家族の承諾だけで初の脳死・臓器移植へ
日本臓器移植ネットワークは9日、関東甲信越地方の病院に入院していた20代の男性患者が脳死と判定されたと発表した。
家族の承諾だけで脳死判定と臓器提供ができるとした改正臓器移植法が7月17日に全面施行されて以来、初の適用例。男性は生前に書面での提供意思を示していなかったが、家族が承諾した。脳死での臓器提供は1月下旬を最後に止まっていたが、今回は改正法が施行されて約3週間後の提供申し出となった。
男性は交通事故に遭い、同病院に搬送された。5日に診断した結果、脳全体の機能が失われた可能性が高いことが判明。主治医や移植コーディネーターの説明を受けた家族が8日夜、臓器提供を承諾した。法的脳死判定は8日午後9時半に始まり、9日午前11時55分に終了した。脳死判定した病院名、所在地などは家族の意向により、発表されていない。
改正前の臓器移植法は、本人が臓器提供意思表示カードなどで提供意思を示すことが求められるなど、世界で最も厳しい提供条件とされていた。この結果、これまでの脳死臓器提供例は約13年間で86例にとどまっており、改正法が成立した。
法的脳死判定は1997年の臓器移植法施行後、今回で88例目。臓器提供が今回行われれば87例目となる。
同ネットワークによると、男性の場合、生前に口頭で両親に臓器提供の意思があると伝えていた。提供を拒否する意思表示は確認されなかったため、家族が話し合い、男性の臓器を提供することを決めたとしている。
臓器の摘出は10日未明から開始される予定。心臓は国立循環器病研究センター(大阪府)で20代男性に、肺は岡山大病院で20代男性に提供される予定。肝臓は東京大病院で60代女性に、腎臓は群馬大病院で10代男性に、もう一つの腎臓と膵臓(すいぞう)は藤田保健衛生大病院(愛知県)で50代女性に提供される見通し。小腸は医学的理由で断念し、眼球の提供先は今後決める。(読売) Tweet

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