Friday, May 07, 2010

幹細胞研究「行政が足かせ」意思決定5~10年

再生医療などに道を開く「幹細胞」の研究が、日本では行政主導の指針作りによって遅れたとする論文を京都大と理化学研究所のグループがまとめ、7日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表した。
 幹細胞研究は期待される一方で倫理面や安全面の課題も多く、文部科学省や厚生労働省などが、胚性幹細胞(ES細胞)の作製・使用、幹細胞を使った臨床研究など、分野ごとに倫理指針を定め、規制している。
 京大人文科学研究所の加藤和人准教授(生命倫理)らは、各指針の内容や制定過程を検証。規制の枠組み作りは政府の委員会や審議会での合意が基本で、決定に5~10年もかかっていた。
 省庁に専門家が少なく、担当職員が2、3年ごとに異動することも議論の遅れや規制内容の硬直化を招いていた。米国や西欧では科学者の組織が政策決定に重要な役割を果たしているのに比べ、研究者の組織や団体による調査・分析、政府への積極的提言がないことも問題だとしている。
 加藤さんは「規制のあり方を見直せば、さらに大きな成果を生み出せる」と話している。(読売)

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