非核三原則の見直しを
安保条約改定も沖縄返還も、日米の国益をかけた外交交渉で、ぎりぎりの妥協が不可欠であり、密約は苦渋の選択だったはずだ。
「過去」の検証は、日本外交を見直すプロセスだが、より重要なのは、日本の「将来」の安全保障である。日米同盟の強化に検証を生かす発想が大切だ。
鳩山首相や岡田外相は、「核を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を今後も堅持する方針を改めて表明した。
政府は、核搭載艦船の日本寄港などを事前協議の対象とするとの立場も変更しないという。
だが、米国は、全世界にある米軍の核兵器の所在について肯定も否定もしない原則を持っている。日米どちらかが例外規定を設けない限り、両者は矛盾する。
外務省は、91年の米軍艦船からの戦術核の撤去宣言により、当面、不都合は生じない、とするが、問題の先送りにすぎない。
米軍の核抑止力を機能させるため、「持ち込ませず」のうち、核兵器の日本国内配備の禁止は継続するとしても、寄港・通過などは除外することを、政府は真剣に検討すべき時である。
オバマ米大統領が提唱する「核なき世界」は、あくまで遠い将来の理想にすぎない。北朝鮮の核の脅威や中国の軍事大国化など日本周辺の現状を踏まえれば、米国の「核の傘」は不可欠だ。
非核三原則を掲げた佐藤首相でさえ、69年10月に「『持ち込ませず』は誤りだった」と外務省幹部に語っていたことが、公表された外交文書で明らかになった。
鳩山政権が、非核三原則の見直しはタブーだと思い込んでいるのだとすれば、健全な安全保障論議ができなかった半世紀前の密約締結時と変わらない。(読売) Tweet

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