Tuesday, August 17, 2010

医療・美容の新素材

エチゼンクラゲと、越前ガニの殻から取り出される物質に放射線の一種である電子線をあてて、新しい医療・美容用素材を合成する技術の開発に、関西電子ビーム(美浜町松原)、日華化学(福井市文京)など4社と、県立大海洋生物資源学部(小浜市学園町)のグループが着手した。
 たびたび漁業被害をもたらす“海の厄介者”と、福井を代表する味覚ながら食べた後は捨てるしかないごみを、有効利用するのが目的。早ければ2011年度末までに実用化のめどをつけたいとしている。
 利用をはかるのは、クラゲのたんぱく質の大半を占めるコラーゲンと、カニやエビの殻を構成するキチンから作られるキトサン。
 コラーゲンは保湿効果が高く、化粧品や健康食品など幅広い分野で商品化されている。キトサンも、安定した分子構造や抗菌効果といった特徴から、手術用縫合糸、衣料用繊維、健康食品などに使われている。
 グループが手掛ける新素材は、コラーゲンとキトサンの特性を併せ持ったゼリー状物質「ハイドロゲル材」。やけどやけがの患部にはり付けて早期回復を促す「創傷被覆材」、肌の栄養補給やニキビ予防といった効果を狙う「美容マスク」などへの応用をはかる。
 クラゲからコラーゲンを抽出する技術は、県立大などが既に開発。グループはこれらの技術を応用し、コラーゲンとキトサンを寒天状の化合物に混ぜた後、専用施設で電子線ビームを照射して固め、ハイドロゲル材を生成する研究を行う。
 電子線を利用すると、加熱しなくても化学反応を早く進めることができ、減菌作用もあるという。
 研究計画は、若狭湾エネルギー研究センター(敦賀市長谷)の「嶺南地域新産業創出モデル事業補助金」で今年度の基礎研究枠に採択され、1年間で200万円の助成を受けることが決まった。
 関西電子ビームの隅谷尚一専務は「どういう組成がいいのかを見極めるのが研究のポイント。地元に役立つ技術として確立できれば」と話している。(読売)

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