Monday, May 31, 2010

お化けを見つける脳

「この部屋には霊がいる!」。お化けを信じている自称『霊能者』の友人は、一緒に旅館に泊まると、決まってこう大騒ぎします。
 「お化けが存在する証拠」と彼女が見せる写真の背景には、何もないはずの空間なのに、確かに悲しげな顔のようなものが…。
 でも、このように壁や影の濃淡模様が人の顔に見えるのは、人間の脳に特有な働きのせいだとも考えられるそうです。脳が人の顔を認識する仕組みを研究している、生理学研究所(愛知県岡崎市)の柿木隆介教授に伺いました。
 「壁や天井、柱の模様が人の顔に見え、そこばかり気になることはありませんか? これは、顔のようなものを見ると脳の働きが高まるからです」と柿木教授。同じ模様でも、顔のようだと思って見るときと、ただの模様と思って見るときでは、脳の働きが違うそうです。
 たとえば、コンピューター画面上を左右に往復する二つの点を見ているとき、人間の脳では「動き情報」を専門に処理する「第五次視覚野」が働きます。動きや色、線などの情報は、それぞれ脳の各部分が分担して処理するのです。
 ところが、この動く二点に、二点を囲む円(顔の輪郭)や直線(口)を加えると、点の動きは変わらないのに、格段に第五次視覚野の働きが強まります。脳は顔のような情報を見つけると、一生懸命に働き始めるのです。
 「人間が助け合って生きていく上で、互いの顔に注意することはとても大切。そのため、脳には顔を見つけて注意を払う仕組みが備わっているのでしょう」と柿木教授。こんな脳の仕組みが、集合写真の背景や壁の模様に『顔』を生み出してしまうわけです。
 よく、「自分の目で見たものしか信じない」と言う人がいますが、実は、人間の脳は目から届く情報を都合よく取捨選択し、「見たいもの」や「見る必要があるもの」を求めて働くのです。(東京)

Sunday, May 30, 2010

ハンセン病、長い潜伏期後に発症

ハンセン病は乳幼児期に感染して長い潜伏期の後に発症することを、国立感染症研究所ハンセン病研究センターの鈴木幸一室長らがチンパンジーで突き止め、鹿児島市で開かれた日本ハンセン病学会で29日、発表した。
 このチンパンジーは三和化学研究所チンパンジー・サンクチュアリ・宇土(熊本県宇城市)で暮らす推定32歳(人間の50歳相当)の雌「ハルナ」。アフリカ西部のシエラレオネ生まれで1980年に日本に輸入され、肝炎研究の実験に使われた。2000年に実験から解放され、余生を送っている。
 昨年1月に顔が腫れてぶつぶつした結節ができ、ハンセン病の症状と疑った同サンクチュアリの獣医師、鵜殿俊史さんが皮膚を採取して同研究センターに検査を依頼し、ハンセン病と確認した。
 鈴木室長らは病原菌のDNAを分析し、アフリカ西部で人間から分離されている菌と同一と判明した。同時期に輸入されたチンパンジーや、同じケージで飼われた個体に感染はなく、研究グループは「ハルナはアフリカ西部で感染し、30年近い潜伏期を経て発症した」と結論づけた。
 ハルナは昨年6月から1年間、治療薬をジュースに混ぜて投与され、完治した。(山陽)

Saturday, May 29, 2010

生物多様性の新目標案

ナイロビで開催中の生物多様性条約の会合最終日の28日、参加各国が大筋でまとめた2020年までの多様性保全の新たな国際目標案が判明した。10月の名古屋市での同条約第10回締約国会議(COP10)で採択することになっており、今回がCOP10前の最後の協議機会だったが、数値目標など一部は意見の隔たりが大きく、数値の絞り込みをめぐりCOP10で激しい交渉になりそうだ。
 新目標案は5分野、計20の個別目標で構成。保護区に組み入れる面積の割合は、陸域と、湖沼などの陸水域には15%と20%の選択肢を挙げ、海洋保護区では数値の選択肢は示せなかった。
 生息地の損失や劣化などのペースを抑える目標は「少なくとも半減する」「ゼロに近づける」との2案を示した。「魚の乱獲がなくなり破壊的漁業が根絶される」などとの文言を検討していた海洋保全の項目もまとまらず、COP10で大きな論点になるとの観測が出ている。(山陽)

