、骨が飛び出ないようにする手術をします。
 一度、お近くの手の外科の専門医を受診することをお勧めします。
 坪川直人 新潟手の外科研究所所長(新潟市)(読売)

Sunday, November 01, 2009

創作の原動力は「不満」

童謡「ぞうさん」などの作詞で知られる詩人まど・みちおさんが来月十六日に百歳を迎える。アルツハイマー病を患いながら11月には新作詩集出版、今なお精力的に詩作に励む。一世紀生きて世の中から見えたこととは-。
 まどさんは入院先の談話室に車いすで現れた。節くれ立った指、ほおに刻まれたしわ。樹齢千年の巨木のような存在感がある。
 「私は算数がよくできないんですが、どうやらそのようでごさいます。今も詩とはいえないものをどうにか書いております」。長寿をたたえるとユーモアで歓迎された。
 詩作は二十代から始めた。この年まで続く精力的な詩作の原動力は「不満」だ。「遠くにも近くにも。政治家に、警察の人に、学校の先生に。金もうけ、いんちき。無学の私も言わずにおれない現状です。戦争もなくなりません」
 自身の矛盾にも向き合う。日々の食事にもそれを感じてきた。
 「とにかく野菜を食べます。肉は一切食べず、毎朝、タタミイワシをぱくぱく食べる。生き物を平気で食べて残酷なことをして『いかにも優しそうなこと言えるのか』と言われそうですね」
 百歳まで、どれくらいの生き物を自分の命の糧にしてきただろうか。
 「人間はどんなことも頭で考えられますが、生き物を殺さないで生きること、つまり同時に二つのことはできないのです。この年になってはっきり分かったことです」
 代表作「ぞうさん」は、子ゾウの母親ゾウへの思慕を表しているが、そこには子どもへのメッセージがある。
 「『鼻が長い』と言われればからかわれたと思うのが普通ですが、子ゾウは『お母さんだってそうよ』『お母さん大好き』と言える。素晴らしい。人の言うことに惑わされて自分の肝心な部分を見失ってしまうのは残念です。幼い子を見ていると一人として同じではない。うれしくなります。成長は時間がかかりますが、長い長い長い夜もぽっと明けることがありますよ」
 「世の中に生きるものはすべて、たった一つの存在です。そのものがそのものであるということ。それだけでありがたく、うれしく、尊いことです」
 この思いの蓄積から得た感慨も詩につづった。詩作は続く。手探りだが、敏感な感性は衰えず創作を支える。
 「生きていると必ず、毎日、新しく見つけるものがあります。人まねをしないのはもちろん、過去の自分のまねをしていないかいつも確かめながら、飽かずに書き続けていきたいです」(東京)

ギョーザ中毒事件で中間報告要求

中国製ギョーザ中毒事件をめぐり岡田克也外相が、中国での毒物混入を認めた「中間報告」を早急に行うよう中国側に求めていたことが分かった。複数の日中外交筋が31日、明らかにした。
 発生後2年近くたっても真相解明が進まないことから「少なくとも混入したのは中国と特定するなど現状を打開する必要がある」と判断した。「対中関係重視の政権だからこそ真相解明を要求できる」(政府高官)との期待もあり、来年に予定する鳩山由紀夫首相訪中までに報告を得たい考えだ。
 日中外交筋によると、岡田氏は9月28日に上海で行われた外相会談で、中国で発生した同じ製造元のギョーザによる中毒事件を挙げながら「中国で混入された可能性が極めて高い」と指摘し、混入場所特定を要求した。中国の楊潔チ外相は「国際的な犯罪であり場所特定は困難」と答えたが、岡田氏は早急な対応を迫った。
 10月10日に行われた日中首脳会談でも、鳩山首相が「中国側で混入した」との見方を示し、特定するよう促した。ただ温家宝首相は、会談前に捜査当局の最高幹部を呼んで報告を受けたと説明するにとどめた。(共同)