Tuesday, November 30, 2010

医療の力を過信しない

肺結核による死亡者が減ったのは、ツベルクリンやBCG、抗生物質の発見、投与のおかげと考えられていますね。ところが、予防接種や抗生物質の投与が始まった時期は、もう結核死亡率が下限になった時でした。つまり、予防接種や特効薬が結核の死亡者を減らしたわけではない。これは驚きでした。結核が減ったのは、経済的に豊かになって栄養状態が良くなったことが要因だったのです。
 風邪にしても、普通に生活していれば、あわてることはないんじゃないかと僕は考えます。マスクは風邪の予防に役立たないと聞いていますし、僕は使ったことがない。医学のおかげで何かの病気が制圧されたという説は、かなり疑ったほうがいいのではないかと思いますね。近藤誠先生(慶応大学講師)の本で勉強させてもらったことです。
 一般に考えられているほどには、大きな役割は果たしてこなかったのではないかと思います。栄養のあるものを食べることができて、お風呂に入ることもできる、つまり清潔で規則正しい生活をできるようになったことが、長寿の決定的な要因ではないでしょうか。
 現代医療では、脳疾患、心疾患、がん、この3つ以外はほとんど駆逐できたわけです、例外はありますけど。この3つは明らかに、年をとればとるほど累増的に増えていきます。病気というよりはライフサイクル、老化です。老化を食い止めることはできないわけですから、制圧は難しい。
 痛い時と苦しい時です。僕は痔で苦しみましたが、治療を受けて本当に助かった。何年も、まともに座れませんでしたから。妻は胆石症で苦しみましたが、1週間くらいで完璧に治してもらいました。
 しかし、検査をやめてから、この12年間は病院にはまったく行っていません。気にもなりません。妻もまったく行っていません。実際にやってみれば、こういう生き方が一番楽だとわかります。年齢にもよるでしょうが、痛い、辛いという症状が出てから対応すればいいのではないでしょうか。なんの症状もないのに、検査で異常をひっかけるようなことは問題です。もっとも、50歳の時は僕もなかなかそういう考えにはならなかった。このような考えに至ったのは、還暦を過ぎてからでした。(著書「人間ドックが『病気』を生むの渡辺利夫さんインタビューから」(読売)

Sunday, November 28, 2010

「ヘビ怖がるのは本能」京大発表

「人がヘビを怖がるのは本能」とする研究結果を京都大学の正高信男教授らが発表した。
 ヘビによる恐怖体験がない3歳児でも、大人と同じようにヘビに敏感に反応し攻撃姿勢を見分けられることを示した。
 研究チームは3歳児20人を対象に、「8枚の花と1枚のヘビ」の写真からヘビを選ぶ場合と、「8枚のヘビと1枚の花」の写真から花を選ぶ場合で、反応する速さを比較した。ヘビを選ぶ時間は花を選ぶののほぼ半分の2・5~3秒だった。ヘビの中でも、とぐろを巻いて攻撃姿勢を取る写真への反応時間が短かった。
 4歳児34人、大人20人の実験でも同じ傾向が示され年齢による変化はなかった。ムカデやゴムホースの写真を使った場合、花との違いがなく、細長いものや気持ち悪いものに反応しているわけではないという。
 世界中でヘビを恐れない文化はなく、本能なのか学習なのかの論争が19世紀から続いてきた。正高教授は「経験で恐怖感が身につくのなら年齢によって反応が変わるはず。今回の結果はヘビへの恐怖が本能であることを示す」と話している。(読売)

