尺骨突き上げ症候群
手首の関節は、親指側の橈骨(とう)、小指側の尺骨という2本の「前腕骨」と、手の甲の辺りに8個ある小さな骨「手根(しゅこん)骨」で構成されています。
通常、尺骨と橈骨は同じぐらいの長さです。しかし、重労働や加齢、骨折などにより、尺骨が橈骨よりも長くなってしまうことがあります。これが、尺骨突き上げ症候群です。
橈骨よりも尺骨が長くなると、小指側にある手根骨に当たってしまい、手を強く握ったり、重いものを持ったりすると、手首の小指側に痛みが生じます。
手首の関節の小指側を押したり手首を外側に曲げたりして痛みがあれば、診断がつきます。また、エックス線撮影で橈骨と尺骨の長さの差を計測したり、磁気共鳴画像(MRI)や内視鏡で、尺骨が当たる骨や靭(じん)帯の状態を確認したりして診断することもあります。
治療は、消炎鎮痛剤を服用したり湿布や軟こうなどの薬を使ったりします。また、サポーターや手首の関節を固定する装具を付け、手首を安静に保つことも大切です。
それでも症状が良くならない場合は手術をします。長くなった尺骨を短く切って橈骨とほぼ同じ長さにし、金具で固定します。
骨の形が変形している場合は、飛び出している尺骨を部分的に切除したり、橈骨と尺骨の間の関節を固定したりし、骨が飛び出ないようにする手術をします。
一度、お近くの手の外科の専門医を受診することをお勧めします。
坪川直人 新潟手の外科研究所所長(新潟市)(読売) Tweet

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