運動前ストレッチでケガ防止
十二日は体育の日。スポーツのイベントが多い時期だが、普段運動不足の人が急に体を動かすと危険。けが防止には、運動前の適正なストレッチが有効だ。埼玉県戸田市のNPO法人「日本ストレッチング協会」で、中高年に効果的なストレッチ法を聞いた。 (服部利崇)
ストレッチを実演してくれたインストラクターの岡秀信さんは「筋肉は使わないと関節の可動域が狭くなる。久しぶりの運動では記憶にある可動域と現状とのミスマッチで、転倒して骨折、筋断裂など大けがをする人もいる」と指摘。関節の可動域を広げれば、けがを防止できると運動前のストレッチを勧める。
その効果として事前に体がどれだけ動くか把握でき、本番で無理を避ける心理的ブレーキも期待できる。ストレッチ前に五分ほどウオーキングするのが理想的だ。筋肉が温まって柔軟性が増し、効果がより高まる。岡さんが運動の種類別ストレッチ法を紹介してくれた。
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ストレッチは運動直後の筋肉痛を和らげる効果があるが、運動後、二十四時間以降に出る「遅発性筋肉痛」を緩和する効果は薄いという。岡さんは「入浴などでリラックスし、痛みが引くのを待ちましょう」とアドバイスする。
【キャッチボール】久しぶりだと、肩に痛みが出やすい。肩甲骨と上腕骨がスムーズに動くように肩甲骨内部の筋肉を伸ばす。
投げる方の手の甲を腰に当てて、反対の手でひじを持ち手前に引っ張る。ひじは九〇度=写真(1)。肩甲骨内部の筋肉は小さくて繊細。伸ばしすぎると逆に痛めてしまうので注意する。
【全力で走る】保護者参加のリレーなどで思いっきり走る機会も多い。太ももの筋肉はしっかり伸ばしたい。
体をかがめ、両手をひざ裏に回して組む。かかとをつけ、胸と腹をももにつけたまま、いけるところまでひざを曲げたり、伸ばしたりする=同(4)。上下の限界点で二、三秒ずつ静止。六回繰り返す。
ふくらはぎも柔らかくしよう。床にお尻をつけて一方の脚を伸ばして反対は曲げる。この動作を繰り返す=同(5)。つま先の向きが大切。曲げた脚の方は上に向け、伸ばした方は正面に突き出す。左右十回ずつ行う。
【綱引き】背中や腰に強烈な負担がかかる。事前に伸ばしておかないと、ぎっくり腰の危険もある。
床に腰を下ろして左脚を伸ばす。右脚のひざを曲げて、左手で右足の外側をつかみ、15~30秒止める=同(3)。ひねりを加えることで背中の筋肉全体が伸びる。反対側も同じように。
【ジョギング】男性に多いとされるがに股(また)。そのまま長時間走ると、筋肉の張りも脚の外側に出やすい。走る直前はもちろん、途中でもストレッチしよう。ウオーキングにも効果がある。
壁にひじをついて寄りかかり、壁から遠い方の脚を前にして両脚を交差させる。空いた手を骨盤に当て地面と平行に壁側に押す=同(2)。上半身は真っすぐに立て、頭を動かさずに股(こ)関節だけを押すイメージ。左右三十秒ずつ。(東京) Tweet

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