アルコールと病気
アルコール依存症の患者は約80万人と推計されています。健康や仕事への意欲を損なったり、家で暴力を振るったりするなどの、依存症になる一歩手前の人も含めると、200万人を超えます。
毎日の飲酒量が日本酒換算で3合(アルコール60グラム)以上になったら要注意です。男性患者では5合以上飲む人が多いのですが、女性は3合程度でも依存症になることがあります。
性別に関係なく、臓器への悪影響は3合未満でもあります。肝臓を傷めたり生活習慣病を招きます。毎日飲酒を続けるのは避け、多く飲んだ翌日は全く飲まないなど、メリハリをつけることが大切です。
体に入ったアルコールは、悪酔い物質のアセトアルデヒドに分解され、最終的には水と二酸化炭素に変わります。分解速度には遺伝による個人差があります。アセトアルデヒドの分解が遅く体にたまりやすい人では、顔が赤くなったり、気持ち悪くなったりします。
日本人は、赤くならない人が5割、多少飲めるが赤くなる人が4割、全く飲めない人が1割の割合です。
赤くならない人は、飲酒量が非常に増え、肝臓や膵臓の病気を起こしやすくなります。また最近の研究で、赤くならない人でもアルコールの分解は遅い人もいることが分かりました。酒に強そうに見えて、実は酔いが長く続いているわけで、最も依存症になりやすいタイプです。
飲み始めは酔いを感じにくいために飲酒量が増え、依存症になることもあります。また、アセトアルデヒドによって消化管の粘膜などを傷め、食道がんや喉頭がんなどを発症しやすくなります。
多量飲酒者は、肝機能や生活習慣病の悪化を招きます。内科を受診して、いったんは良くなっても、多量飲酒を改めなければ、再び病気が悪化して治療を受け、その繰り返しで医療費が増えます。
アルコール関連疾患の医療費は総医療費の7%という試算もあり、約2兆3000億円にもなります。節酒指導を積極的に行う必要があります。(佐藤光展)(読売) Tweet

0 Comments:
Post a Comment
<< Home