Friday, May 28, 2010

皮膚から肝臓幹細胞、がん研世界初

人の皮膚や胃から採取した細胞に3種類の遺伝子を入れて、肝臓の幹細胞を作り出すことに、国立がん研究センターの石川哲也室長らが世界で初めて成功した。
 体外で大量に増やすことが可能で、肝炎ウイルスの研究や、患者一人ひとりの体質に応じた薬の開発など幅広い応用が期待できる。6月に東京で開催される研究会で発表する。
 肝臓の細胞には、様々な物質の代謝や解毒、酵素の合成など多彩な働きがあるが、体外で培養してもほとんど増えず死んでしまう。そのため、幹細胞の段階で増殖させ、成熟した肝臓の細胞に育てる技術が求められていた。
 石川さんらは皮膚や胃の細胞に、ウイルスを使って遺伝子を導入し培養。3週間後、アルブミンなど肝臓特有の様々なたんぱく質を合成する幹細胞ができた。
 150日以上培養し、いったん凍結保存したものを解凍し、再び増やすことにも成功した。
 B型、C型肝炎などの治療薬の開発には、ウイルスを肝臓の細胞に感染させる実験が必要とされる。しかしこれらのウイルスは、人やチンパンジーにしか感染しないため研究が難しく、副作用の強い治療薬しかない。幹細胞から肝臓の細胞を大量に作れば、安全な新薬の開発に貢献する。
 また、肝臓には解毒作用があるため、薬の毒性検査にも役立つ。高脂血症薬の開発や、採取した細胞から作った肝臓幹細胞をもとに本人に合った薬を開発することも可能になりそうだ。
 ◆幹細胞=体を作る成熟した細胞になる能力を保ったまま、細胞分裂を繰り返す細胞。体内では、体の成長や組織を維持するため新しい細胞を供給する役割を持つ。(読売)

抗がん剤過剰投与で重体

九州大病院は27日、大分県別府市の同大病院別府先進医療センターに入院中の70代男性に抗がん剤を過剰に投与し、男性が意識不明の重体になったと発表した。

 男性は多臓器不全を併発しており、現在も治療中。久保千春病院長は記者会見で「ご家族の信頼を裏切り、深くおわび申し上げる」と謝罪した。主治医の40代の男性外科医は「思い違いで投与量を間違えてしまった」と話しているという。

 病院によると、男性は4月12日に食道がんの治療で入院、放射線治療と抗がん剤治療を受けた。治療2週目に、通常より多量の抗がん剤が誤って投与された。治療1週目にも多量の抗がん剤を投与されており、再び多量投与するには本来、4週間の間隔が必要だったという。(山陽)

