マスク装着法とマスクの効果
猛威を振るう新型インフルエンザ。七月以降のインフルエンザ累計患者数は一千万人を超えたが、ほとんどが新型とされる。感染を防ごうと、街中でもマスク姿が目立つが、マスクは正しく使わないと効果は望めない。 (服部利崇)
まずは意外に知られていない正しい装着法から。よく使われている不織布製のプリーツ型マスクを例に、東京都感染症対策課の石川貴敏医師から教わった。
装着前に必ず手を洗い、金具が入った方を上にしてマスクを広げる。マスクを鼻に当て、極力すき間ができないように金具の形を鼻に合わせる。指でマスクの上部を鼻に押し当て、下部をあごの下まで引き伸ばす。鼻と口を覆ったのを確認してから、鼻にマスクを押し当てたまま耳にひもをかける。マスクの側面にすき間ができやすいので注意しよう。
外す時はひもを持ち、ウイルスが付着した可能性のあるフィルター部分には触れない。捨てる時はウイルスが拡散しないよう、そっとごみ箱に入れる。一日一枚が目安だが、フィルターがぬれたら替える。せきをして、ウイルスを含んだ飛沫(ひまつ)が飛び出す恐れもあるからだ。捨てた後は手洗いかアルコール消毒を忘れずに。
マスクの効果を発揮させるには、顔の形に合ったサイズを選ぶことが重要。しかし、サイズの業界統一基準はない。S・M・Lや大人用、子ども用などと表示されていても、メーカーによって大きさが異なる場合がある。
日本衛生材料工業連合会のホームページには、適したマスクサイズを指で測る方法が紹介されている。選ぶ際の目安になるように、同会は会員企業に計測法のセンチ表示を勧めているが、表示があるのは全商品の2割に満たない。
そのため同会の藤田直哉専務理事は「無駄になるが2、3種類のマスクを購入してもらい、顔の形によりフィットするものを使ってほしい」と訴える。ただ、顔の形に合うサイズが見つかっても、感染を確実に予防することはできない。顔の形は各人異なり、市販のマスクを正しく着けても、どうしてもすき間ができてしまうからだ。
ウイルスの大きさは1ミリのわずか1万分の1、0.1マイクロメートルと微細。仮にマスクでシャットアウトするとすれば、フィルターをフィルム状にして、すき間をなくすしかない。だが、それでは「息苦しくて、とても日常生活は送れない」と石川医師は指摘する。
厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議は「感染者がマスクをすれば感染拡大防止効果が望める」とする一方、感染予防面では「(ウイルスを含む)飛沫を完全に吸いこまないようにはできない」と、マスクだけに頼る対策を戒めている。
石川医師は複数の予防策の合わせ技を勧める。「マスクの装着は、手洗い、せきをする人の2メートル以内に近づかない、免疫力を高める、栄養バランスのとれた食事などと同列。予防するには、これらを実直に素直にやり続けることだ。マスクへの過信は禁物」(東京) Tweet

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