Wednesday, July 07, 2010

生命保険訴訟・最高裁判決

年金タイプの生命保険金を巡り、42年前から定着してきた課税手法を違法とした最高裁の判断は、「税の公平性」を重視したものだ。
 所得税法は、同じ財産に対する二重課税を防ぐため、相続財産には所得税は課さないと定めている。この規定に基づき、生命保険金の全額を一括で受け取る場合には相続税のみが課され、所得税は課されていない。
 一方、年金タイプについては、国税当局が1968年3月の通達で「年金には相続税に加えて所得税を課すことができる」とする独自の“解釈”を示し、二重の課税を続けてきた。
 しかし、これでは受け取る保険金の総額は変わらないのに、受け取り方が「一括」か「分割」かの違いだけで、税額に著しい差が生じてしまうことになる。今回の訴訟をきっかけに、多くの税理士や学者がこの不公平さを指摘し、原告側の主張を支持していた。
 40年以上も通達の誤りが見過ごされてきたのは、今回の訴訟までは外部からの指摘がなく、国税内部で誤りが常識としてまかり通っていたためで、その間に国民の「被害」は拡大した。
 国税当局には通達の内容が法令の趣旨に合致しているかを常に検証する姿勢が求められる。(社会部 稲垣信)(読売)

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