Thursday, May 27, 2010

口蹄疫対策 種牛はなぜ殺される

人の役に立つべきいのちが、目の前で消えていく。宮崎県の畜産農家の苦悩は深い。四十九頭の種牛は、なぜ殺処分されるのか。もっとよく説明してほしい。もう二度と繰り返されないように。
 「あの子たちがかわいそうで…」。殺処分の進行を見守るしかない畜産農家の悲痛な声だ。「あの子」という言葉遣いに、手塩にかけた牛や豚への思いがこもる。
 口蹄疫(こうていえき)は、感染の速さが特徴だ。ウイルスの増殖を抑え、被害の拡大を防ぐには、増殖原の病獣を速やかに処分するしかない。理屈はわかる。だが、わかっていても、生産者の目に浮かぶ涙を見ると、心が痛む。
 「人のいのちを養うために、牛のいのちを育てる」のが、畜産農家の仕事という。大切ないのちを活(い)かしてやれない苦しみは、察するにあまりある。実務に当たる獣医師の嘆きも心に迫る。
 ましてや種牛は「宮崎の宝」である。人工授精と選抜を重ねつつ、一頭育てるのに七年かかる。“エース級”を育て上げるには数十年かかることもある。何代にもわたる営為と英知がこめられた“作品”ともいえるだろう。その上、肉牛とは違い、本来は永らえるべきいのちである。
 経済的側面からも、百年かけて営々と築いた「宮崎牛」ブランド消滅の危機に立ち、地元が助命を訴える気持ちも理解はできる。
 家畜伝染病予防法の規定に従えば、種牛も処分は免れない。
 しかし一方で、エース級六頭を“疎開”させたこと自体、超法規的措置ではなかったか。発生地から十キロ圏内の牛豚を感染の疑いありとみなし、全頭処分に決めたのも法の拡大解釈だった。また、疎開させた六頭のうち一頭が殺処分されたあと、残る五頭の経過観察を続けているのも例外的措置ではないか。二重基準に疑問を感じている人は少なくない。
 せめて、四十九頭の処分がなぜ必要なのか、何が例外にされるのか。政府は、農家だけでなく消費者に対しても、もっとわかりやすく、丁寧に、科学的知見を示して説明すべきではないか。
 そもそも宝である種牛に被害が及んだ最大の原因は、避難の遅れにほかならない。初動のまずさがここでも響いている。避難手段や隔離方法などの見直しは、事態収拾後の急務である。離島などに安全な避難先をあらかじめ整備しておく必要もあっただろう。三十万を超えるいのちが犠牲になる。その死をむだにしてはならない。(東京)

Tuesday, May 25, 2010

受動喫煙者の女性、血圧が2~3上昇

「受動喫煙にさらされる女性は、そうでない女性より血圧が高くなる」という世界初の調査結果を、東北大大学院薬学研究科の今井潤教授らの研究グループが国際高血圧学会誌に発表した。
 岩手県花巻市で1998年に調査した35歳以上の喫煙していない女性474人の血圧を解析した。男性は喫煙率が高いため除外した。
 朝、家庭で測定した最大血圧を調べたところ、家庭や職場などで受動喫煙がある人のグループは平均116・2~116・8で、受動喫煙のないグループの113・1に対し、3以上高かった。夜に家庭で測定した血圧も、受動喫煙グループの方が2~3程度高かった。受動喫煙に毎日さらされるグループほど血圧が高かった。最小血圧に差はなかった。
 今井教授は「家庭血圧は医療機関での測定より正確だ。国民全体の最大血圧が2下がれば、脳卒中による死亡が約9000人、心筋梗塞による死亡が約4000人減らせると言われる。早急に受動喫煙対策を講じる必要がある」と話している。
(読売)

Sunday, May 23, 2010

WHO、生体移植指針など採択

国連欧州本部で開かれていた世界保健機関(WHO)総会は21日夜の最終本会議で、生体移植の臓器提供者(ドナー)保護などを盛り込んだ指針、酒類の安売り規制などの検討を求める「アルコールの有害な使用を軽減するための世界戦略」などを承認する数十本の決議を採択して閉幕した。
 17日から始まった総会は、事務局長選挙に地域別の輪番制度を導入するかどうか、途上国による安価な医薬品入手と知的財産権の保護の関係などのテーマで、先進国と発展途上国が激突。委員会審議が連日、深夜や未明まで続く異例のマラソン総会となった。
 事務局長の輪番制度が導入されれば、日本などWHOの区割りで「西太平洋地域」に属する国が事務局長を出す可能性が数十年遠のく恐れもあったが、数回にわたる決議案採決の結果、導入案は退けられた。
 日本で注目された生体移植とアルコールに関する決議は大きな波乱もなく、ほぼ原案通り採択された。(山陽)

