寒い浴室危険
入浴中に具合が悪くなり救急搬送される高齢者は少なくない。冬は、寒い浴室から熱い湯に入ることで、急激に血圧が変動し、脳への血流が悪くなって失神するためとみられる。「浴室を暖かくして、室温と湯温との差を小さくして」と専門家は注意を促している。
東京消防庁の統計によると、2008年に水による事故で搬送された高齢者297人のうち、家庭内の浴室での事故が約7割にあたる211人だった。このうち81人が死亡、108人が重篤で、入浴による事故は命にかかわる問題だ。浴室での事故による搬送は01年の121人から増加傾向にあり、06年が160人、07年は182人で、08年が最も多かった。
東京都老人総合研究所の副所長、高橋龍太郎さんは「はっきり原因の究明はされていないが、寒い浴室から熱い湯に入るという急激な温度変化が主な要因と考えられている」と説明する。
高齢者は若い人に比べ、急激な温度変化に適応しにくい。古い戸建て住宅では冬場の浴室が寒いことが多い。「寒いところから熱い湯に入ると、血圧が急激に上昇したあと急激に低下する。その結果、脳への血流が悪くなり、失神するのではないか」という。
高橋さんは、いくつかの事故予防策を挙げる。
〈1〉室温と湯温の温度差を小さくする。湯温は40~41度まで、浴室は20度以上にする。
〈2〉長湯はしない。〈1〉の温度条件で5分を目安にする。
〈3〉湯船から出るとき、一気に立ち上がらない。立ち上がるときに握るための手すりをつけたり、腰を下ろせる場所を設けたりするといい。
〈4〉食事の後やアルコール摂取後は、血圧が下がりやすくなるので入浴は控える。
〈5〉夜遅い時間帯の入浴は避ける。体の生理的な働きが活発で、人の目がある、昼間の明るいうちに、できれば入浴したい。一人暮らしの場合は、公衆浴場の利用もお勧め。
「入浴中の事故は持病の有無にかかわらず、起こっている。高齢で元気な人でも油断は禁物です」と高橋さんは注意を促している。(読売) Tweet

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