Wednesday, August 18, 2010

土着カメムシで害虫駆除

国内に広く生息するカメムシの一種「クロヒョウタンカスミカメ」を農作物の害虫駆除に利用する方法の開発に、高知大農学部の荒川良教授(天敵昆虫学)らの研究グループが取り組んでいる。
 複数の農家で行われた実証試験でも成果が証明され、農林水産省に農薬として登録を申請中。新たな「生物農薬」としての期待が高まっている。
 研究の発端は5年前、ナスやピーマンを栽培する複数の高知県内の農家から荒川教授に、「タバココナジラミ」という害虫の発生で困っているとの相談が寄せられたのがきっかけ。
 タバココナジラミの幼虫は、ナスやピーマンの葉を食い荒らすほか、農作物への感染ウイルスを媒介する恐れもある。殺虫剤に対する抵抗力が強いため、決定的な駆除法がなく、対応を迫られていた。
 荒川教授のグループも研究に乗り出したが、学生が、大学内のビニールハウスでクロヒョウタンカスミカメがタバココナジラミの幼虫や卵を捕食しているの発見。生物農薬としての活用の研究を本格化させた。
 クロヒョウタンカスミカメは体長約2ミリで、外見はアリに似ている。研究の結果、青森県以南に広く生息し、タバココナジラミのほかにもハダニやアザミウマなどの害虫を捕食することも分かった。卵から1か月ほどで成虫になり、1度に120個近く卵を産み、繁殖も容易という。
 生物農薬は、化学物質による農作物汚染の危険性がなく広く利用されているが、多くが外来種の昆虫。クロヒョウタンカスミカメは昔から日本にいるので、生態系への影響を最低限に抑えられるという長所がある。
 荒川教授は、「青森以南では、どこにでもいる虫で、安全性も高い。新たな生物農薬として広く普及させたい」と意気込んでいる。(松田俊輔)(読売)

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