Friday, May 21, 2010

ぶつからない「電子つえ」開発

視覚障害者が周囲の障害物にぶつからないように、センサーで感知して知らせる「電子つえ」を岡安光博秋田県立大准教授(材料力学)が開発、20日、秋田市で開催中の全国盲人福祉大会でお披露目した。同大によると、顔の高さに突き出た障害物も感知できるつえは初めてという。
 従来のつえは、足元の障害物や目印を手探りで判別するが、顔の高さにある看板や自動車のサイドミラーなどの突起物に気付かず、ぶつかるケースも多かった。
 つえに超音波センサー2個を組み込み、前方約2メートル先の地面から顔の高さまでの障害物を感知、グリップなどが振動して知らせる仕組み。素材を工夫して、重さを従来のつえと同程度の約300グラムに抑えた。
 この日は、約130人の視覚障害者がつえを体験。学生らが付き添い障害物を置いた約20メートルのコースを歩き効果を確かめた。大分県竹田市の鍼灸師羽田野敏子さん(60)は「トラックの荷台から突き出た木材などにぶつかった経験があり、顔の高さまで感知できると助かる」と笑顔を見せた。(山陽)

Tuesday, May 18, 2010

久米島沿岸にサンゴ大群落 WWF、国内最大規模か

世界自然保護基金(WWF)ジャパンは18日、沖縄本島の西約100キロの久米島南東部沿岸に、サンゴの大群落が広がっているのを確認したと発表した。
 水深15~35メートルの海底に、少なくとも幅約200メートル、長さ約300メートルの範囲に分布しているという。
 南北約300メートル、東西約150メートルに分布する大規模なサンゴ群落として知られる沖縄県石垣市の白保のアオサンゴ群落に匹敵する規模で、環境省は、国内最大規模の可能性もあるとしている。
 WWFジャパンによると、沖縄のサンゴは、川から海に流れ出た赤土による汚染や、サンゴを食べるオニヒトデの発生などで、面積の減少が問題になっている。またこれまでは浅い部分が多かったが、今回は比較的深い場所で見つかった。
 調査に参加した琉球大の藤田喜久非常勤講師は「サンゴが減っていると言われる中で大規模な群落の発見は意義深い」と話している。(共同)

Monday, May 17, 2010

山梨の昭和大で新型インフル感染 80人余発症

山梨県は17日、富士吉田市の昭和大学富士吉田校舎で、1年生男女81人と職員1人に発熱などの症状があり、うち2人の新型インフルエンザ感染を確認したと発表した。
 県によると、いずれも軽症で入院患者はいない。5月12日から発熱やせきの症状がある学生が出たため、15日に詳細検査を実施。2人の感染を確認した。大学は発症した学生を1週間の出席停止にした。同校舎は1年生だけが使い、約600人全員が寮で暮らしている。
 山梨県に新型の集団感染の報告があったのは3月初旬が最後だった。県福祉保健部は「流行が沈静化しても、再流行の可能性もある」と注意を呼び掛けている。(山陽)

Sunday, May 16, 2010

生物の多様性損失は人類の危機

10月に名古屋で開催される生物多様性条約締約国会議に向けた専門家会合が10日、ケニア・ナイロビの国連環境計画(UNEP)本部で開幕し、条約事務局は生物多様性の現状を評価した報告書「地球規模生物多様性概況第3版」を正式に発表した。
 多くの絶滅危惧種で絶滅のリスクがさらに増え、生物多様性の損失が続いていると指摘、「効果的な対策を打たなければ人類の未来は危うい」と警告している。
 報告書は生息地の破壊などで、地球上の両生類の3分の1、鳥類の7分の1が、絶滅または絶滅の危機にあると指摘、地球全体の絶滅危惧種の状況は悪化したと評価した。
 元々いなかった生物種が在来の生物を脅かす外来種の問題も深刻化し、大量生産に向いた特定種の普及で、家畜や農作物の遺伝的多様性も失われたとしている。
 保護地域の指定範囲や、生物多様性を守るための政府開発援助(ODA)などは好転したと評価したが、8年前に定められた「2010年までに生物多様性の損失速度を著しく減少させる」との世界目標は達成できなかったと判断した。
 報告書は国際的な合意に基づいて、重要な生態系や種を保護する明確な目標が必要と指摘。
 アフメッド・ジョグラフ条約事務局長は「目標が達成できなかったのは、各国政府が生物多様性を最優先課題と認識していなかったことが原因。名古屋会議では実効性のある新しい目標づくりが重要になる」と日本のリーダーシップに期待を表明した。(読売)

