ミニマル・インターベンション
近年の歯科治療は学問の進歩、技術の開発により画期的に発展している。しかし、歯科の病気が治りにくいものであることが本質的に変わるものではない。自分の歯をできるだけ守る、すなわち大きく削ったりしない、神経はなるべく残す、やたらと歯を抜かないことが理想の歯科治療であることは多くの歯科医が認めている。
世界的な共通認識として理解されているミニマル・インターベンション(体にあまり傷をつけないで治療を行うこと……歯科では最小限の侵襲と訳されている)という言葉は、まさに歯科治療が完璧なものではないことを物語っている。
「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」は、歯科医としての私の座右の銘である。初期のむし歯もさることながら、歯が抜けた時も、なるべく最小限の処置を患者さんに勧める。歯科治療に何を選択するかは、大げさに言うならば患者さん自身の人生観にかかわってくる問題である。歯の治療も大切だけれど、その人にとってはもっと大切なものがあるかもしれない。それを歯科医が間違いと言うことはできないし、非難することもできない。(読売) Tweet

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