Saturday, November 27, 2010

コレステロールは食事と運動が大事な要素

コレステロールは、細胞膜やホルモンなどの材料になる重要な物質です。主に肝臓で作られ、たんぱく質などと結合した「リポたんぱく」という状態で血液中に溶け込んでいます。
 LDLというリポたんぱくの状態で全身に運ばれているのがLDLコレステロール(以下、LDL)、HDLというリポたんぱくで全身から肝臓に回収されるのがHDLコレステロール(同HDL)です。リポたんぱくはほかにも数種類あり、すべてを含めたのが総コレステロールです。
LDLは動脈の血管壁に入って酸化し、それらを炎症細胞が取り込みます。その結果、炎症が進んで血管壁が膨らみ、血管が細くなります。これが動脈硬化です。心臓に酸素を送る冠動脈が動脈硬化を起こすと、心筋梗塞になります。
 また、血管壁にたまったコレステロールは、HDLとして回収されます。このためLDLは「悪玉」、HDLは「善玉」コレステロールと呼ばれるのです。
 一方、脳卒中については、LDLによる影響はあまりないとされています。
脂質異常症(高脂血症)の診断基準は、LDL140以上(単位ミリ・グラム/デシ・リットル)か、HDL40未満(同)です。ただ、この基準値から外れた途端に心筋梗塞の危険性が高まるわけではない。だからLDLが基準値を上回っても、直ちに薬を飲む必要はありません。
 最近では、LDLやHDL以外のコレステロールも心筋梗塞の発症とかかわっていると考えられ、実は総コレステロールの数値も重要なのです。
日本脂質栄養学会は9月、「コレステロール(LDL)は高めが長生き」との指針を公表しました。
 この指針は、がんなどすべての病気を含めた「総死亡率」で分析しており、確かにコレステロールが高めだと長生きに見えます。しかし、コレステロールが低くて死亡した人たちの中には、もともとがんなどの病気や栄養不良の人たちが多かったとも考えられます。
 LDLが上がると心筋梗塞になる危険性が高まる人もおり、一概に下げなくていいとは言えません。
 ただ、心筋梗塞は、性別や年齢、血圧、血糖値、喫煙とも関係が深い。コレステロールを下げる薬を飲んでも、高血圧や高血糖までは改善できません。まずは、バランスのいい食事と適度な運動が最も大切です。新潟大医学部田辺直仁准教授の話(利根川昌紀)(読売)

Tuesday, November 23, 2010

東大病院で多剤耐性緑膿菌院内感染か?

東京大病院(東京都文京区)は22日、9月下旬から11月中旬にかけ、入院中の患者10人から多剤耐性緑膿菌を検出、うち5人が死亡したと発表した。この中の3人から検出された菌の遺伝子が類似しており、院内感染とみている。
 患者はいずれも血液悪性腫瘍の治療をしており、死亡した5人は抗がん剤の投与により免疫力が落ちていたが、病院は、感染が原因で死亡した可能性は低いとみている。
 病院によると、死亡したのは40~70代の男性3人と女性2人で、9月下旬に1人、10月中旬に2人、11月上旬と中旬に各1人。(山陽)

Monday, November 22, 2010

たばこ、メントールの使用規制を

喫煙による健康被害の低減を目指す世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約の第4回締約国会議が20日まで、南米ウルグアイのプンタデルエステで開かれ、メントールなどの「添加物」の使用を禁止・制限するよう各国に規制強化を促すガイドラインを全会一致で採択、閉幕した。
 添加物の規制は今回初めて議論。法的拘束力はなく各国が取り組むべき施策を提示しただけだが、日本は同条約事務局予算の最大拠出国だけに、今後、積極的な対策が求められそうだ。
 添加物によって嗜好性をより高めることで、健康被害を一層拡大させる可能性があり、会議筋によると、たばこを巻く紙に着色するインクや顔料、甘味成分なども規制対象になった。禁煙教育の推進や、たばこ需要減少に向けた施策の強化でも一致した。
 煙が出ない電子たばこも議題になったが、たばこの葉を使わない製品を規制対象とするか疑問視する声もあり、2012年後半に韓国で開かれる次回締約国会議に議論が持ち越された。(共同)

Wednesday, November 17, 2010

料理写真でカロリー計算

NTTコミュニケーションズなどは、食卓に並んだ料理の写真を同社のサーバーに送信すると、自動的にカロリーを計算するシステムを開発した。
 携帯電話の全地球測位システム(GPS)を使って、移動距離から消費カロリーを算出する仕組みなどと組み合わせ、健康増進サービスとして来年1月から実証実験に入り、商用化を目指す。
 自動計算のシステムは、携帯電話やデジタルカメラで撮影した写真の色合いなどから、食べ物と食べ物以外を検出する。さらに、ご飯やおかずなど食べ物の種別を判別しながら、データベースに登録された写真からよく似ている食べ物を探し出し、推定カロリー値を算出する仕組みだ。利用者が疑問を感じた場合には、修正を加えることもできる。
 食事の摂取カロリーや運動量を記録できる健康増進サービスは携帯電話会社などが提供しているが、利用者自らが推定カロリー値を入力するか、食べ物の名前から検索するなどの作業が必要だった。
 実証実験は来年3月まで行う予定で、スマートフォンを利用している1万人程度を募集する。(読売)

Sunday, November 14, 2010

「ラニーニャ」は、この冬を寒くする?