Friday, May 14, 2010

WHO「酒の規制強化を」

世界保健機関(WHO)が、17~21日にジュネーブで開く総会で、酒の広告や販売などの規制強化を加盟国に促す声明を採択する見通しとなった。
 声明に法的な強制力はないが、海外に活路を求めている国内ビール業界は、事業拡大の妨げになりかねないと警戒感を強めている。
 声明は「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」との名称で採択される見込みだ。飲酒運転の厳罰化のほか、新聞・テレビなどの広告や野球場など公共施設での販売、極端な安売りなどに対する規制の強化が柱となる。約190の加盟国・地域に行動を求める。
 規制強化の動きが出てきたのは、加盟国で健康志向が強まっていることが大きな要因だ。新興国などの生活水準の向上で、未成年者の飲酒などが社会問題化する国や地域が増えているという事情もある。タイ政府は今年に入り、アルコール飲料のラベルに飲酒の害を訴える警告文などを表示することを義務付ける方針を打ち出した。
 ところが、欧米などの酒類メーカーは、需要拡大が期待できる国での規制強化に反発しており、新興国や発展途上国の規制当局と酒類メーカーが対立するケースも目立ち始めている。
 日本のビールメーカーも、少子高齢化で国内需要が頭打ちになる中、海外市場に活路を見いだそうとしているだけに、各社は「(事業の)リスク」(キリンホールディングスの三宅占二社長)と業績への悪影響を懸念し始めた。
 一方、「世界展開を試みる上で覚悟しなければならない問題」(アサヒビールの泉谷直木社長)との声も多く、業界では、規制が強化される前に自主的な規制を行うことを検討している。国内のビール大手で組織するビール酒造組合は2009年12月、テレビCMを放映しない時間帯を10年秋から広げることを決めており、自主規制をさらに強化する可能性もある。(読売)

Thursday, May 13, 2010

チベット人に高地適応の遺伝子

標高4千メートル前後の中国・チベット高原に住むチベット人が、酸素の薄い過酷な環境に適応する中で獲得したとみられる遺伝子の特徴を突き止めたと、中国青海大と米ユタ大の研究グループが14日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。
 低地に住む人は、標高が上がると体中に酸素を運ぶヘモグロビンの血中濃度を高めて高地に適応しようとするが、これとは逆に、チベット人の血中ヘモグロビン濃度は低いことで知られる。今回の特徴をさらに分析すれば、高山病などの治療に役立つ可能性があるという。
 研究グループは、青海省の標高4350メートル付近に住むチベット人31人の遺伝子を分析。世界の人々の体質にかかわる遺伝子の塩基配列のわずかな違いを網羅した「国際ハップマッププロジェクト」で得られていた中国人と日本人のデータと比較した。
 その結果、チベット人は「EGLN1」「PPARA」という二つの遺伝子に特徴があることが判明。研究グループは、これらの遺伝子がヘモグロビン濃度を低く抑えていると結論付けた。(山陽)

Wednesday, May 12, 2010

副作用報告の湿疹薬、15社が販売自主停止

厚生労働省は11日、武田薬品工業など15社が、湿疹や皮膚炎の治療薬「ブフェキサマク(一般名)」の販売を自主的に中止したと発表した。
 副作用として皮膚のかぶれが報告されていることや、欧州医薬品庁が4月、欧州全域に対して販売を取りやめるよう勧告したことを考慮した。
 ブフェキサマクはかぶれが全身に広がる副作用が過去3年で計12件報告されている。(読売)

