Sunday, August 15, 2010

遺伝子ビジネス野放し、根拠不明確な例も

インターネット通販で手軽に受けられる遺伝子検査が増えている。がんやアルツハイマー病のリスクが分かるとするものや、子供の「才能」が分かるとうたうものまである。
 ただ、科学的根拠は必ずしも明確でなかったり、説明が十分でなかったりするものも多く、日本人類遺伝学会や専門医らは「利用者に大きな誤解と不安を与える恐れがある」「遺伝情報は血縁者にも影響を与える重大な個人情報。専門家のカウンセリングなしの検査は危険」と警鐘を鳴らしている。
 経済産業省の今年2月の調査では、遺伝子検査を行う業者は330あった。インターネット通販やクリニックなどで販売され、肥満のタイプや生活習慣病のリスクのほか、がんやアルツハイマー病のリスク判定をうたうものなどがある。健康食品などの販売につなげる例や、肥満や骨粗しょう症の遺伝子検査を客に受けてもらい、結果に応じてエステメニューの提案に利用するエステサロンもある。
 子供の「才能」がわかるとするものも登場。今月初め、東京都内で説明会を開いた会社は、遺伝子検査で知性、運動、芸術など6分野の「才能」がわかるという商品を販売。綿棒でほおの内側の粘膜をぬぐい取ったものを開発元の中国企業へ送り、遺伝情報を解析した結果を受け取る。知性分野なら、記憶力、理解力など6能力について、「優秀」「良好」「一般」「不利」の4段階に評価されて戻ってくる。料金は5万8000円。6月からインターネットで販売を始め、約200件の申し込みがあった。
 「世界中の論文を基にしていると聞いた。科学的根拠はあると判断している」と同社社長。一方、説明会を聞いた北里大学臨床遺伝医学講座の高田史男教授は、「説明文書を読んでも、遺伝子の機能の説明と、それが人間の潜在能力にどう影響するかという解釈に非論理的な飛躍がある」と疑問を呈する。別の会社では同じ商品を「才能占い」と名付けて販売している。
 遺伝子検査ビジネスには「科学的根拠が十分でないものや結果の解釈が確立されていないものも少なからずある」(高田教授)という。経産省は2004年、客観的データの明示や専門医らによるカウンセリング体制の整備を求める指針を作成したが、強制力はない。
 日本人類遺伝学会は00年に注意を呼びかける勧告を発表したのに続き、08年には消費者が直接買える商品について、公的機関の監督を求める見解を出しているが、規制はないのが現状だ。(読売)

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