Thursday, August 19, 2010

高齢者不明、平均寿命は縮む?

「100歳以上」のお年寄りの所在不明が相次いで判明している。日本は世界でも長寿の国として知られるだけに、この問題は海外で大きな関心をもって報道され、中には長寿国という事実自体に疑問を投げかけるようなものまであった。
 果たしてこの問題によって日本人の平均寿命が短くなる可能性はあるのだろうか。
厚生労働省が先月26日に発表したデータによると、2009年の日本人の平均寿命は男性79・59歳、女性86・44歳と、いずれも4年連続で過去最高を更新した。特に、女性は25年連続で世界一の座をキープ。男性も世界5位につけている。
 この直後、「不明高齢者」問題が噴出する。
 こうした状況を受け、特に韓国では、「高齢者天国 日本のイメージに泥を塗る」(中央日報)、「日本=長寿国家は虚構?」(文化日報電子版)などと大々的に報道された。韓国では、お年寄りを敬う儒教の考え方が広く浸透していることもあり、関心を引いたようだ。
 だが、厚労省で平均寿命を取りまとめる人口動態・保健統計課の担当者は、「今回の問題は平均寿命には影響しません」と言い切る。
 そもそも、一定年齢以上の高齢者については「人口が少ないため、一人の生死が統計に大きく影響してしまう」として、平均寿命を算出するデータに含めていないのだという。何歳以上を除外するかは、年によって異なり、2009年の調査では、男性は98歳以上、女性は103歳以上はデータに含めなかった。
 同課では「これより下の世代は人口が多いため、亡くなっていたケースがかなり出てきてもほとんど影響しない」と説明している。
 また、国勢調査の結果を平均寿命を算出するための主要な資料にしているのも、今回の問題が影響しない理由の一つだという。
 総務省が5年に1度行っている国勢調査では、原則、調査員が面談し全世帯と直接接触する方法をとる。一方、今回の問題で、高齢者の消息が反映されていないケースが目立った住民基本台帳は、各自治体が、出生や死亡、転出入について住民の申請に基づき作っているものだ。
 厚労省では、住民票を現在の住所に移さないといったケースが相当数あるとみており、面接方式の国勢調査の方がより実情を反映しているとしている。
 ただ、国勢調査も未回収率が増加しており、精度が落ちないか懸念される。未回収率は1995年で0・5%だったのが、2000年で1・7%、05年は4・4%と増加の一途だ。総務省は、調査員が調査票を直接手渡す方式は変更しない一方、回答については、今年の調査から郵送も受け付けるなど、未回収率を減らす工夫を行う。(福士由佳子)(読売)

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