Monday, May 10, 2010

毛髪の水銀濃度4倍以上

古式捕鯨発祥の地で、鯨類を食べる機会が多い和歌山県太地町の住民約千人を対象に、毛髪中のメチル水銀濃度を測定したところ、鯨類をほとんど食べないほかの14地域の平均値よりも男性で約4・5倍、女性で約4倍高かったと同町と国立水俣病総合研究センター(熊本県水俣市)が9日発表した。
 同センターによると、微量のメチル水銀は自然環境中にあり、食物連鎖により海洋哺乳動物などに濃縮されるという。
 センターは「水銀濃度と鯨類を食べることの関連性が示唆された。メチル水銀によるとみられる健康影響や中毒は認められなかったが、濃度が非常に高い住民もおり、継続調査が必要」としている。
 千人は太地町の人口の約3分の1に当たり、町はこれだけ大規模な調査は初めてとしている。
 昨年夏に住民の健康診断の一環として1017人に実施し、男性の平均値は11・0ppm、女性では6・63ppm。同センターが12道県の14地域で行った調査の平均値は、男性2・47ppm、女性1・64ppmだった。(山陽)

Sunday, May 09, 2010

認知症治療薬相次ぎ国内販売

製薬各社が2011年にも相次いでアルツハイマー型認知症の治療薬を国内で発売する。高齢化の進行に伴って同認知症患者の増加が予想され、治療薬の需要増が見込まれるためだ。国内では現在、エーザイの「アリセプト」しか販売されておらず、各社はアリセプトとは異なるタイプや張り薬型を発売してシェア獲得を目指す。
 第一三共は、アリセプトと作用の仕組みが違う「メマンチン」の販売承認を申請中。米ジョンソン・エンド・ジョンソングループのヤンセンファーマ(東京)は、物事の認知機能に重要な役割を果たす物質の分泌を促すという「ガランタミン」を発売する。武田薬品工業と共同で販売する。
 張り薬型の「リバスチグミン」を発売するのはノバルティスファーマ(東京)と小野薬品工業。背中などに張って使う。「認知症患者は薬を飲んだのを忘れてしまうことがあるが、張るタイプなら使用を確認できる」(ノバルティス)という。
 エーザイの推計では、アルツハイマー型認知症の患者は国内に約130万人いるとみられ、「増加の一途をたどるだろう」(同社関係者)と予測されている。(山陽)