今夏の記録的な猛暑の一因にもなった「ラニーニャ現象」が今も続き、気象庁は、今冬の気温について「暖冬傾向だったここ10年と比べれば、寒さは厳しく、雪も多くなる」と予測する。
 ラニーニャ現象は、ペルー沖の太平洋赤道域で冷たい海水がわき上がり、表面の温かい海水が西部に寄せられる現象。インドネシア上空の活発な対流活動などによって北側を流れる偏西風(亜熱帯ジェット気流)を蛇行させる。そのため、日本に大陸からの寒気が入りやすくなり、気温が低くなる。夏は太平洋高気圧の勢力を高めるよう作用する。
 気象庁気候情報課の前田修平予報官によると、ラニーニャが観測された2005~06年は大寒波に見舞われた。しかし、ラニーニャでも暖冬になる年もある。
 前田予報官は「北極周辺では、寒気が蓄積と放出を繰り返す北極振動が起こることがある。北極に寒気が蓄積されれば、寒波そのものが弱く、日本は暖冬になる。1988~89年が暖冬だったのはそのため」と語る。
 今年は北極振動は観測されていないが、東京大学の山形俊男教授(気候力学)は「猛暑の影響で、日本周辺の海水温が高い。時折寒い日があっても冬全体の平均気温はそれほど低くならない」と気象庁の予測と割れる。ただ、「日本海側や北日本で雪が多くなる」とみる。(読売)

Friday, November 12, 2010

ご飯1日3杯の女性、糖尿病リスク1.5倍

1日にごはんを3杯以上食べる日本人女性は糖尿病の発症率が高いことが、国立がん研究センターなどによる6万人規模の追跡調査でわかった。
 12日、発表した。
 炭水化物を多量に摂取すると発症率が高まることは知られているが、米食と糖尿病との関連を大規模に調べたのは初めて。
 岩手や長野、茨城、沖縄など8県在住の45~74歳の男女約6万人を対象に、1990年代初めから5年間にわたり追跡調査した。このうち1103人(男性625人、女性478人)が糖尿病になった。
 米飯の摂取量との関連を調べたところ、女性の場合、1日に茶わん3杯を食べるグループは、糖尿病の発症率が1杯のグループに比べて1・48倍に、4杯以上だと1・65倍になっていた。ただ、肉体労働やスポーツを1日1時間以上行うグループは、摂取量と発症率に目立った関連はなかった。
 男性の場合、女性に比べて摂取量との関連は小さいが、運動しない人の発症率は高まる傾向にあった。
 米を多くとる女性の生活習慣などが糖尿病を引き起こしている可能性もあり、今回の調査からは、米が糖尿病の原因になっているとは断定できない。データを解析した国立国際医療研究センターのチームは「米飯を含む食習慣全体をバランスよくすることが大切だ」と勧めている。(読売)

Thursday, November 11, 2010

セカンドライフ身辺整理を!(上)本人編

自ら身辺の物を“ダイエット”する生前整理と、遺族による遺品整理のポイントを2回に分け紹介する。 「整理収納セラピー」(KKロングセラーズ)の著書もある古堅さんは整理収納・掃除のプロ。一年に一回使うか迷う物は「使わない物」に仕分ける。 「使える・使えない」で分けると、贈答品など「いつか使う」と、押し入れなどにしまい込みがちで、減量にならない。 遺族が遺品整理する際、捨てる判断に迷う物が家族写真やビデオなど。 石見さんは「荷物を整理して、片付いた部屋で生活するということは多分、気持ちの整理もできているから、生活にメリハリが出てくる」と生活全体への効果を指摘する。 前出の古堅さんも「『定年したら始める生前整理』と言っている。(東京)

Wednesday, November 10, 2010

肥満防止でマックのおまけ禁止

米メディアによると、米サンフランシスコ市の議会は9日、マクドナルドなどのファストフード店が高カロリーの子ども向けセットメニューにおもちゃのおまけを付けることを禁じる条例案を賛成多数で可決した。
 深刻化している子どもの肥満を減らすのが目的。計600キロカロリーを超えたり、カロリーの35%を脂肪分で占めたりするメニューにおもちゃを付けて販売することは、来年12月から禁じられることになる。
 米国では、子どもの3人に1人が肥満か太り気味とされる深刻な事態。ファストフードの消費増が一因と考えられ、セットメニューに付くおもちゃが子どもを高カロリー食に引きつけると指摘されていた。
 米マクドナルドの広報担当者はCNNに対し「消費者が望んでいるものではなく、この可決は非常に残念だ」とコメントしている。(共同)

