Sunday, September 27, 2009

全年齢層 肺炎の可能性

先月、東京・文京区の「森こどもクリニック」に10歳の男の子が母親と来院した。前日から38度を超す高熱が続き、せきもひどかったが、受け答えはしっかりしていた。
 簡易検査でインフルエンザと判明。隔離室で待ってもらい、約30分後に診察で部屋に入ると、顔色が悪く、ぐったりして言葉もない。呼吸が弱いため、酸素吸入を行い、急いで救急車で近くの病院に搬送した。
 幸い、肺炎にはならず、翌日に熱は下がり、5日目に退院した。後日、新型インフルエンザの感染が確定した。
 同クリニック院長の森蘭子さんは「急激な呼吸状態の悪化に、ひやっとしました。季節性インフルエンザではみられないこと」と驚く。都内の小児科医の会合で話すと、参加した約20人中4人の医師が、呼吸器症状の急変を経験していた。
 新型インフルエンザの症状は、38度以上の発熱やせきなど、基本的には季節性インフルエンザと同じ。違うのが、まれにウイルス性肺炎を起こすことだ。
 季節性で起きる肺炎の多くは、二次的に生じる細菌性肺炎で、免疫力が低下した高齢者に多い。ところが、ウイルス性肺炎は、子どもから大人までどの年齢でも起きる可能性がある。
 日本小児科学会長で横浜市立大小児科教授の横田俊平さんは「これまでインフルエンザで警戒してきたのは、脳が急速に腫れる脳症だった。今回は肺炎にも細心の注意を払う必要がある」と気を引き締める。
 同学会は、小児救急の専門家に急性の重症肺炎に対する治療マニュアルを作ってもらい、全国の小児科医に周知徹底していく予定だ。
 横田さんによると、子どもの肺炎の兆候は、〈1〉呼吸が速く、回数が多い〈2〉呼吸時にみぞおち付近がへこんだり、小鼻が動いたりする〈3〉顔色が青い、または土気色――などだ。大人では、呼吸困難、息切れ、胸の痛みが続くなどの自覚症状が出る。こうした症状があれば、すぐに医療機関を受診する。
 ただし、新型インフルエンザであっても、肺炎に進行するケースはごくわずかだ。普段、健康なら、発熱とせきだけで時間外にあわてて医療機関に駆け込む必要はない。
 横田さんは「ほとんどの人は数日間で自然に治る。無用な心配をしないためには、正確な知識を身に着け、冷静に子どもさんの様子を観察してほしい」と話している。(読売)

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