Saturday, May 08, 2010

核なき世界の実現を

ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議で7日(日本時間8日)、広島市の秋葉忠利市長と長崎市の田上富久市長が演説。秋葉市長は「ともに核兵器を廃絶しよう」、田上市長も「わたしたち市民の願いはただ一つ、『核兵器のない世界』の実現だ」と訴えた。
 被爆者を代表して長崎市の谷口稜曄さん(81)も被爆体験を証言した。3人の演説の場は非政府組織(NGO)会合。各国のNGOメンバーらが核兵器禁止条約や非核地帯条約の必要性などについての意見を各国政府代表に訴え、再検討会議への提言をまとめる。
 冒頭で、対人地雷禁止条約(オタワ条約)を主導し、ノーベル平和賞を受賞した米国人ジョディ・ウィリアムズさんがスピーチした。
 広島、長崎両市をはじめ世界3880都市が加盟する平和市長会議(会長・秋葉市長)は、2020年までの核廃絶への道筋を示した「ヒロシマ・ナガサキ議定書」を、再検討会議で採択するよう求めている。(山陽)
 核兵器による被害:大きく4つに。
1.熱線、可視光:核爆発による、数百万度以上の超高温の火球から放射される熱線により、被害を与える。また火球から放射される閃光(可視光)は視力障害を引き起こす。2.爆風:火球の急速な膨張により、周囲の空気が圧縮され、衝撃波が発生する。これは、爆心地から、ほぼ同心円状にひろがり、被害を与える。その後、火球付近の圧力は低下し、周囲より低くなる。周囲からは、空気が流れ込み、衝撃波とは逆方向に強烈な風が吹き、建物などの被害を拡大する。 地上または地中で、核爆発が起きると、衝撃波により地中に建設された、司令部や兵器貯蔵施設なども破壊される。3.放射線:核爆発により放出される放射線は、アルファ線、ベーター線、中性子線などの高速粒子線と、ガンマ線などの電磁波で構成される。 この他、核分裂により発生する、セシウム137やストロンチウム90などの核分裂生成物、核分裂に利用されず、飛散した核物質、中性子照射により放射性物質に変化した破片など、「死の灰」と呼ばれる放射性降下物を大量に放出、周辺地域を長期に渡り汚染、放射線障害や癌の発生率も高くなる。 4.電磁パルス:核爆発により放出された電磁波により、数千ボルトの電磁パルスが発生。通信、送電、コンピュータ、レーダーなどの機能を一瞬で麻痺させる。特に成層圏で核爆発が発生した場合、影響は広範囲におよぶ。

Friday, May 07, 2010

幹細胞研究「行政が足かせ」意思決定5~10年

再生医療などに道を開く「幹細胞」の研究が、日本では行政主導の指針作りによって遅れたとする論文を京都大と理化学研究所のグループがまとめ、7日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表した。
 幹細胞研究は期待される一方で倫理面や安全面の課題も多く、文部科学省や厚生労働省などが、胚性幹細胞(ES細胞)の作製・使用、幹細胞を使った臨床研究など、分野ごとに倫理指針を定め、規制している。
 京大人文科学研究所の加藤和人准教授(生命倫理)らは、各指針の内容や制定過程を検証。規制の枠組み作りは政府の委員会や審議会での合意が基本で、決定に5~10年もかかっていた。
 省庁に専門家が少なく、担当職員が2、3年ごとに異動することも議論の遅れや規制内容の硬直化を招いていた。米国や西欧では科学者の組織が政策決定に重要な役割を果たしているのに比べ、研究者の組織や団体による調査・分析、政府への積極的提言がないことも問題だとしている。
 加藤さんは「規制のあり方を見直せば、さらに大きな成果を生み出せる」と話している。(読売)

Wednesday, May 05, 2010

うつ治療「薬物偏重」は7割

国内の患者数が100万人を超えたうつ病の治療について、読売新聞が3~4月、全国の精神科診療所にアンケート調査を行ったところ、7割が「日本のうつ病治療は薬物に偏っている」との認識を示した。
 多すぎる薬の服用による副作用や、薬だけでは治りにくい患者の増加など、近年指摘されている課題が反映された形だ。
 調査は日本精神神経科診療所協会加盟の1477施設に行い、119施設から回答を得た。日本のうつ病治療の多くは薬物治療中心だが、調査では、薬物偏重の傾向があると「強く思う」が19%、「ややそう思う」が54%と、7割が懸念を示した。
 最近増えたとされる軽症患者に行う最初の治療は、「薬物治療だとは思わない」が41%。優先すべき治療として、患者の話を聞いて問題解決を図る精神療法や、仕事を減らしたりする「環境調整」も多く挙がった。英国の診療指針では、軽症者の最初の治療は、カウンセリングなどを勧めている。
 一方、抗うつ薬を何種類も服用すると、無気力やイライラなどの副作用が強くなる恐れがあり、処方は1種類が基本。しかし、「患者の過半数に複数の抗うつ薬を処方している」との回答が14%に上った。
 大野裕・慶応大保健管理センター教授(精神科医)は「悲観的になりがちな患者の考え方や行動を変える認知行動療法など、治療の選択肢を増やすことが重要だ」と話す。(読売)