Wednesday, November 03, 2010

沈黙の病気,歯周病

成人の約8割がかかっている歯周病。「歯を失う原因の約半数を占める生活習慣病。重症になるまで気付かない人が多い『沈黙の病気』で、さまざまな全身疾患も進行させる」と、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の高柴正悟教授(歯周病態学)は注意を呼び掛ける。
 歯周病は細菌感染によって、歯を支える歯周組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨)が破壊される疾患。歯肉の範囲に限られる歯肉炎と、歯周組織全体に及ぶ歯周炎に分類される。
 500〜700種類に上る口内細菌のうち、代表的な歯周病細菌はジンジバリス菌など十数種類。その固まりである歯(し)垢(こう)(プラーク)が、歯と歯肉の間の歯肉溝にたまり、1週間以内に起こすのが歯肉炎。はれて赤くなり、血や膿(うみ)が出る。さらに歯周炎になると、歯と骨の結合が破壊され、歯を失う。
 歯周病の大きな問題は、全身に悪影響を及ぼす点。「放置すれば誤嚥(ごえん)性肺炎、糖尿病、心筋梗塞(こうそく)や、早産、低体重児出産などを招く可能性が高まる」
 治療は感染源の除去、炎症の制御、歯周組織の形態改善が柱。まず歯磨き法を改善しながら、スケーラーという器具を使い、歯垢が石灰化した歯石を取り除く。歯肉溝が深くなった歯周ポケットがあると、痛みがないよう局所麻酔をして歯石を除去し、抗菌剤などを注入する。
 歯周組織の形態を改善する外科処置では、骨充(じゅう)填(てん)法が有効。局所麻酔をかけ、歯肉にメスを入れはがす。続いて歯槽骨の欠損部に、同骨から削った骨を詰め、歯肉を戻し縫合する。手術は約2時間。3カ月から1年かけ、歯槽骨の再生を促す。
 岡山大学病院(岡山市北区鹿田町)では、類似手術として、本人から採取した多血小板血漿(けっしょう)などを用い、歯槽骨や歯根膜を再生させる先進的な医療の研究も重ねている。
 診断は、歯周組織検査とレントゲン検査などから下すが、高柴教授らが開発した検査キットによる簡便な検査法もある。指先に針を刺して血液を1滴ほど採り、細菌感染によって産生される血中の抗体量から、感染の度合いや歯周病のタイプを調べる。
 予防法は磨き残しをなくすことだが「細菌と免疫のバランスが崩れると発症し、未成年でも重症化する。自覚症状がなくても年1回、誕生月には歯科を受診して検査を」と語る。(山陽)

Monday, November 01, 2010

ダウン症相談、心の支えに

石川県を中心とした北陸三県のダウン症の子どもを持つ親や専門家が、ホームページ(HP)上で相談を受ける「ダウン症聞くまっしシステム」が、活動7周年を迎えた。
 これまでの総アクセス数は20万件を超え、相談件数は約150件に上った。
 ダウン症聞くまっしシステムは、HP上でダウン症や知的障害に関する相談事業や情報提供を行っている。2002年1月、ダウン症の子を持つ親や小児科医、看護師のほか、栄養士や大学教授といった医療、教育の専門家らが委員会を組織し、03年1月からHPの企画、運営を始めた。電話、ファクス、電子メールで相談を受けている。
 委員会の中西武男代表(56)によると、子育てや医療情報、教育施設に関する質問が多い。
 東北地方の男性からは「生まれた子どもがダウン症だと告知されたが、どのように育てたらいいか」という質問があった。その時は、関節を柔らかくする「赤ちゃん体操」を勧め、筋力低下防止のアドバイスをした。また、「親類のダウン症の子どもと、どう接したらいいか」という女性からの相談に対し、「変に気を遣わず、普通に接してほしい」と答えた。国内にとどまらず、欧州や中国、台湾などからも相談が寄せられるという。
 HP上には「感染症の心配は」「母乳は与えてもいいのか」「知的障害に対する手当てはあるか」といったダウン症に関する主なQ&Aのほか、保育所や児童福祉施設の紹介、医療費助成に関する情報も掲載。相談内容に応じて専門家が回答する。中西代表は「話すだけでも、不安がとれることがある。悩まずに相談してもらえれば」と話している。(読売)