無承認の臨床研究
名古屋大病院は11日、同病院泌尿器科の研究グループが国の承認を受けずに臨床研究をしていたと発表した。
いずれも脂肪に含まれる幹細胞(脂肪幹細胞)を使った治療で、昨年1月から11月にかけ、計10例あった。同病院は「臨床研究に関する指針を誤って解釈していた」と釈明し、これらの事例を扱った論文1本と研究発表3件は取り下げた。
同病院の発表によると、同グループは昨年1月から4月までに、71~83歳の男性患者5人に対し、前立腺がんの手術後の尿漏れを防ぐため、患者自身の脂肪から取り出した幹細胞を注入する治療を施した。さらに、同年7月から11月の間に、27~60歳の男性患者5人に対し、腎臓がんの手術の後遺症を抑えるため、脂肪幹細胞を注入する手術を実施した。治療の安全性に問題はないという。
厚生労働省の指針では、ヒトの幹細胞を使って臨床研究する際は大学の倫理委員会と国による審査を義務づけているが、いずれも倫理委の承認を受けただけで国には報告していなかった。調査を担当した水野正明准教授は「今回使った幹細胞は体外で培養していないので、国の承認は必要ないと判断していた」と述べた。
問題となった治療例のうち2例が今年3月、日本再生医療学会で発表され、指針の違反が発覚。同病院は、過去に倫理委にかかった958件をあらためて調査していた。(読売) Tweet

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